【10月11日発売】川島永嗣著『耐心力 重圧をコントロールする術がある』のタイトル誕生秘話

サッカーW杯で3大会連続日本代表の正GKを務めた川島永嗣の著書『耐心力 重圧をコントロールする術(すべ)がある』が10月11日に発売を迎えた。これまでのサッカー人生において、川島はいかに自らに降りかかってきた重圧と闘い、それをどのように乗り越えてきたのだろうか。この本は、川島が激動の実体験を通して身につけた「重圧をコントロールする方法」の極意を示し、 また、ロシアW杯に関しても詳細に明記した、ひとつの「史実」となる書籍。企画・編集を手がけた雑誌「ゲーテ」編集長・二本柳陵介が、その制作秘話を明かした。


頑丈な心を持った男、川島永嗣は「耐震性」がある。

書籍のタイトルは、「耐心力」だ。

耐える心の力。

正直、今の時代にはそぐわないようなワードかもしれない。耐えるという字が醸し出す、熱苦しさは正直、今っぽくはない。

彼の本を作るにあたり、今回はタイトルがなかなか浮かばなかった。春先から、ずっと考えていた。きっかけは、ニュース映像をぼーっと見ていた時だった。頑丈そうな家が傾いていた。「家って、やはり耐震性が大事なんだろうな」と考えている時に、ふと川島選手が頭に浮かんだ。

「あれだけ批判されて、プレッシャーもあって、それを覆して来た。川島選手に住宅メーカーのCM来たらいいのに。川島選手が柱になって、『俺は倒れない!』と言ったら、ちょっと受けそう」と、バカなことを妄想した。

発想の起点はそこにあった。

頑丈な心を持った男、川島永嗣は「耐震性」があるのだと。一瞬やや強引かな、と思ったのだけれど、デザイナーにメールをして、表紙で使う予定だった写真に「耐心力」の文字をデザインしてもらったのだった。

『耐心力』の表紙デザイン案

書籍づくりにおいても、川島選手はとにかくストイックだった。初校戻し、再校戻し、三校戻しと3度の修正機会において、すべて原稿を入念にチェック。修正が必要な箇所の指摘だけではなく、より内容を精査した新しい原稿をその都度送ってくれた。

特に、初校戻しの際には、拠点とするヨーロッパにて自らの原稿と向き合い続け、ほとんどの章を書き直し。印刷所へと渡す新たな原稿の差し替えワードデータは約30個まで膨れ上がった。

初校戻しの際に、川島選手が直した差し替えワードデータは約30個に及んだ。

印刷所に初校差し替え原稿を送った翌日の8月29日、川島選手の移籍が決定した。フランス1部リーグのRCストラスブールだ。

移籍決定翌日の30日には、ちょうど別の取材でヨーロッパに出向いていたこともあり、急遽ストラスブールへ向かって川島選手と打ち合わせ。移籍に至るまでの心境や、新しいチームへの思いなどを、約2週間後の再校戻しの際に新たな原稿として付け加えることが決まった。

身体能力が優れていない日本人選手が世界で戦う上で武器となるのが、「メンタル」だと私は思う。耐えるということもメンタルであるし、チームスポーツにおいて、目標に向かって"一致団結"することも、メンタルだ。GKという特殊なポジションで、日本人がサッカーの本場、ヨーロッパのチームで戦い続ける。これは本当に頑強なメンタルが必要とされるはずだ。

川島選手は日々苦境が訪れるなかでいかにして、立ち上がってきたのか。メンタルをどうやって立て直してきたのか。大きな大会に挑む前のアスリートたちだけでなく、苦境を乗り越えなければならない場面に遭遇しているすべての人々が読んで役に立つ一冊に仕上がっていると思う。

ぜひご覧ください。

Text=二本柳陵介


『耐心力 重圧をコントロールする術がある』 
¥1400 幻冬舎刊
「耐える」という言葉は、今の時代に逆行しているかもしれない。でも「心の体力」が必要な場面は人生で多々訪れる。さまざまな重圧とハンディを乗り越え、欧州で戦い続ける川島が提唱する、道を拓く極意。
【目次】
第一章 ロシアW杯備忘録 -苦しんだ先につかんだ、日本サッカーの目指す道-
第二章 心を養う、18の人生訓 -1日1%成長論-
第三章 ひたすら耐え忍んだ、浪人時代
第四章 日本人、そして日本人GKという高いハードル
第五章 夢や希望を繫げていきたい
Eiji Kawashima
サッカーW杯3大会連続日本代表正GK。1983年3月20日、埼玉県生まれ。浦和東高校卒業後、大宮アルディージャ、名古屋グランパスエイト、川崎フロンターレを経て、2010年にベルギー1部のリールセSKへ。12年には、同1部の名門スタンダール・リエージュに移籍したが、15年には約半年に及ぶ浪人期間を経験。その後、スコットランド1部のダンディー・ユナイテッド、フランス1部のFCメスを経て、'18年8月に同1部の古豪RCストラスブールに移籍した。