【シリーズ秘書】まるで遠距離恋愛!? 完全リモートワークが秘書の働き方を変える!

社員全員がリモートワーカーという新しいビジネスを展開する注目のベンチャー企業・キャスター。新進気鋭のカリスマをバックアップするのは、福岡在住のオンライン秘書だ。東京―福岡と離れた場所で仕事をしていると思わせない、その仕事方法、そしてリモートワーカーならではのコミュニケーション術に迫る。


オンライン秘書がボスを完全バックアップ!

人手不足に頭を悩ませる企業が増加するなか、"リモートワーク "を活用したオンライン秘書サービス「キャスタービズ」が注目を集めている。オンライン秘書とは、電話受付やメール返信の代行などの業務を担当。出社の必要がなく、自宅やコワーキングスペースなどでリモートワークに励めることから、家事や育児を抱える女性や、家庭の事情で職を離れざるを得なかった人のキャリアを積む場として応募が増えている。このサービスを運営する企業が今、急成長中のキャスター。代表の中川祥太社長いわく、

「以前からリモートワーカーの賃金水準が異常なほど低く、仕事内容も法的にグレーなものが目についた。でも、リモートワーク希望者にも優秀な人材は多い。そうした人材を活用し、正社員と変わらない賃金水準を作り、リモートワーカーが活躍できる世の中にしていきたい」

オンライン秘書なら、住む場所も自由。従業員には海外在住の人もいる。その中川社長の秘書機能を担う石原あぐりさんも、もちろんリモートワークで現在は福岡で暮らしている。

「以前はビジネス・プロセス・アウトソーシングを展開する企業で働いていましたが、私も夫も全国転勤がある職種。その生活が非効率だと感じ、キャスターを選びました」と石原さん。キャスターで働くようになってからのメリットは数多い。

「ストレスのない場所や時間帯で働けるので、より仕事に集中できます。それに地方都市に住んでいても東京や海外の動向が垣間見られ、閉じた発想になりにくい。地方のよさを見直すきっかけにもなります。これまでの働き方以上に充実感を得られています」

福岡にある自宅が仕事場。「ストレスがたまらず、質の高い仕事ができる」と石原さん。

そんな自由な働き方を実現した、中川社長をサポートするオンライン秘書たち。その秘書を含む社員からの意見を吸い上げ、改善に繋げる役割も石原さんが担っている。また、全員リモートで働く企業ならではの情報量の差を解消するために、社内ツールの選定や運用方法、体制の提案など、石原さんの業務内容は多岐にわたる。

「宿や航空券のほか、会食に使う店の予約などは、中川のほかのオンライン秘書がさっと済ませてしまいます」

雑務的な仕事が少なく時間に余裕ができるため、石原さんは新規事業の企画や提案といった業務に力を注げるというわけだ。

「社長である中川の考え方を、リモートで働く社員に正確に伝えていくのも私の役割。中川をはじめ、役員陣の対外情報発信や広報のリリース内容など、さまざまな情報を社内向けにアレンジし発信しています」 

中川社長と石原さんが顔を合わせたのは一度きり。音声での会話も週に一度程度だという。Skypeなどのチャットツールやメールだけで、お互いの真意は伝わるのだろうか。中川社長は「チャットで伝わらないことは指示ではない」と断言。

「直接会って話をしても真意が伝わらないこともあります。あいまいな言い方をして、"意図をくみ取ってよ"なんていうのは甘えでしかない。対面でもチャットでも、同じことですよ」

やり取りは一日に数十通にも及ぶこともあるが、文面は実に端的で明快。飾らない内容に、ふたりの信頼関係がうかがえる。顔を合わせなくても、なんの支障もない新しい秘書のかたち。働き方の改善が求められる現代に、ニーズが高まりそうだ。


リモートワークでボスをサポートする秘書の必須アイテム


Shota Nakagawa
1986年生まれ。日本大学経済学部中退後、イー・ガーディアンを経て、キャスターを起業。同社のビジョンとして「労働革命で、人をもっと自由に」を掲げる。
Aguri Ishihara
1985年生まれ。KDDIエボルバにて営業、外資系ITコンタクトセンターの立ち上げ、トレーニングマネージャーなどの業務を経験。リモートワークに関心を持ち入社。
Company Data
2014年設立。「リモートワークを当たり前に。労働革命で、人をもっと自由に」をモットーに、リモートワーク、副業、フレックス勤務、雇用形態の変更OKの新しい働き方を提案。役職は取締役とマネージャーのみ、経営数値はすべて開示というフラットな組織。

Text=川岸 徹 Photograph=林田大輔、古谷利幸