【楢﨑正剛】現役を引退した元日本代表GKの進む道とは?

Jリーグのシーズン終了に伴い、現役引退の表明が相次いでいる。そのひとり、田中マルクス闘莉王の引退会見に中澤佑二とともにサプライズ登場した楢﨑正剛。日本代表として活躍し、昨年限りで現役を引退した楢﨑に単独インタビューを行った。

引退して約1年、満足感はイチローの打率より全然低い(笑)

楢﨑正剛の引退が所属する名古屋グランパスから発表されたのは、2019年1月8日のことだった。

「クラブに報告したうえで、シーズン終盤引退を公にして、スタジアムでサポーターに最後の挨拶をし、もしもチャンスがあれば、試合をしている姿を見てもらって……と数年前は考えていたけれど、実際はそんなスマートな形にはならなかった」

楢﨑はそう語りながら、自身の引退に至るまでの心境について話してくれた。

  「2017年が終わるころ、先発から外れるようになった。怪我もあり、常に身体のどこかを気にしながらプレーしなければいけない状況でしたけど、『このまま終わるわけにはいかない』という気持ちが強くありました。だから、2018年は、心でなんとかやっているという感じでした。それでも、ベンチ入りすらできなくなって、気持ちを強く持てなくなってしまった。名古屋以外で、たとえばカテゴリーが下がったとしても、サッカーを続けられる環境があれば、沈んでいる気持ちが上がるのかもしれないとも思いました。けれど、たとえ、強い気持ちが生まれたとしても、身体がいうことをきくのかという不安をぬぐえなかった。痛みを抱えながら、気持ちを奮い立たせて、また1年戦えるのかと。そんなふうに自分の気持ちを探るように考え続けた結果、『ここで終わる』と決断したのが、あの時期だったんです」  

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GKの仕事とは何か!? を改めて語る

「ありがたいことに、さまざまなチャンスを作っていただいて、いろいろなことをやらせてもらっています。なにをやっているのか、ひと言で説明するのは難しいんですけど(笑)。ただ、毎日練習に行かない。サッカーをしない。走らない。飛ばないという毎日は新鮮ですね」

サッカーを始めた子どものころから、30年あまり重ねてきた時間が大きく変化しているようだ。

「アンバサダー的な仕事もしているし、僕の希望でもあるGKの育成という活動もさせてもらっています。名古屋のアカデミー(ユースやジュニアユース、ジュニアなど)にも顔を出させてもらったり。基本的な指導は監督やコーチがいるのですが、たまに教えることもあります。でも、そういう育成の現場に立つことで、僕自身が学ぶこともたくさんあります。育成とトップチームでは指導も全く違うから。育成世代の指導では、教育的な部分がすごくあるし、親御さんとの関係性も重要です。そう思うと僕は育成年代の指導には向いてないのかなぁと感じることも(笑)。ただ、まだサッカーを始めたばかりの子どもたちにキーパーについて語ったり、キーパーを始めたばかりの子どもに何か伝えるというのは、とてもやりがいを感じますね」

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今後、指導者への道を歩むのか?

ここ数年Jリーグでは、韓国人をはじめとした外国人GKがスタメンを務めるクラブが急増していた。昨シーズンまで外国人選手枠とは別枠のアジア枠があったことも大きいが、同じアジア人であっても、身体が大きく、身体能力の高い韓国人GKが重宝されたと考えられる。しかし、近年、日本代表のシュミット・ダニエル(ベルギー/シントドイエン)をはじめ、若い世代には、外国人の両親を持つ大型のGKが数多く登場している。190センチ代の選手も多く、高い潜在能力を秘めていると期待を集めている。

「ユース世代の選手を見ていると、日本人選手の可能性は感じます。ただ、GKのポジションはひとつしかないので、プロになって18歳、19歳の頃に試合で経験を積めるようになることが大事だと思います。ただ若いからチャンスを与えるというわけではなく、チャンスをもらうべき選手じゃないといけないし、それを活かせる選手でないとダメだという前提はあるけれど」

昨年シーズン限りで現役を引退した楢﨑正剛は、そう語った。

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SEIGO NARAZAKI
1976年奈良県生まれ。1995年に横浜フリューゲルスに入団。1999年に名古屋グランパスに移籍。J1リーグ歴代最多631試合出場。国際Aマッチ77試合出場。2018年シーズンをもって現役を引退。2019年、名古屋グランパスのクラブスペシャルフェローに就任。  


Text=寺野典子