今、注目のレジデンス「Alberni by Kengo Kuma」 westbank(ウェストバンク)を率いるイアン・ガレスピーの仕事(前篇) Vol.17


編集長ニホンヤナギの熱狂探訪
~仕事が楽しければ、人生も愉しい!~

昨年の秋にバンクーバーで着工され、2020年冬に完成予定のラグジュアリーレジデンス「Alberni by Kengo Kuma」。

大胆な曲線を描く40階建てのタワーには、6000スクエアフィート(約558㎡)もの広さのペントハウスを含む188戸の住居に加え、レストランや商業施設のスペースが作られる予定。その規模の大きさもさることながら、設計を担当しているのが、隈研吾さん!隈さんにとって北米でこのような大規模なプロジェクトは初のチャレンジだとか。

この話題のプロジェクトを行っているのがwestbank(ウェストバンク)とPeterson(ピーターソン)という、北米で有名なディベロッパー。うち、ウェストバンクは拠点であるバンクーバーをはじめ、トロントやシアトル、中国および香港、台湾地域においてオフィスビル、ホテル、商業施設、レジデンスなどのプロジェクトを手がけています。

そのウェストバンクが日本オフィスをオープンするのに伴い、来日したCEOのイアン・ガレスピーさんを取材してきました!

オフィスに入ってまず目についたのは、このカーペット。あまりに素敵なカーペットなので、踏まないように端っこの方を歩いていたら、隈研吾さんがデザインしたカーペットだと聞き、自分自身の行動に納得しました(笑)。

先に進むと、ウェストバンクCEOのイアン・ガレスピーさんが!

ヨウジヤマモトで全身をコーディネート。東京に来るたびにヨウジヤマモトのショップに寄るほどの大ファンで、カナダにある自宅のクローゼットもヨウジヤマモトの洋服で埋め尽くされているそう。

そんなガレスピーさんに、ウェストバンクという企業のこと、仕事への考え方など色々と伺いました。

「westbank(ウェストバンク)」とは

編集長:そもそもウェストバンクはどのような企業か教えていただけますか。

ガレスピーさん:ウェストバンクは、私が1992年にカナダで創業した不動産開発の会社です。はじめは商業施設を中心に手掛けていましたが、約18年前頃からレジデンシャル(居住施設)の比重が多くなり、今ではオフィスやホテル、大規模な複合施設など、あらゆる分野の不動産開発を手がける企業に成長しています。

また、主にトロント、バンクーバー、シアトルで展開していたビジネスも、現在ではサンフランシスコやロサンゼルス、日本や中国、香港、台湾といったアジアにも進出していて、全世界で2000人の社員を抱えています。

ウェストバンクは世界最大の不動産ディベロッパーというわけではありませんが、他の不動産開発企業とは全く違う独自の思想で経営していることから世界的にも高い評価をいただいています。その理念とは"サスティナブルな環境づくり"と"パブリックアートによる街づくり"です。

そのふたつの要素を上手く融合させたものとして2015年にバンクーバーに作られたオフィスビル「TELUS Garden」が挙げられます。

ひとつ目の"サスティナブルな環境づくり"に関してですが、「TELUS Garden」ではソーラーパネルや雨水を資源化するシステム、電話回線から消費するエネルギーを利用した自家発電などによって、ビルが消費する93%ものエネルギーを自らで賄っています。

また、ウェストバンクでは、もともとバンクーバーにあったボイラー工場を買い取って「クリエイティブエナジー」というエネルギー供給の企業も運営しています。今、バイオマスプラントも建造していて、エネルギー作りにも取り組んでいます。稼働が始まれば、バンクーバーを世界で最もグリーンな都市にすることができるのです。

パブリックアートに関しては、イギリス現代美術で最も権威のある賞を受賞したマーティン・ボイスの作品「Beyond the Sea,Against the Sun」が「TELUS Garden」内には飾られています。

また、ウェストバンクは、アートの制作支援も行っています。ロンドンにあるケンジントン・ガーデン内のサーペンタイン・ギャラリーでは、毎年夏季限定でパビリオンを作るのですが、そのプロジェクトのメインスポンサーもしています。

Image by Iwan Baan

北米の大手不動産業者でもこれほどアート支援を行っている企業はまだ少ないと思います。私たちの不動産開発やビル内には、必ずアートが含まれており、また、建物自体がアートピースと言える物もあります。先ほどお話したマーティン・ボイス以外にも、巨大アート作品でも有名な中国を代表するジャン・ホアンやリアム・ギリック、スタン・ダグラスなどの世界トップクラスのアーティストたちとともに仕事をしています。

編集長:環境にも配慮し、アート作品を建物に溶け込ませるのは、非常に現代っぽいですよね。アートはセンスが問われます。自分たちの理念を貫いて、街づくり、建物づくりを続けるからこそ、ウエストバンクは世界で広く知られるようになったんですね!

後篇では、隈研吾さんに「Alberni by Kengo Kuma」の設計を依頼した理由や東京で行う新たなプロジェクト、そしてイアンさん自身のことについても伺ってきました。ぜひ、お楽しみに!

二本柳陵介
二本柳陵介
雑誌「ゲーテ」、ゴルフ雑誌「GREEN GORA」、会員誌「ACCORDIA」編集長。長谷部誠「心を整える。」(累計150万部)、桑田真澄「心の野球」など、書籍も担当。ツイッターとインスタグラムはyanaginihon。ゴルフに悪戦苦闘中。
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