女性が自立する思考回路とは? ブランドプロデューサー柴田陽子『勝者の思考回路』③

営業を一切していないのに数年先まで仕事の依頼が詰まっているという「柴田陽子事務所」、通称「シバジム」。その代表であり、 今年2月に『勝者の思考回路』を刊行したブランドプロデューサーの柴田陽子さんは、「今の成功は、思考回路のおかげ」と語る。そして、「この思考回路を身につければ、どんな人も今よりもっと仕事ができるようになり、成功に近づくはず。頑張っているのにイマイチうまくいかなくて、それを会社や他人のせいにしている人や、社員をもっと成長させたいと考えている経営者の方に手にとってほしい。自己啓発セミナーに参加するより、ずっとおトクだと思いますよ(笑)」と。その真意とは――。

女性はもっと自立すべき、男性はそれを受入れるべき

2018年9月に放映された『プロフェッショナル 仕事の流儀』(NHK)。目指すゴールに到達すべく、一切の妥協なく、仕事に誇りをもって邁進する柴田さんの生きざまは、多くの人の心を打った。放映後、NHKには「柴田さんを目指して頑張ります」という若い女性の声から、「娘にもあんな風に社会と関わって欲しい」という親世代の声まで寄せられるなど、反響は予想以上に大きかったそうだ。

「とても嬉しかったですね。女性はもっと自立すべきだし、男性は、自立している女性をもっと認め、好きになってほしいということを、世の中に伝えたいと思っていたので」

柴田さんがそう考えるようになったのは、幼い頃の2つのエピソードの影響が大きい。ひとつは、近所に住む裕福で幸せそうな家族が、夫のケガにより経済的に困窮し、美しかった妻がやつれ、子ども達からも笑顔がなくなってしまったこと。一家は、ほどなくしてその地を離れたそうだが、その時柴田さんは、「夫が働けなくなっても、『私がいるから大丈夫よ!』と言えるような女性になりたい」と思ったという。

「もうひとつの体験は、高校生の時のこと。母が、『心身共に疲れ切っている友人を励ますために旅行をプレゼントしたいんだけど、ダメかしら?』と、父に“お伺い”をたてていたんです。自分が働いていれば、夫にそんな相談をしなくてもいいのに。そう思ったのも、私が自立を目指すきっかけになりました」

仕事を優先することに後ろめたさを抱いたことも

柴田さんは、2009年と2011年に男児を出産。出産ぎりぎりまで仕事をし、産後すぐに復帰を果たした。いわゆる「産休」や「育休」は、ほぼ取得していないことになる。スーパービジネスウーマンの典型に見えるが、「仕事に行く途中、傍らにバギーを置いてランチをしているママたちを見るだけで泣いていました」とか。

「私は、まだ赤ちゃんの息子を他人に預けて働いている。なんて親なんだろうと思うと、涙が出てしまって……。専業主婦だった母の影響もあって、もともとは、子どもが家に帰ってくる時に『お帰り!』って笑顔で迎えられるようなお母さんになりたかったんです」

仕事はこれまで通り頑張りたい。けれど、自分の手でしっかり子育てもしたい。1日24時間という限られた時間の中、自分で自分の気持ちに整理がつかず、迷走したことも少なくなかった。

「1日3回、丸の内でミーティングや打合せがあった日に、その合間をぬって、子どもに母乳を与えるために2回も自宅に戻ったりして(苦笑)。時間に余裕があるわけではないので、バタバタと慌ただしくて、気持ち的にも追い詰められてしまったんですね。夕方、手伝いに来てくれた義母の姿を見たら、涙がポロポロとこぼれてしまった……。そうしたら、義母が言ったんです、『なんてムダなことをしているの! 子どもは母乳じゃなくても、しっかり育つわよ(笑)』って。『むしろミルクの方が、栄養バランスはいいかもしれないじゃない。気になるなら、母乳とミルク、どちらが子どもの成長に良いのか調べてみたら?』とも言われて、ハッとしました」

お互いに切磋琢磨し、成長し続けるカップルが理想

柴田さんの背中を押してくれた義母は、もともとキャリアウーマン。そんな母に育てられた夫は、「働く女性はかっこいい」と思って育ってきた男性だ。柴田さんが働くことを心から応援し、家事・育児にも積極的に関わっている。

「私と結婚していなかったら、夫は、ここまで子育てに携わらなくても済んだでしょうね(笑)。でも、一緒に過ごす時間が多いからこそ、息子たちは彼のことが大好き。夫は、それがすごく嬉しそうだし、誇りに感じていると思います」

「海外では、バリバリ働いている女性の方がモテるそうですよ。共にキャリアを積みながら、お互い切磋琢磨し、成長し続けるカップルが、憧れられるのだとも聞きます。残念ながら、日本はまだまだその域に達していない気がしますが……、世の男性たちが、自分よりもスゴイと思える女性たちを受入れ、共に成長することが素敵だととらえられるような社会になればいいなと思います。ウチですか? そんな夫婦になれているかどうかわかりませんが、ひとつ確実に言えるのは、息子のお嫁さんに子どもが出来たら、『私がみてあげるから、外で思い切り働いていらっしゃい!』と言って、全面的にバックアップするということ。それだけは、今から決めているんです(笑)」

Yoko Shibata
1972年、神奈川県生まれ。大学卒業後、外食企業での新規業態開発担当や化粧品会社でのやサロン業態開発などを経て、2004年「柴田陽子事務所」を設立。ブランドプロデューサーとして、コーポレートブランディング・店舗プロデュース・商品開発など、さまざまなコンサルティング業務を請け負う。携わった仕事に、2015年ミラノ国際博覧会における日本館レストラン、パレスホテル東京の7料飲施設、ローソン「Uchi Café SWEETS」、東急プラザ渋谷などがある。自身で立ち上げたアパレルブランド「BORDERS at BALCONY」のディレクターも務める。


勝者の思考回路 成功率100%のブランド・プロデューサーの秘密
柴田陽子 著
\1,650 幻冬舎


Text=村上早苗 Photograph=江藤義典