12月にU2が来日公演! 歴史的名盤『ヨシュア・トゥリー』を完全再現!!

12月にU2が来る。13年ぶりの来日。さいたまスーパーアリーナで2公演。名盤『ヨシュア・トゥリー』の完全再現ライヴだ。


伝説のライヴが日本で蘇る!

© DANNY NORTH

『ヨシュア・トゥリー』は1987年にリリースされたU2の代表的アルバム。「ホエア・ザ・ストリーツ・ハヴ・ノー・ネイム(約束の地)」「アイ・スティル・ハヴント・ファウンド・ホワット・アイム・ルッキング・フォー(終わりなき旅)」「ウィズ・オア・ウィズアウト・ユー」など、代表曲、ヒット曲てんこ盛りだ。1988年のグラミー賞最優秀アルバム賞と最優秀ロック・グループ賞の2冠に輝いた。その作品を全曲聴けるのだ。

© DANNY NORTH

このツアー、2017年にアメリカのフロリダ州マイアミで観た。2年前。このころはまだ日本公演が実現するかどうかはわからなかった。U2はセットが巨大。日本の会場に入りきらないことも多い。絶対に観なくては! その思いでアメリカへ飛んだのだ。マイアミの会場は、ハードロック・スタジアム。野外のU2を1度体験してみたかった。

しかし……、U2への道のりは困難を極めた……。

問題はまず会場への距離だ。ハードロック・スタジアムはマイアミの郊外。宿泊したマイアミビーチエリアから、往路はタクシー。でも、帰路の手段がわからなかった。田舎だし。治安は悪いし。ホテルのコンシェルジュを質問攻めにして検討に検討を重ねた。

次に、チケットの確保だ。持参したノートパソコンで検索しまくる。しかし、カード決済がうまくいかない。何度も試すうちに、席種や価格が変わる。日本ではありえない状況だ。10回以上トライしてやっとステージ下手側の最後列近くをゲットした。

よし! スタジアムへ向かう。しかし、今度はスタジアムのWill Callで本チケットにチェンジできない。なぜだ!? あせる。そのうち、サシコミに襲われた。まいった。男たるもの、日本人たるもの、こんなところで漏らすわけにはいかない。

Will Callのおねえさんが30分くらいトライしてくれて、ようやく本チケットが手に入った。その間に開演時間を迎え、オープニングアクトが始まっている。大音量のロックが外までに響いてくる。

しかし、さらに高いハードルが待っていた。会場にトートバックを持っていったが、ゲートで止められた。透明のバッグ以外は持ち込み禁止だという。テロ対策だ。所持品は、財布、手帳、スマホ、タオル、着替え……など。捨てるわけにもいかない。

その時、目の前に小型の清掃車が止まった。屈強な黒人が3人降り、ゴミ箱のペットボトルや空き缶を回収していく。その清掃スタッフの腰に、希望を見た。ビニール袋を何枚もぶら下げているのだ。

「袋を1つめぐんでもらえないでしょうか?」

片言の英語で懇願する。

「このアジア人、何言ってんだ?」

という表情で男たちは僕を見る。

そりゃそうだ。彼らはガチ仕事。ビニール袋が必要なのだ。それに対し、こっちはライヴを観るため。分が悪い。

すると、彼らの親分的おじさんが清掃車から降りてきた。

「どうした?」

子分たちに訊ねる。

「アジア人が(とは言わなかったが)、袋をくれ、と言っているんです」

子分の1人が答える。

「ビニール袋がほしいのはお前か?」

おじさんが僕に歩み寄る。

「はい。1枚いただけないでしょうか。透明の袋でないと会場に入れないのです」

僕は腰低くお願いする。

おじさんはにやりと笑った。

「お前は幸運だ。清掃用の袋はだめだが、オレのをやろう」

なんと「Hard Rock Stadium」のロゴ入りの手提げの透明袋をくれたのだ。

「ありがとうございます!」

気を付けの姿勢で深くお辞儀をする。

すると、おじさんは高らかに笑った。

「早くスタジアムへ入れ! U2が始まるぞ」

そうしているうちにサシコミは治まっていた。

というわけで、U2を観ることができた。

どでかいスタジアム、ものすごい人の数。6万人だろうか。7万人だろうか。フィールドはオールスタンディング。スタンド席から眺めると、ステージに向かって大波のように人間のかたまりが押し寄せていく。アメリカでもU2の人気はすさまじい。

オープニングは「ブラディ・サンデイ」。続いて「ニュー・イヤーズ・デイ」「プライド」。ボノの声は出まくり。エッジのギターは鋼のようだ。

そしていよいよ『ヨシュア・トゥリー』を1曲目から完全再現。「ホエア・ザ・ストリーツ・ハヴ・ノー・ネイム」も「ウィズ・オア・ウィズアウト・ユー」もオリジナルアレンジだ。

以前、ある大物女優にU2をテーマにインタビューをしたことがある。彼女はU2の大ファンで、イングランド公演のバックヤードでボノにも会ったそうだ。バンドの故郷、スコットランドにも訪れている。インタビューでは「ウィズ・オア・ウィズアウト・ユー」の魅力について、熱く語ってくれた。この曲はタイトルの通り、君といても君といなくても僕はもう生きていけない、それほど愛している、という内容。愛しすぎて苦しいという叫びだ。これほどの愛はあるのでしょうか――ということを話してくれた。インタビューにはドラマの撮影の合間、60分間の昼休みのうちの半分、30分間をいただいていた。しかし、彼女はランチを抜き、畳敷きの楽屋に座布団を敷き、お茶まで入れてくださり、60分も語ってくれた。

マイアミでのライヴは『ヨシュア・トゥリー』の後、さらに代表曲をやって、約2時間半。U2の世界を満喫した。

このものすごいツアーを日本でも体験できる。12月が待ち遠しい。


© ROSS STEWART
THE JOSHUA TREE TOUR 2019
日程:12月4日(水)、5日(木)
会場:さいたまスーパーアリーナ
料金:レッド・ゾーン¥60,000(専用入場口、特製チケット、バックステージツアー抽選参加権、開演前飲食有線など)、スタンディング前方¥19,800、スタンディング後方¥15,800、SS席(グッズ付き)¥38,800、S席¥19,800、A席16,800
問い合わせ:info@livenation.co.jp
公演特設ウェブサイト:https://www.u2japan2019.com/


Text=神舘和典