【サイバーエージェント流】仕事の悩み相談④「部内の雰囲気が悪くてメンバーの士気が上がらない…」

1998年の創業以来、インターネットに特化した広告事業を展開し、業界最大手に成長したサイバーエージェント。現在は「AbemaTV」をはじめとするメディア事業やゲーム事業などでも、時代に合った有益なサービスを提供している。そんな成長・拡大を続ける日本のIT界を代表する元気な企業、サイバーエージェントのインターネット広告事業部門の若手営業幹部に、多くの企業、管理職が抱える悩みを相談。第4回は「社内や部署の雰囲気を明るくし、社員のモチベーションを向上させる方法」について聞いた    

回答者:小池英二(37歳

サイバーエージェント執行役員インターネット広告事業本部 統括 

社内のカルチャー形成はラグビーが手本

2006年にサイバーエージェントに入社し、営業としてインターネット広告事業本部大阪支社に配属されました。2013年に西日本事業部統括 兼 大阪支社長に就任。翌年からはサイバーエージェントの執行役員に就き、西日本だけでなく東京本社も含めた広告事業の経営戦略も担当してきました。いまは東京での業務がメインで、週末に家族に会いに関西へ帰るという単身赴任の生活です。

仕事の内容は、広告事業における経営戦略の立案・実行に加え、2019年からは、企業のデジタル販促領域のマーケティング支援を行う専門組織「販促革命センター」の責任者も務めています。今後さらに伸びるデジタル販促市場において、組織としてもよりドライブさせていくためチームビルディングが欠かせません。いいチームをつくるには、何が必要でしょうか。

ラグビーワールドカップ日本代表のスローガン、「ONE TEAM」(ワンチーム)」。これは、メンバーが一致団結し、全員同じ目標に向かって1つになろうという意味です。この「ONE TEAM」の実現に向けて、何よりも大切なのは、ボード陣(経営メンバー)が結束できているかどうか。チームビルディングにおいて、これが全て、と言っても過言ではないと思っています。

そのためにボードメンバー間で、意見を出し合い、ぶつかることを恐れずに、何度も何度も対話を繰り返して自分たちの共通の価値観をつくっていくことが大事です。

ラグビー日本代表チームも当初、ヘッドコーチのジェイミー・ジョセフとキャプテンのリーチ・マイケルは、各々のスタンダードや目指すやり方が違っていたそうです。けれどそのたびに対話し、ときには言い合いになりながらもぶつかり合って、そうして、同じ方向を見るようになっていった、といいます。

日本代表チームのあの歴史的快挙に、選手たちが仲間のため勝利のためにひたむきにプレイする姿に多くの人が心を揺さぶられたと思います。その原点は、リーダー陣による血の通った強い結束から始まったことを忘れてはいけません。

「円」を想像してみてください。「円」で組織をたとえると、円の中心が、ボード陣です。まず、ボード陣の結束を固めることが大事です。次に、それと同じくらい大事にしているのが、円から最も遠い人たちです。

組織の全員が同じ方向を向き、全力で挑むような環境が理想ですが、最初からそれができているわけがありません。

僕は幼少期からラグビーをやっていましたが、自身の経験の中でも、たとえばキャプテンや3年生と新入生では、チームに賭ける情熱や目標が違っていることが大半でした。新入生は、円から最も遠い、円の円周上にいるような状態。中心まで距離があるうえ、円の外の景色、つまりラグビー以外のことも目に入ります。会社も同じ。円から最も遠い人たちである、入社間もない社員や営業職以外のスタッフやアシスタントなどの人たちに対して、コミュニケーションギャップを埋め、意識を内側に向かせることが必要です。

チームに対する関心度の低い円周上の人たちの意識が内側に向くことで、円の中にいる人たちの意識もより中心に向き、円(チーム)の全体が中心を向くようになります。したがって、組織のロイヤリティが向上します。

アクティベーション室とは?

その実現のための1つの施策として、「アクティベーション室」を設立しました。社内の活性化を目的にした社内横断組織で、2015年に西日本事業部で始まりました。その後、東京でも展開し、今では東京・西日本の拠点を問わず、管轄(部門)ごとにアクティベーション室が発足しています。現在も各管轄では、メンバーが自発的に組織のことを考え、動き、活発化施策が積極的に行われています。

アクティベーション室を設立した当初は、約100名が在籍する西日本事業部から、新卒、中途を問わず、入社間もない社員を中心に選出しました。彼らの主な業務は、社員同士の交流会や毎月最終営業日に行う締め会の企画と運営。アイデア出しはもちろん、外部からゲスト講師を招くなど内容はさまざま。こうした業務を通して、入社間もない社員は社内文化に早く馴染めるうえ、ベテラン社員も若手から刺激を得られます。

アクティベーション室を設立した成果は、見た目にも明らかでした。社員同士のコミュニケーションが円滑になって、社内の雰囲気はぐっと明るくなりました。それに伴うように、業績も上昇。西日本事業部はサイバーエージェント全社総会で表彰されました。

リーダーは、メンバーを “人一倍” 応援する応援団長であるべき

僕が考える、これからチームをつくっていく新任リーダーに期待することは、メンバーを“人一倍”応援する応援団長であってほしい、ということ。

たとえばメンバーの立場からすると、上司に厳しい指導を受けた際にも、上司が自分のことを人一倍応援してくれていることを理解していれば、その指導を受け入れることができるし、応援がパワーにもなる。「ミレニアル世代」はデジタルネイティブで承認欲求が強いのが特徴と言われていますが、メンバーが間違っているにも関わらず、承認することはマネジメントの観点では間違いです。しかし、彼ら彼女らに寄り添ってアドバイスし応援してあげることはできる。

リーダーがメンバーを人一倍応援し、メンバーの成果をきちんと組織内に伝えることを積極的に行っていくと、メンバー間でもお互いを応援し合う活発なチームワークが創出され、部署内にポジティブな空気がどんどん生まれていきます。それが文化として形成されていくのです。

会社が手がける事業は、日々、進化していきます。従来のやり方では通用しないということも出てくるでしょう。でも、社員が高いモチベーションを持って働ける環境ならば、その進化に適応できます。文化形成は、もっとも手を抜いてはいけない分野だと思っています。


Eiji Koike
2006年、サイバーエージェント新卒入社。インターネット広告事業本部大阪支社に営業として配属。2010年に大阪営業責任者に就任、前年比売上200%成長を達成。2013年、西日本事業部統括 兼 大阪支社長に就任。ダイレクトマーケティング局の設立をはじめ、大幅な組織編制を経て、Yahoo! JAPANエージェンシーカンファレンスに10期連続エリア大賞を受賞。2014年より執行役員に就任し、西日本のみならず東京も含めた広告事業の経営戦略を担う。2016年、サイバーエージェント台湾支社を設立し、支社長に就任。2019年4月より、企業のデジタル販促領域のマーケティング支援を行う専門組織「販促革命センター」の責任者も務める。


Text=川岸 徹 Photograph=鈴木拓也

【関連記事】
 【サイバーエージェント流】仕事の悩み相談③「スキルが未熟な若手とどうチームを作るのか?」 
 
【サイバーエージェント流】仕事の悩み相談②「周囲と馴染めない人材をどう扱うべき?」 

  【サイバーエージェント流】仕事の悩み相談① 「年上メンバーとうまく付き合うには?」