河野防衛大臣の"雨男"発言に見え隠れする政治家たちの「他人事スタンス」

最近、説明や謝罪時の、違和感のある言葉遣いが話題になりがちだ。当コラムでは、実際の発言を例にとり、公私の場で失敗しない言葉の用い方を考える。ビジネスパーソンのための実践言語学講座68、いざ開講!


「私はよく地元で雨男と言われました。私が防衛大臣になってからすでに台風が三つ」―――政治資金パーティでの河野太郎防衛大臣の発言

たび重なる台風が全国各地に大きな被害をもたらしている。大勢の方が命を失い、家を失い、困難な生活を強いられている。そんな状況で発せられた河野太郎防衛大臣の言葉が批判を浴びている。

「私はよく地元で雨男と言われました。私が防衛大臣になってからすでに台風が三つ」

河野防衛相の話の主題は、自衛隊の活躍だった。

「その度に、災害派遣、自衛隊の隊員が出てくれております。あらゆるところで頑張ってもらっている。隊員の処遇の改善をきちんとやらないといけない」

雨男は、落語でいえば「マクラ」程度の気分だったのだろう。自らの応援団が多く集まる政治資金パーティで、軽いくすぐり程度の気持ちだったのかもしれない。実際、会場では"雨男"発言のあと、笑いが巻き起こったという。責任問題だとか、謝罪すべきだとか、大仰に責め立てるつもりはない。恐らくこの問題については、「誤解を招く発言だった」、「説明不足だった」ということで流されていくことになるのだろう。ただ台風被害者の方々の立場から見ると、あまりにも他人事といった調子の軽い言葉が残念で仕方がない。

思えば、台風19号が猛威をふるったときの二階俊博自民党幹事長の発言も同じような空気をまとっていた。

「いろいろ言われていたことからすると、まずまずには収まったと感じている」

大学入学共通テストに導入される予定の英語民間試験について、テレビ番組での萩生田光一文部科学大臣の発言も同様だ。

「裕福な家庭の子が回数受けて、ウォーミングアップができるみたいなことは、もしかしたらあるかもしれないけれど、そこは、自分の身の丈に合わせて、2回をきちんと選んで勝負して頑張ってもらえば」

悪意があるとは思わない。言いたいことがわからないわけではない。だが、彼らは公人であり、国民の生活を守るべき立場の人間だ。台風被害者や必死でがんばっている受験生のことを想像すれば、その言葉を選ぶべきなのか、少し考えてほしかった。想像力の欠如は、ときに人を傷つける。いくら「そんなつもりはなかった」と釈明しても、傷つけられた側は彼らの発言を忘れることはないだろう。


Text=星野三千雄 Photograph=Getty Images



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