加藤雅也「世界を狭めないために自分を初期化する。そのほうが楽しい!」

9月6日公開の映画『影に抱かれて眠れ』の主演を務める加藤雅也さんに単独インタビューを敢行。演技への想いを探った。


演じるとは何か

すごみのある極道、お茶目な喫茶店のマスター、家督に悩む父親と、近年、役の幅がぐっと広がっている加藤雅也。

「『この役だったら彼だね』じゃなく、『こんな役をやらせたい』と思ってもらえるようになったというか。やっと役者として認められた気がします」

恵まれたルックスゆえに役が固定された時期もあった。それを打破すべく、ここ10年、舞台やネットドラマなどで、さまざまな役柄に挑戦。それが実を結び、多彩な引きだしを持つ役者と認知されたというわけだ。

「年をとると失敗しなくなるというけれど、それは、自分が得意な分野しかやらなくなるからだと思う。僕は、そうやって自分の世界を狭めることはしたくない。ある年齢になったら、全部初期化し、今までとは違うことをやってみる。そのほうが楽しいじゃないですか」

そんな加藤が、新たに挑んだのは、『影に抱かれて眠れ』。侠気ゆえに、裏社会に巻きこまれる画家を描いたハードボイルドだ。

「この映画のテーマは、諦念。でもそれは、ネガティブなものではなく、自分の道を、覚悟を持って選び、結果を潔く受け入れるということだと思います」

演じるとは何か。答えを求め、海外の演技論を学び、日本語という言語の特性に想いを馳せるなど、試行錯誤してきた。そこには、役者としての覚悟がある。

「役について考えて、考えて、でも、最後は無になって、その場で沸き上がってきた感情を解き放つ。そんな自然な演技がわかってきたのは、ごく最近。まだまだ、これからですよ」

©BUGCY
『影に抱かれて眠れ』
原作:北方謙三『抱影』(講談社文庫刊)
監督:和泉聖治
脚本:小澤和義
プロデューサー:中野英雄
配給:BS-TBS
出演:加藤雅也/中村ゆり、松本利夫、カトウシンスケ、熊切あさ美、若旦那/AK-69
9月6日(金)全国順次公開
とあるきっかけで裏社会と戦うことになる画家、硲冬樹(加藤雅也)。一方で、彼が純愛を貫く人妻が余命わずかであることも判明し……。舞台は横浜、哀愁溢れる映像と音楽、個性豊かな役者と、男の心を揺さぶるハードボイルド作品だ。
Masaya Kato
1963年奈良県生まれ。’86年、モデルでデビューし、その後俳優に転身。今年1月公開の映画『二階堂家物語』の主演をはじめ、ドラマや舞台など幅広く活躍。『加藤雅也のBANG BANG BANG!』(FMヨコハマ)のパーソナリティや奈良市観光特別大使も務める。


Text=村上早苗 Photograph=長弘 進 Styling=キムラレイコ[COMRADE]Hair & Make-up=最知明日香