【経営者の戦う体】マセラティ・ジョバネッリ社長がバイクで500km走破するまで

トップランナーはいつ会っても、パワフルでポジティブなオーラを放つ。それは仕事の質に直結する健康管理を徹底しているからだ。今や“ゴルフに継ぐ”ラグジュアリースポーツとして人気の、バイク。富裕層がここまでバイクトレーニングに明け暮れる理由を、マセラティ ジャパン代表取締役のジョバネッリ氏に訊いた。


身体を鍛えて健康であることは、経営者として当然

マセラティ ジャパンのグイド・ジョバネッリ氏にとって、春はバイクトレーニングの季節。

「3月から室内トレーニングを始めて、4月から本格的に距離を走ります。週3〜4日、1回60〜120キロくらい。東京はクルマが多いから、横浜までクルマで行って、そこから三浦半島を一周したり……。毎年6月に開催されるレース『パリ・モデナ』では、プロの選手などと一緒に5日間で500キロを走ります。高低差もかなりあるので、きちんと走りこんでおかないと、完走できないんですよ」

パリからイタリア・モデナまでを自転車で走破するチャリティツアー「パリ・モデナ」は、少年時代からバイクに乗り続けてきたジョバネッリ氏の発案で6年前から始まったイベントだ。

「このツアーは勝ち負けを決めるためのものではなく、1キロ走るごとに1ユーロを寄付するというチャリティイベントです。自分の楽しみだけでなく、誰かのためになるから、しんどくても頑張れるんです」

「パリ・モデナ」には、プロのバイク選手やアスリートも参加する。主催者としては、脱落するわけにいかない。

「レース前は食事も制限します。太りすぎないようにフードコーディネイターに管理してもらい、夜の炭水化物を控えたり、大好きなワインを我慢したり。おかげで昨年は5キロ減量できました。低カロリーの日本食には助けてもらいましたね(笑)」

仕事と趣味を分けて考えないから、ここまで本気でバイクとトレーニングにのめりこめる。

「バイクで走るのも仕事をするのも私の人生なのだから、分けて考えることはしません。どちらにもパッションを注ぐ。〝健全な精神は健全な肉体に宿る〞というじゃないですか。しっかりと身体を鍛えて健康であることは、経営者として当然です。それに最近ヨーロッパでは、バイクが〝新しい時代のゴルフ〞といわれるくらい、大人の楽しみ、富裕層のスポーツとして認知されています。バイクをやっていることは、ビジネスにもいい影響を与えている。日本のマセラティの顧客の方にもバイク好きな人が増えてきていますよ」

日本に来て1年半。昨年からは鎌倉から箱根を目指す日本版「パリ・モデナ ジャパン」も開催している。

「バイクに乗って自然のなかを走っていると、バッテリーが充電されていくような気分になります。そうやって自分をリセットすることで、仕事にも集中して打ちこむことができる。マセラティに乗るのと同じくらい、バイクも楽しいですよ(笑)」

頑張るのではなく楽しむ。それが健康にもビジネスにもつながる、それがジョバネッリ氏流のトレーニングなのだ。

:パリのイタリア大使館前を出発し、トスカーナ、フィレンツ ェを経てモデナのマセラティ本社を目指す「パリ・モデナ」
GUIDO GIOVANNELLI  
1970年イタリア生まれ。マセラティ ジャパン代表取締役。’99年にFCAグループに入社。同社内の各種ブランドで職務を経験、2012年よりマセラティを担当。西ヨーロッパのゼネラル・マネージャーを経て’16年11月より、マセラティ ジャパン社長を務める。「最初はスキーのトレーニングとしてバイクを始めたんだけど、すっかりのめりこんでしまったんだ」


Text=川上康介