【オフィス探訪】100年超えブランドへの愛があふれる日本コカ・コーラのオフィス

今年、創業132年を迎えた米ジョージア州アトランタに本拠地を構えるザ コカ・コーラ カンパニー。その日本法人で清涼飲料の企画開発やマーケティング、原液の供給を担う日本コカ・コーラのオフィスが渋谷にある。2016年に完成した同社の新社屋は、「コカ・コーラ」のアイコンであるコンツアーボトルと、「ジョージア・グリーン」と呼ばれるコンツアーボトル独特の色を随所に感じさせる魅力的なオフィスだ。年間約800種類もの製品を生み出し続ける日本コカ・コーラのオフィスを訪問した。


ブランド愛が育まれるオフィス

製品の企画やマーケティング、原液の製造などを担う日本コカ・コーラ。缶の自動販売機がこの世に出始めた1970年から渋谷を拠点としてきた同社は、2016年に新社屋を建て替えた。この年は、世界で一斉に「コカ・コーラ」ブランドのマーケティング戦略が刷新された年でもある。「Taste the Feeling」を新たなタグラインに掲げ、「コカ・コーラ」「コカ・コーラ ゼロ」などを世界No.1の飲料ブランド「コカ・コーラ」の下に統合し、全世界で共通のクリエイティブキャンペーンを実施するというものだ。日本コカ・コーラ本社の外観にも強く表れている。

外観のガラスもコンツアーボトルに使われるジョージア·グリーンと同様の色のガラスを採用している

「特徴的な外観を形成するガラスには『コカ・コーラ』のコンツアーボトルと同様の色を採用しています。「コカ・コーラ」誕生の地、米国ジョージア州アトランタにある森にちなみ、ジョージア・グリーンと呼んでいます。さらに、コンツアーボトルの独特の曲線も取り入れています。ちなみに、ビルの高さは、最も高いところで36.22mあり、コカ・コーラのコンツアーボトル約184本をタテにならべた高さです」(日本コカ・コーラ 広報担当者)

たくさんの日差しが差し込み、白を基調としたエントランスは、天井も高く、「コカ・コーラ」の明るくさわやかな感じを与える。

明るくさわやかな印象を受けるエントランス

「弊社のミッションは①世界中にさわやかさをお届けすること、②前向きでハッピーな気持ちを味わえるひとときをもたらすこと、③価値を生み出し前向きな変化をもたらすことです。その使命を、従業員一人ひとりが、日々の業務のなかで自然と意識し『コカ・コーラ』ブランドを強く感じることができるオフィスを目指しています」

エントランスロビー2階にあるカフェテリアには、コンツアーボトルを使ったユニークな照明が輝く。エレベーターホール手前の壁面にはクラウン(王冠)が埋め込まれ、各オフィスフロアをつなぐ階段がある吹き抜けには、コンツアーボトルを輪切りした形状がデザインされている。他にも、アトランタ本社のオフィスを参考にしたグラフィックウォールや、コンツアーボトルをデザインに取り入れたトイレのサインなど、ブランド愛があふれている。すべてが「コカ・コーラ」というブランドにつながっている印象を受ける。

コンツアーボトルを使ったユニークな照明が印象的なカフェテリア

また、ラベルやキャップ、ボトルを分別して捨てる集約型の空容器回収ボックスが至るところに設置されている。飲み終わった空容器は、必ず分別することになっており、それにより、従業員ひとりひとりが飲料メーカーとしての責務を意識しやすい環境になっているように見受けられる。

イノベーションを生み出すオフィス

コカ・コーラ社は約800以上もの製品を日本市場で展開している。一般的に、海外では果汁飲料や炭酸飲料、水など清涼飲料水の種類がある程度限られているが、日本の清涼飲料市場は、果汁飲料や炭酸のほかにも、水はもちろんのことフレーバーウォーターだけでも数種類、茶系飲料も数十種類、スポーツドリンクなど、消費者のニーズに合わせた多種多様な製品群が流通している。日本では、年間約1,000種類の清涼飲料製品が新発売され、そのうち翌年に残るのは3種程度と言われるほど熾烈である。

そのような市場環境において、常にイノベーションを生み出していくには、従業員間のコミュニケーション機会を増やし、新しいアイデアシードを誘発、業務のパフォーマンスを上げる働きやすいオフィス環境が望ましい。

日本コカ・コーラが展開する製品群が1階ロビーに飾られている

新社屋の執務エリアは、従業員同士のアイコンタクトを増やすため柱や仕切りを極力なくしたオープンプラン設計にしている。コミュニケーションを誘発し、部署を越えて打合せがしやすく新しい企画やアイデアシードが生まれやすい場になっているようだ。

同社は、執務室エリア以外でもコミュニケーションを活性化させるため、各執務室エリアと7階の会議室エリアをつなぐ吹き抜けの階段「コミュニケーションステップ」を設けている。踊り場を広く取り、コンセントやイスを配置し、階段で偶然出会った人との会話や打ち合わせや業務ができるような空間にしている。

執務室エリアである3階から会議室のある7階までをつなぐ従業員専用のコミュニケーションの活性を目的に作られた階段。5階は「綾鷹」をイメージした緑色、7階は「コカ・コーラ」の赤など、各階が主要なブランドカラーに色分けされている

パフォーマンスを向上させる環境づくり

日本コカ・コーラは、業務パフォーマンス向上させる環境づくりにも力を入れている。個々のデスクがある執務エリアには仕切りや壁が基本的にないため、コミュニケーションが取りやすい一方で、集中したいときやひとりになりたいときのためにどこでも仕事ができるよう、社屋の至る所にコンセント付きのフリースペースが設置されている。カフェテリアや屋上デッキスペースなどもフリーアドレスを採用している。

また、コミュニケーションの活性化を促す吹き抜けの従業員用の階段「コミュニケーションステップ」は、従業員の歩行を促進する目的もあり、健康面でもパフォーマンスの向上をサポートしている。さらに、食事面でも午前8時半から19時まで利用できる従業員専用のカフェテリア「コカ・コーラ カフェ」を2階に設置。自社製品を使用したメニューの提供や、豊富な野菜を用いたサラダバーの用意、昼食だけでなく朝食も提供し、従業員の健康とパフォーマンス向上をサポートしている。

「カフェテリアは窓が大きく、窓の外には緑が広がっていて開放感があり、リラックスして仕事することができます」と広報担当者

健康面だけでなく、働きやすさを考えた制度にも取り組んでいる。たとえば、柔軟な働き方を促進するために、フレックスタイムの導入のほか、週2回を条件に在宅勤務が可能な制度などもあり育児のため在宅勤務を利用する従業員も多いという。同社は、女性だけでなく男性でも育休が取りやすい風通しのよい仕組みづくりに取り組んでいる。

このオフィスでは、派遣社員などを含め、約600名が働いている。日本コカ・コーラは、このオフィスで従業員の健康とパフォーマンス向上をサポートし、ブランド愛を育み、従業員同士のコミュニケーションを活性化させる環境づくりに力を入れている。同社は、最大の資産である「コカ・コーラ」社の製品ブランド価値を活かし、消費者のニーズに応えた製品開発や企画を生み出すために日々問い直し、磨き続け、市場に新たな魅力を発信し続けている。

日本コカコーラ 
代表取締役社長 :ホルヘ・ガルドゥニョ
所在地:東京都渋谷区渋谷4-6-3
設立: 1957年6月25日
資本金: 36億円
従業員: 487人(2017年3月31日時点)
事業内容:清涼飲料の製造販売
URL: https://www.cocacola.jp/

Text=稲垣章(MGT) Photograph=松川智一