栗山英樹監督に見る リーダー(上司)の仕事とは何なのか?<中編>

リーダーの仕事とは何か。「結果を出し、選手も育てる」。それを実践するのが北海道日本ハムファイターズ・栗山英樹だ。中田翔、大谷翔平、清宮幸太郎そして吉田輝星……選手を成長させながらチームを勝たせる秘密はどこにあるのか。現役最長となる監督8年目の「リーダーの仕事」を徹底解剖する短期連載2回目。 

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栗山流失敗の捉え方

仕事をしていれば誰しも、失敗について思い悩むことがある。リーダーの立場であれば部下のミスや失敗に対して敏感になるだろう。

野球は失敗のスポーツと言われる。例えば、一流バッターは打率が3割を超えるが、裏を返すと一流でも7割は「打てない」のだ。他にも、野球には「防御率」や「ホームラン数」などさまざまな数字があり、それは結果と直結しているように感じられる。では、「失敗」は本当に「結果」とつながっているのだろうか。

リーダーは「失敗」をどう捉えるべきなのだろうか。

リーダーの仕事.2 「結果を大いに反省する」

たとえば、優勝できなかった理由は「防御率が悪かったから」とか「もう少し打率が上がっていれば、打てれば勝てた」などと指摘されることは多いだろう。

しかし、栗山英樹は「現場で戦っている自分の中には、そういった感覚はまったくといっていいほどない」(『稚心を去る 一流とそれ以外の差はどこにあるのか』より)と言う。

「いつも考えているのは、その数字でどうやったら優勝できるかということだ。2018年シーズンの数字でも絶対に勝ち切れたはずだし、優勝する方法はあったに違いないと思っている。

選手個々がいかにレベルを上げるか、数字を伸ばすかということは、正直なところ、監督が考えることではないと思っている。突き放すようで申し訳ないが、それは本人が考えればいいことだし、チームは選手のために専門職の指導者、コーチを用意してくれている。

だから、レベルを上げるとか、数字を伸ばすためにどうするか、ということはそのコーチに相談して一緒に考えてもらえばいい。それをやるもやらないも、本人次第だ。結果が出なければ一軍にはいられないし、そのまま放っておけばいずれは厳しい状況に置かれる。

自分でできない選手は、どのみちやっていけない世界なのだ。

それをいつもちゃんとやってくれている前提で、その数字でチームを勝たせるのが監督の仕事だ」(同前)
 
リーダーに求められているのは、今現場にあるもの(数字)で、どうやりくり(勝たせる)か、に尽きるというわけだ。

「勝てなかったときは、選手は頑張って力を出してくれたのに、勝たせる方向にもっていってあげる努力ができなかったことが悔しいし、大いに反省しなくてはいけないとも思っている」

試合に負けるといつも「こっちの責任」「選手に申し訳ない」と栗山英樹が話す理由は、この一環した考えがベースにあるからである。

そう考えると、選手や部下たちの「失敗」へのとらえ方も見えてくる。

まず、失敗は起こりうる前提のなかで、チームマネジメントをしていく必要がある。

そしてそこで出た結果に対しては――失敗のあるなしにかかわらず、大いに反省しなければならない。それがリーダーの仕事である。

後編に続く


『稚心を去る 一流とそれ以外の差はどこにあるのか』
栗山英樹 著
ワニブックス ¥1,350


栗山英樹監督に見る リーダー(上司)の仕事とは何なのか!? <後編>

栗山英樹監督に見るリーダー(上司)の仕事とは何なのか?<前編>



Text=森田智彦(ゲーテWEB編集部) Photograph=高須力