「それ、会社病ですよ。」儲からない事業を捨てた企業こそ雇用を守る!お手本は世界トップを誇るこの製造業 Vol.12


日本の製造業の苦境が伝えられています。日本の製造業は終わりだ、などという声もある。しかし、本当にそうなのでしょうか。
 80円まで円高が進んでも、巨額の利益を上げる会社が実はたくさんあります。ニッチ分野で世界シェアトップを誇る会社も少なくない。例えば、工作機械関連のファナックは、営業利益率が実に41.2%ですし、ウシオ電機は産業用ランプで世界シェアトップです。
 ニッチな企業だけではない。大企業でもブリヂストンやコマツのような高収益企業がある。製造業をわかっている人から見れば、日本は今なお、圧倒的な製造業大国なのです。
 しかし、実際に苦しんでいる会社があるのも事実。では、何が違うのか。やるべきことをやっていないのです。儲かっていない事業をたくさん残してしまっている。
 これだけの競争時代には、猛烈なスピードで新陳代謝をしないと取り残されます。どこで勝負するのか、はっきりさせないと。ブリヂストンもコマツも、いくつかの領域でダントツの強さを持っている。それができたのは、早い段階から強力なライバルとの厳しい競争にさらされ、鍛えられてきたからです。コマツはアメリカのキャタピラー社と、ブリヂストンはピレリとの熾烈な競争を乗り越えてきた。
 日本の製造業の強みは、安くて良質な労働力が国内にあったことです。中進国の段階では、この強みを漫然と使っても成長することができた。しかし、もうそんな時代ではない。奪い取ったビジネスは必ず奪い取られる。今、後進国に奪い取られているのは必然のことです。

しかし、悲観的になる必要はありません。例えば、国内マーケットにはまだ大きな潜在力がある。住設機器のような、国によって特殊性がある業界は、いくらグローバル時代といっても海外メーカーはそう入ってこられない。逆にそこに気づき、外国メーカーを買収して、その地で事業を拡大していく戦略を採る、リクシルのような企業も出始めている。
「選択と集中」には国内雇用の問題が常につきまといますが、では、そのまま儲かっていない事業を維持したところで雇用も維持できるのか。実際には、儲からない事業を捨て、儲かる事業にフォーカスすることで、競争に打ち勝って成長を遂げた企業のほうが、国内雇用も増やしています。どちらが本当に雇用を守ったといえるのか。
 これから日本企業が目指すべきは、得意のすり合わせや蓄積技術がモノを言う領域で、スモール・バット・グローバル・ナンバーワンの事業を積み上げていくことです。それが結果的に雇用も守り、さらに拡大させていくことになる。お手本はすでにたくさんあるのです。また、そういうマーケットには、ザッカーバーグのような起業家が突然登場することもないし、まだまだ技術的には課題のある中国や韓国の企業も入ってこられない。
 情理ではなく合理で判断する時期が来ています。それこそ、「いつやるか、今でしょ」なのです。

Text=上阪 徹 Illustration=村田篤司
*本記事の内容は13年8月取材のものに基づきます。価格、商品の有無などは時期により異なりますので予めご了承下さい