【経営者の戦う体】サントリー新浪剛史社長が“最強”の理由

トップランナーはいつ会っても、パワフルでポジティブなオーラを放つ。それは仕事の質に直結する健康管理を徹底しているからだ。サントリーホールディングス 代表取締役社長・新浪剛史氏の、そのぶ厚い胸板は15年間続けるトレーニングの賜物。仕事も肉体も“最強”でいるための新浪社長の生き方、そして働き方とは――。


仕事の筋肉を鍛え続けなければなりません

海外出張は、月2回以上。昨年は地球25周分、世界中を飛び回ったという。

「帰国したら、まずジムに行ってストレッチをします。夜中までかかることもありますが、これをやらないと疲れが回復しないんです」

2014年にサントリーホールディングス社長に就任した新浪剛史氏。ビジネスの最前線を走り続ける彼を支えているのは、週2回2時間のトレーニングだ。

「僕のスケジュールで一番最初に決まるのがトレーニングなんです。もう15年続けていて、これをやらないと不安になるくらい(笑)。メニューは、まず酸素カプセルに30分間入り、そのあと5キロのウエイトを持って、ステップを使った踏み台昇降を500〜1000回。それから腹筋、背筋、ウエイトトレーニングをやって、最後にストレッチ。以前はもっとハードにやっていましたが、今は鍛えるというより維持するのが目的。毎日会食続きですが、食事や酒は制限していません。その分しっかりと有酸素運動をやって、基礎代謝が1850カロリーを下回らないようにしています」

健康は経営の基本。サントリーホールディングスでは、"健康経営"を標榜し、社員にも健康への取り組みを呼びかけている。

「健康診断で引っかからないから健康というわけではない。グローバルでのビジネスの戦いを勝ち抜くには、健康な肉体、前向きに仕事に取り組む姿勢が欠かせない。社員が毎日ハツラツと過ごせるようにするのは、会社の責任だと思っています」

サントリーホールディングスでは、さまざまな独自の健康経営推進策を導入している。例えば、「ヘルスマイレージ」。ウォーキングやラジオ体操などでポイ
ントが溜まり、健康食品などの賞品と交換できるそうだ。

「インセンティブを出すことで、遊び感覚で健康を獲得できる。身体を動かせば血流もよくなり、気持ちもリフレッシュできる。仕事もプライベートもエンジョ
イできるようになります」

健康経営は、"働き方改革"と並ぶ重要な経営課題だ。

「社員の健康は、企業に大きなメリットをもたらします。仕事もトレーニングと同じで、少し負荷があるくらいがちょうどいい。それを頑張って続けていくと"仕事の筋肉"が育ち、より大きな仕事ができるようになる。健康な社員が企業を成長させてくれるんですよ」

超ハードな日々を送りながらも、それを感じさせない新浪氏。ガッシリとしたその肉体には、鍛え抜かれた"仕事の筋肉"がついているに違いない。

Takeshi Niinami                                                                  
1959年神奈川県生まれ。三菱商事、ローソン社長、会長を経て、2014年にサントリーホールディングス代表取締役社長に就任。米ハーバード・ビジネススクールで経営学修士号(MBA)を取得。高校時代はバスケットボール選手として活躍。


Text=川上康介 Photograph=太田隆生