発言を撤回する麻生太郎を反面教師に反省力を学ぶ ~ビジネスパーソンのための実践的言語学30

最近、説明や謝罪時の、違和感のある言葉遣いが話題になりがちだ。当コラムでは、実際の発言を例にとり、公私の場で失敗しない言葉の用い方を考える。ビジネスパーソンのための実践言語学講座、いざ開講!


「発言は今後気をつけたいし、撤回したい」ーーー発言について衆議院予算委員会で追求された麻生太郎副総理兼財務相

もはや麻生太郎副総理兼財務相がどんな暴言を発しても、それほど驚くことはない。問題の発言が行われたのは、地元での国政報告会。

「年を取ったやつが悪いみたいなことを言っている変なのがいっぱいいるが、それは間違っている。(中略)子どもを産まなかったほうが問題なんだから」

相変わらずの麻生節だ。デリカシーの欠片もない。同様の発言は過去に何度も行っている。しかし今回の予算委員会での態度には、目を疑った。衆議院予算委員会で立憲民主党会派の大串博志氏に発言の撤回と謝罪を求められると、質問の間、ニヤニヤしながら安倍総理になにやらヒソヒソ話しかけている。さすがに大串氏もこの態度に激高。「なにを笑っているんですか、大臣」と問いただす一幕もあった。

あのとき麻生副総理は、何を笑っていたのか、勝手に妄想してみた。

「ニヤニヤ。まーた野党がうるせーこと言ってるよ。めんどくせーなー。あいつら他に訊くことねーのかよ。しょうがねーから『反省してまーす』って言ってくるわー。ニヤニヤ」

怒られながらも、ニヤニヤ笑うことで余裕を示し、自らの威厳を守ろうとする。まるで悪さを注意された不良学生のような幼稚で不遜な態度にしか見えなかった。そんなニヤニヤのあとで、

「全体を聞けば趣旨を理解いただけると思うが、発言の一部だけが報道された。発言は今後気をつけたいし、撤回したい」

と殊勝な言葉を並べられても、まったく反省の意図は伝わってこない(もちろん微塵も反省していないのだろうが)。間違いや勘違いは誰にでもある。自分のなかの常識が時代によって変化し、戸惑いを感じることもあるだろう。だが、大切なのはその間違いやズレに気づいたときに、しっかりと自らを省みることだ。78歳の麻生副総理は、反面教師として私たちに正しい齢の重ね方を教えてくれているのかもしれない。

広辞苑によると「老害」とは「硬直した考え方の高齢者が影響力を持ち続け、組織の活力が失われること」。副総理兼財務省が活力を損ねている組織は、日本という国そのものだ。反省する力もないのであれば、ご勇退いただいても構わない。彼が自宅のリビングでひとりでニヤニヤしているぶんには、誰も不快な思いをすることはない。

Text=星野三千雄 


もはや芸の域に達した麻生太郎の失言•暴言力


活動休止会見で見せた、嵐の時代を読む力