【小山薫堂×小池アミイゴ】羽田空港で見たあの言葉の意味は? 旅する日本語⑩「差添い」

 今から飛行機に乗ろうと、羽田空港の出発チェックインロビーで頭上を見上げると、 壁面に巨大なアートギャラリーが広がっているのに気づくはず。それは、旅と日本語をテーマにした「旅する日本語」展。放送作家・脚本家の小山薫堂さんが耳慣れないけれど美しい日本語をもとに、旅にまつわる小さな物語を執筆し、 イラストレーターの小池アミイゴさんが絵画を描いたアートプロジェクトだ。このシリーズは、ふたりが作品に込めた想いを綴ったアナザーストーリー全11集。


差添い

三才の誕生日に母がプレゼントしてくれた
真っ白な仔犬のぬいぐるみ。
気づけば、不安なことがあるたび
その鼻にキスをする癖がついていた。
やがて茶色に変わり、
鼻もボロボロになったワンちゃんと
いったいどれだけ一緒に旅をしただろう?
そしてあれから二十年・・・
ついに、お留守番をしてもらう日が訪れた。
今までありがとう・・・
明日から、新婚旅行に行って来ます。

【さしぞい】
人を助け守るために付き添うこと。


Kundo's Another Story
よく子供がぬいぐるみを持っているじゃないですか。子供たちにとって持っているぬいぐるみが、不安なことを拭い去ってくれる存在なのかな、と思いました。ぬいぐるみ(=差添い)が心の友達みたいなイメージがあって、それをモチーフに書きました。

これは、ぬいぐるみを持っていた女の子が大人になった時に、それを置いていかなければいけないというストーリーです。いつも旅をする時に持っていたぬいぐるみを置いていく。これまで自分の心を支えるのはぬいぐるみだったけど、明日からは旦那さんに変わる、という夫婦の物語です。


Amigo's Another Story
息子が 赤ちゃんのころよく遊んでいた犬のぬいぐるみが、いい感じでくたびれてあったのをモデルにしました。

描いた場所も息子とよく遊びに行ってた小さな公園。都心には珍しく眺めのいい場所で、空が広く見渡せて、そこを飛行機が横切ってゆくのが見える。

息子の目の高さまで降りてゆくとぺんぺん草が生えていて、この物語の夫婦たちの結婚式のイメージを2本のぺんぺん草に託し、自分の中にある優しさや親密さみたいな、普段なら照れ臭くて仕舞っておくようなものも、思いきって描きました。


旅する日本語展 2018
国内線第1旅客ターミナル2階南北出発チェックインロビーにて「11」の日本語をテーマにした放送作家・脚本家の小山薫堂による旅の物語と、イラストレーターの小池アミイゴが色鮮やかな絵画を展示中(2019年の3月31日まで)。旅の物語と写真を全国から募集する「旅する日本語投稿キャンペーン」も、7月2日から開始予定。詳しくは公式HPまで。
https://event.tokyo-airport-bldg.co.jp/tabisuru/

Text=加藤久美子(ゲーテWEB編集部)

小山薫堂
小山薫堂
放送作家、脚本家。1964年熊本県生まれ。『料理の鉄人』など多くのTV番組を企画。脚本を手がけた映画『おくりびと』では、アカデミー賞外国語映画賞受賞。名レストランの経営手腕にも注目が集まる。
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