【サイバーエージェント流】仕事の悩み相談① 「年上メンバーとうまく付き合うには?」

1998年の創業以来、インターネットに特化した広告事業を展開し、業界最大手に成長したサイバーエージェント。現在は「AbemaTV」をはじめとするメディア事業やゲーム事業などでも、時代に合った有益なサービスを提供している。そんな日本のIT界を代表する元気な企業、サイバーエージェントのインターネット広告事業部門の若手営業幹部に、多くの企業、管理職が抱える悩みを相談。第1回は「年上メンバーとのコミュニケーションの秘訣」について聞いた。


回答者:宮田 岳(30歳)

サイバーエージェント執行役員 インターネット広告事業本部 営業統括    

史上最年少の出世は、重荷だった?

2012年にサイバーエージェントに入社し、14年10月に営業局長に。当時は、最速の局長就任でした。その1年後にはサイバーエージェント史上最年少で執行役員に就かせていただきました。入社して3年半で、まだ27歳でした。

執行役員就任には正直驚いたし、ギャップを感じました。当時の僕には、執行役員になるだけの力がないと、自分でわかっていましたから。ではなぜ執行役員に任命されたのか。サイバーエージェントには若手を積極的に抜擢していこうという文化があり、自分はその文化の一つの表れなんだと解釈。現状の力不足は仕方がない。ギャップを埋めるために、「誰よりも努力しなければならないな」と決意しました。

あえて実力に伴わない役職を与え、ギャップを埋めるための努力を引き出す。結果として、若手社員のモチベーションや質が上がり、会社全体にいい影響を与える。これがサイバーエージェントの成長の秘訣だと思います。

執行役員になって、社内・社外を問わず、正直言うと周囲からの妬みも感じました。あることないこと言われたりもしました。でも、気になったのは最初だけ。実力以上の役職をこなすために、やらなければならないことがあり過ぎて、それに集中していたら周囲からの妬みを気にする時間がなくなりました。

現在は、執行役員としてインターネット広告事業本部の営業部門を見ています。チームのメンバーは約100名。その100名のメンバーはとても多様です。入社したての新卒もいるし、僕より10歳も年上のアラフォー世代もいます。

配慮はあっても、遠慮はするな!

では、世代の違う部下とどのように接していけばいいのでしょうか。いまの時代、社歴が長い年上のメンバーが部下になるケースはめずらしくありません。でも、「年上のメンバーは気を遣うし、接し方が難しい」という声を聞くことがあります。

僕が心がけているのは、必要以上に年齢を意識しないということ。上司部下の関係でなく、役割の違いだと思っています。監督とエースの関係ですね。お互いの仕事はできないけどお互いにリスペクトしている、そういう関係が理想です。仕事では、年齢を考慮して、伝える内容を変えることはありません。言わなければいけないことは、年上のメンバーにもズバッと言います。「年上で言いにくいから、ここは我慢しておこう」などと考えては、信頼関係は築けません。

もちろん、そこに年長者への配慮はあります。言葉遣いも、敬語で話しますが、付き合いが深まるにつれて、“ため口”のような感じになっていくこともある。信頼関係や対人関係は、当事者同士の話なので、それがナチュラルであれば、それでいいのではないでしょうか。

結局のところ、必要以上に年齢差を気にせずに、相手に合った接し方をすればいい。そのためには、メンバーひとりひとりをよく知ることです。いま僕は約100人の組織をみていますが、全員のフルネームを言えるのはもちろん、常に各個人のキャラクターや強み・弱みを深く知る努力をしています。

僕の理想は100人のメンバーがフラットに位置する組織。その中で、お互いの強みを生かし、弱みを埋め合う、相互補完で成り立つ組織にしたいんです。例えば、100人のメンバーをいくつかのチームに分けるとします。各個人の強み・弱みを把握していなければ、最適なチームセットなどできないでしょう。

個人のやりがいと会社のベクトルを合わせる

強み・弱みを知るためには、やはり会話ですね。面談という形で話をすることもありますし、仕事合間の雑談や飲み会も大切にしています。会話を繰り返していると、キャラクターが見えてくる。「そろそろ結婚するの?」って軽く聞ける女性メンバーもいるし、そういう話題はタブーな人もいる。悩みを聞いてほしい人もいるし、話したがらない人もいる。年上、年下という括りなどではなく、それぞれが異なる「個人」として向き合うべきなんです。

会話のときは、腹を割って話すこと。とはいえ、相手の気持ちを探り出そうと、根掘り葉掘り、質問攻めにするのは最悪です。相手の本音を聞きたいなら、自分の本音も話すべき。人に好かれたいなら、まずは相手を好きになること。真っ先に「人心掌握したい」なんて考えるような人はダメですね。人の心は、そんな簡単なものではないと思っています。

いまは、言うまでもなく「個人」の時代です。平成時代は、会社のトップダウンで目標数字が降りてきて、その目標に対してマネージャーが社員のケツを叩く。激を飛ばして、目標達成させていくマネジメントスタイルが主流だったのではないでしょうか。

でも令和は、それでは通用しないと思っています。個人のやりがいや挑戦したいことを、会社の向かうベクトルと合わせることが重要。いまの、特に若い世代は、以前と比べて出世欲や野心よりも、やりがいや帰属意識、社会性を気にしている比率が高い気がします。

令和流のマネジメントの仕事は、個人が何を考えて働いているのかを把握して、やりがいのある目標設定をして、会社のベクトルと合わせ、その目標の障害を取り除く、ということだと思っています。

「キャリア・年次に関係なく、本音の対話をし、メンバー全員のやる気を引き出す。そして、個人と会社のベクトルを合わせ、チームに成果をもたらす」。これが僕の現状の理想とするやり方です。

Gaku Miyata
2012年4月、サイバーエージェントに新卒入社。インターネット広告事業本部にて営業に従事。金融や旅行など幅広い業界を担当し、2014年に営業マネージャー、同年10月に営業局長に就任。2015年10月、サイバーエージェント最年少執行役員に就任、インターネット広告事業本部の営業部門統括を務める。  


Text=川岸 徹 Photograph=鈴木拓也