【特集サイバーエージェント】27歳で執行役員! 半端ない若手抜擢が人を育てる

藤田 晋率いるサイバーエージェントは今年で創業20年。いまや社員数4500人以上、IT業界のリーディング企業だ。サイバーエージェントとはどんな会社か――という問いに対し、多くの人が「人材」の会社だと答える。そこでサイバーエージェントで活躍するキーパーソン8人にインタビュー。第3回目は27歳の時に当時最年少で執行役員になった、AbemaTV広告本部 本部長の山田陸さん。サイバーエージェントの強さとは何なのか――。


役職が人を育てる

入社当初は、自社メディアの広告商品開発やセールス、いわゆる営業職として働き始めた。どんな企業でも新卒社員の多くが通る、ごくまっとうな道だろう。

が、そこからのスピード感が他とは違う。2年目にマネジメントを担う管理職に就き、さらに3年後には執行役員へと抜擢された。

「営業をしていた最初の2年間、同世代の誰にも負けないと言い切れるほどのハードワーカーで、濃密な時間を過ごしたという自負はあります。当初から、ゆくゆくは幹部になって経営に携わりたいとも表明していました。

それでも、2年目にマネジメントの側に回り、5年目で執行役員というのはまったく予想していません。いきなり役割を得て、何をすればいいかわからないし、とまどいました。まずは自分で模索するしかなくて、とにかく走り回るしかなかった。

でも、ちょっと落ち着いて周りを見渡してみれば、むやみに恐れる必要はないとすぐに気づきました。仕事上の大きい役割を与えてもらったとはいえ、その他のことは、社内での扱われ方なんかも含めてとくに変わらない。自分より仕事のキャリアが豊富な先輩方も身近にたくさんいる。これまで通り、わからないところは教えてもらいながら進めばいいんだとわかったんです。

現在はAbemaTVを担当しています。私のミッションは、先行投資中であるAbemaTVの収益を上げること。世界的に見ても同じビジネスモデルがないので、一歩ずつ本当に手探りの状態ですね。知識、アイデア、人脈と経験値的に足りない面はいくつもありますが、そのあたりは社長の藤田をはじめ先輩方からアドバイスをもらって取り組んでいるところです」

サイバーエージェントの社員平均年齢はおよそ31歳。20代で重要なポジションを担う人材が出てくるのは道理だが、今度は若い世代の中で抜きん出た存在になる競争が激化しそう。山田さんの場合、どこを買われての抜擢だったのか。

「それはたしかに自分でも不思議でした。取り柄は人と話すのが好きなことくらいで、特別な得意分野もなかったので。それで、なぜ抜擢してもらえたのか藤田に直接聞いたことがありました。

その理由は、『おまえのことを悪く言うやつはいなかったから』というものでした。

大変ありがたいく、恐縮な言葉でしたが、それを励みに自分らしいやり方で組織を創っていこうと思いました」

輝かしい実績と肩書きを若くして手にした。そう言っていいと思うのだが、妬み、やっかみなどに遭遇して困ることはないのか?

「社内にそういう雰囲気がまったくないのはすごいことだと思います。若手の抜擢は組織を活性化させる戦略的な施策なのだと、皆が理解しているということでしょう。成長を見込んで、あの社員にあえて大きい負荷をかけているんだなとみなされるだけなので、ひがまれるようなことはありません。そもそも素直でいい人が多いので、ネガティブな感情ばかり渦巻くなんてことは少ないんです。

藤田は『役職が人を育てる』と言います。たしかにその通り。私自身もただの元気だけはある新卒社員でしたが、マネジャーや役員という役職をもらうと、それに見合った人間にならねばと真剣に考えましたから。

一社員から、できるだけ頑張って目線を上げて考えて行動していくと、だんだんそれが自分の人格になっていったりするものですよね。役職によって育ててもらったことを実感します」

自身が若いうちに得たメリットを、後進へも引き継ぐ活動も積極的に行っている。その一環として、20代社員の能力を引き上げるための「YMCA(ヤングマンサイバーエージェント)プロジェクト」を立ち上げ、初代幹事を務めた。

「若手管理職のためのマネジメント勉強会を開いたり、20代限定で藤田に直接事業プランを提案できるコンテストを開催したりしています。実際に毎年、2〜3のプランが事業化されて、ここから若手社長が生まれているんですよ」

「若手が活躍できる環境を!」とは、たいていの企業が目標として掲げるが、なかなかうまくいかずに単なる題目になってしまいがち。サイバーエージェントで「若手の活躍」が実現できている要因はいったいどこにあるのか?

「ここまで述べてきたことが日常的に行われていて、それが当たり前というカルチャーができあがっているからでしょうか。若手が抜擢されたロールモデルもたくさんあるので、身近にそうした話を聞くと、やはり励みになります。

私はもう30代になりましたが、後輩の20代には優秀な人が多くて頼もしいし、誇りに感じます。突き上げられる怖れを少し感じたりも(笑)。

このところ特に、エンジニアやクリエイターなど技術職に、優秀な即戦力の若手が集まっていて、これは大きな強みになっていきそうです。彼らが当社に集まる理由は、手がけているサービスの質と幅、そして一社員への裁量も大きいところです。ゲームもさまざまなタイプのものを運営していますし、AbemaTVのような世界的にも稀有なサービスをやっていると、動画系の分野でチャレンジしたいエンジニア・クリエイターには魅力的に映りますよね」


Riku Yamada
2011年で新卒入社。入社後は 自社メディアの広告商品の開発・セールスに携わり、入社5年目で執行役員に抜擢。20代の社員のみで構成される若手活性化、若手リーダー育成プロジェクト「YMCA」の初代オーナー。20代限定の社員総会表彰、新規事業創出などをしかける。現在はAbemaTV広告本部 本部長を務める。

Text=山内宏泰 Photograph=太田隆生


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