【渋野日向子】予選落ち翌週の逆転優勝に見る"力の根源"とは?~ビジネスパーソンの言語学72

最近、説明や謝罪時の、違和感のある言葉遣いが話題になりがちだ。当コラムでは、実際の発言を例にとり、公私の場で失敗しない言葉の用い方を考える。ビジネスパーソンのための実践言語学講座72、いざ開講!


「予選落ちは無駄じゃなかった。初心に戻れた感じです」―――大王製紙エリエールレディスオープンで優勝を果たした渋野日向子

間違いなく2019年の主役のひとりだ。8月に全英女子オープンを制した渋野日向子が大王製紙エリエールレディスオープンで2ヵ月ぶりに優勝。今季国内4勝目をあげ、賞金女王争いを盛り上げている。前週の伊藤園レディスでは8ヵ月ぶりの予選落ち。夏以降の注目度の高さからくる疲れもあるかと心配されたが、大会前にはすでに気分の切り替えができていることをアピールしていた。

「もう、あの、全然、(予選落ちした)その日の内にヘラヘラしてました」

そしてその言葉が強がりではないことを自ら証明。最終日は賞金女王レースのトップ、鈴木愛と同組での激闘を制して逆転優勝を果たした。

「予選落ちは無駄じゃなかった。初心に戻れた感じです」

いつも前向きで、底抜けの明るさが魅力の渋野だが、やはりモチベーションの維持には苦労していたのだろう。ツアーも最終盤。今年はメジャー大会を制し、賞金も全英女子オープンのぶんを加えると2億円近い。11月15日に21歳になったばかり、プロ2年目の渋野にはじゅうぶんすぎる成績だ。

自分のためだけに頑張るのは限界がある。本人がそのことを意識していたかどうかはさだかではないが、予選落ちの後は、たくさんの人に会うことでパワーをもらっていたようだ。

「応援してくれる人たちからも『今までずっと予選を通ってくれてありがとう』とか、前向きなメッセージをもらって、残り2試合、自分のためではなく、みんなのために頑張ろうと思いました。これほど“誰かのために勝ちたい”と思ったことはなかったかもしれません」

”誰か”のひとりが優勝決定の瞬間、グリーン上で抱き合った定由早織キャディ。1年間組んできたが、これまで彼女とのタッグで優勝がないことを渋野は気にかけていた。

「1年間たくさん迷惑をかけてきたので。最高の贈り物って優勝しかないなと思っていた。勝ててよかったです」

これから活躍を続ければ、さらに多くの人の思いを背負って戦うことになる。それをプレッシャーと感じず、パワーに変えられるのが渋野というゴルファーの魅力だろう。最終戦には賞金女王というプレッシャーが重くのしかかる。それでも彼女ならやってくれるのではないかと期待させるところが、すでにスターなのだろう。


Text=星野三千雄 Photograph=Getty Images

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