松岡茉優「お芝居ができなければ自分自身が消えてなくなってしまう」【未公開画像15点】

カンヌ国際映画祭最高賞受賞作『万引き家族』をはじめ、数々の映画に出演し、注目される女優・松岡茉優。主演最新作『蜜蜂と遠雷』で元天才ピアニスト・亜夜を演じる彼女にインタビュー。


最初の試写を見るのが精神的に一番しんどい

主演最新作『蜜蜂と遠雷』では、母の死をきっかけに表舞台から消えた元天才ピアニスト・亜夜を演じる女優・松岡茉優。

女優を続けることに葛藤することはありますかと聞くと、「出演作の最初の試写を見るたびに」と答える。

「精神的に一番しんどいんです。自分がイメージしている"このくらいやったはず""このくらいはできているはず”というのが、何ひとつできてなくて。今回も"どうせまた落ちこむんだろうな"と思って見て、やっぱり落ちこみました」

予選、審査、本選までのコンクールの推移を追う作品で、描かれるのは亜夜を中心とした若き天才たちの孤独と葛藤だ。

「コンクールの期間中に、亜夜を含む3人の天才が海岸で遊ぶ場面があるんです。原作では、その場にいる亜夜の友人が、それを写真に収めながら、"この3人が写っていることが、今後すごいことになる”と呟くエピソードがあって。その感覚が、演じるうえでの距離感を決めてくれた気がします。女優さんでも"この人、天才だな"と感じる人たちって、周囲から見られていることにまったく無意識だし無邪気なんですよね。近いところでそう思ったのは、『万引き家族』での安藤サクラさん。スクリーンで見ると打ちのめされ、ひれ伏してしまうんですが、現場でご一緒している時って本当に普通で。そういうことを思い返しながら演じていました」

作品内で意識したのは、同名原作で詳細に繊細に描かれる登場人物の背景をきっちりと感じさせること。それゆえに"教科書"たる原作は常に持ち歩き、「ここはお芝居で必要になる」という部分は抜粋してノートに書きだし、日々読み返していた。

「亜夜自身が考えて考えて表現していく天才だったので、私もその場その場の感覚ではなく、計算して作り上げることを心がけました。ただ彼女の"孤独に生きるしかない"という強さは、私にはない要素だったので、演じるのがきついところもありましたね。唯一の共通項は、ピアノに対する彼女の思いと、お芝居に対する私の思い。演じながら常に心に留めていた究極の問いは、"もし私がお芝居を失ったら……"。それは、言葉にするのすらちょっと恐い、自分自身が消えてしまうような感覚なんですよね」

Mayu Matsuoka
1995年東京都生まれ。2007年に女優デビュー。’17年初主演映画『勝手にふるえてろ』、’18年カンヌ国際映画祭最高賞受賞作『万引き家族』で注目を集める。『ひとよ』『劇場』が公開待機中。
トップス¥39,000、スカート¥240,000(ともにシクラス/ザ シークレットクロゼット二子玉川 TEL:03・6431・0710) 靴¥84,000(ジミー チュー/JIMMY CHOO Communications TEL:0120・013・700) バングル¥9,000(ナチュラリ ジュエリ/ナチュラリ ジュエリ 西武渋谷店 TEL:03・5428・4118)


©2019「蜜蜂と遠雷」製作委員会
『蜜蜂と遠雷』
原作:恩田 陸「蜜蜂と遠雷」(幻冬舎文庫)
監督・脚本・編集:石川 慶
配給:東宝
出演:松岡茉優、松坂桃李、森崎ウィン、鈴鹿央士(新人)
全国公開中

Text=渥美志保 Photograph=井出眞諭 Styling=有本祐輔( 7 回の裏) 宮本 愛(yosine.)