やりすぎくらいがちょうどいい! 自分自身でリスクマネジメントを~ビジネスパーソンの言語学89

最近、説明や謝罪時の、違和感のある言葉遣いが話題になりがちだ。当コラムでは、実際の発言を例にとり、公私の場で失敗しない言葉の用い方を考える。ビジネスパーソンのための実践言語学講座89、いざ開講! 

「後で振り返って『大事をとりすぎた』と言われるくらいでちょうどいいんじゃないか」ーーー新型コロナウイルス感染拡大防止のため、チームとしての活動を無期限停止としたソフトバンクホークスの王貞治球団会長

新型コロナウイルスが日常生活に与える影響が日々刻々、大きくなってきている。芸能界では笑いの巨匠・志村けんさんが命を落とし、スポーツ界でも阪神タイガースの藤浪晋太郎投手らの感染が確認された。もはや大都市はオーバーシュート目前、いつどこでだれが感染してもおかしくないような状態だといっても過言ではないだろう。

そんななか、4月24日の開幕を目指しているプロ野球界では、チームとしての活動を停止し、感染拡大防止につとめる球団が増えてきている。当初3月の開幕を延期し、これまでは無観客の練習試合などを行ってきたが、大人数が集まり、試合会場への移動もしなければならないことから、すべての活動を停止したほうが感染防止になると判断したのだろう。ソフトバンクホークスでは、1軍から3軍までの活動を停止し、自主練習もふくめ球団施設の使用を禁止。選手には自宅待機を命じた。

「選手達の健康が大事だし、応援してくださる方の健康にも関わること。後で振り返って『大事をとりすぎた』と言われるくらいでちょうどいいんじゃないか。生まれてから1度もないこと。できる防御策をとるしかない」(ソフトバンクホークス・王貞治球団会長)

4月24日に開幕できたとするならば、この活動停止がチーム力に影響を与える可能性は小さくないだろう。選手のコンディションを把握することができないし、チーム連携の練習もできない。選手は自主練習に励むだろうが、試合勘を取り戻すにはそれなりに時間がかかる。それでもソフトバンクは、大事をとった。藤浪投手ら3人の感染が確認された阪神タイガースが混乱に陥ってしまっているようにいったん感染者が出てしまったら、野球どころではなくなってしまう。プロ野球の影響の大きさを考えても懸命な決断だったといえる。

プロ野球をビジネスとして考えたら、現在全チームがまったくの無収入。もしシーズン中止になったら、莫大な赤字を抱えることになる。その最悪の事態を避けるためにも今できることをすべてやるという姿勢なのだろう。リスクマネジメントとは、最悪の事態を想定し、それを避けるためにどうすべきかを考えることだ。この新型コロナウイルスは、ビジネスどころか自分や自分の親しい人間の命すら奪いかねない。政府の対策に文句を言っている場合ではない。会社の判断にしぶしぶ従っている必要もない。今は自分自身でリスクマネジメントをしなければならないタイミングだ。私たちは間違いなく「生まれてから1度もない」状況にある。大事をとりすぎるくらいのことをやるべき時期にあるのは、間違いない。

Text=星野三千雄