「家事を手伝っても、妻に感謝されずに注意されてしまう」 ~夫婦の悩みはアドラー心理学で解決②

仕事に情熱を燃やし、持てる力を精一杯発揮しているという自負はある。けれど、家庭でのパフォーマンスはというと……、なんだかビミョー。世間でもてはやされている育メンやイケダンを目指して努力しているのに、妻からの評価は、いっこうに上がらない。そんなパパたちに贈るアドラー式「夫婦関係の改善策」。 第二回は、「家事を手伝っても、妻に感謝されない、どころか重箱の隅をつつくように注意されてしまう理由とは!?」。

感謝されたいのはお互いさま

平日は仕事に追われ、家のことは妻に任せっきり。せめて休日は、家事を手伝い、夫としての評価アップを狙ったものの、食器を洗えば、「そんなに洗剤を使わないで」とダメ出しされ、洗濯物を干せば、その後に妻が干し直す。こちらの頑張りをまったく評価せず、嫌みな態度をとる妻に腹が立ってくるけれど……。

『アドラー式働き方改革 仕事も家庭も充実させたいパパのための本』『アドラー式子育て 家族を笑顔にしたいパパのための本』の著者である熊野英一さんは、「日頃から家事をやっている妻と、時々しか手伝わない夫。となれば、レベルが違って当然のこと。妻が、夫のやり方にダメ出しするのは、ある意味しかたがありません」と前置きした上で、「もっとも、どんなに家事のテクニックを磨いても、妻があなたに感謝することはないと思います。問題は、別のところにあるのだから」と。

「家族のためにがんばっていることを認めてほしいし、感謝してほしいという夫の気持ちもわかります。それは、妻も同様。もしかしたら、夫の100万倍思っているかもしれません。結局、お互いに、言ってほしい言葉をはっしょってしまっているんですよね。だから、細かいところを指摘され、イヤミな言い方でダメ出しされてしまうのです」

自分の言動はブーメランになって返ってくる

努力が報われるためにも行いたいのが、前回も取り上げた“共感ファースト”。

「まずは妻に共感をし、『いつも大変だよね。ありがとう』『君がやってくれて、助かっている』と、感謝の気持ちを示し、それから、『食器の洗い方はいつもどうやっているの?』『洗濯物はどう干せばいいか教えて』と、インタビューを。良くも悪くもですが、自分がとった言動は、ブーメランになって返ってくるもの。どちらが先でも構わないのですが、今回はぜひ、夫からアクションを起こしてほしいですね。自分が『ありがとう』の言葉を口にすれば、妻からもきっと返ってくると思いますよ」

妻に「ありがとう」と言うことは、食器の洗い方を研究するより、洗濯物の干し方を極めるより、ずっと簡単。それでいて、何倍も、いや、何十倍もの効果がある。しかも、どんなに多忙なビジネス戦士でも、感謝を示す時間くらいは確保できるはずだ。

「休日だけと言わず、毎日帰宅した時に妻に声をかけてみましょう。『今日もお疲れ様』『今日はどうだった?』と、夫から関心を示されるだけでも、妻としては嬉しいもの。仕事で疲れているのだから、カンベンしてほしい? あと10分の残業だと思って、ぜひお試しを」

他者に貢献することで幸せを感じられるように

万が一、妻の態度が変わらなかったとしたら?

「妻に承認されることは、ひとまずあきらめ、とりあえず自分で自分を承認すればOK。『こんなにやったのに』という自己犠牲の意識ではなく、『食器を洗ったことで、家族の役に立てて良かった』と、自分を肯定するのです。人の喜びは、自分自身が価値のある存在だと思えることですが、それは、他者に貢献することで育まれます」

アドラー心理学には、“幸せの3条件”があるという。ひとつ目は、「自己受容」で、弱さを含めて等身大の自分を受け入れること。ふたつ目は、「他者信頼」で、自分の期待に応えてもらえないとしても、相手を信頼し、関係を結ぶこと。そして、3つ目が「他者貢献」である。

「この3つがそろうことで、自分も他者も勇気づけられるようになり、幸せを感じることができるようになります。とても本質的で、シンプルな原理原則ですが、身につくまで、繰り返し実践してください。習い事と同じです(笑)」

3週間続ければ、それは習慣になると言われる。まずは3週間を目指して、取り組んでみては?

Today’s Advice
「自己犠牲ではなく他者貢献と捉えることが、幸せにつながる」


Eiichi Kumano
アドラー心理学に基づく「親と上司の勇気づけ」のプロフェッショナル。日本アドラー心理学会正会員。1972年生まれ。早稲田大学政治経済学部を卒業し、メルセデス・ベンツ日本勤務の後、アメリカのインディアナ大学ケリー経営大学院に留学、MBAを取得。帰国後、保育サービス業などを経て、2007年、株式会社子育て支援を創業。著書に、『アドラー式働き方改革 仕事も家庭も充実させたいパパのための本』『アドラー式子育て 家族を笑顔にしたいパパのための本』(共に小学館クリエイティブ)などがある。
もっと知りたい人はこちら! 熊野英一さんの著書『アドラー式働き方改革 仕事も家庭も充実させたいパパのための本』(小学館クリエイティブ)をチェック。


Text=村上早苗 Photograph=鈴木克典