本田圭佑の言語論「"学校"とは、好みを肯定する場」【本田思考。⑤】

サッカー選手 兼 監督 兼 投資家 兼 起業家・本田圭佑は、言葉を使うことで、自らをインスパイアし、世界にサプライズを起こす。その脳にはどんな言葉=「本田思考」。が隠されているだろうか。

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自分をしっかりと語れる人間を育てる

学校の役割は、ふたつあります。子供たちにそのふたつを教えることができさえすれば、人生を楽しみながら強く生きていけるようになると思っています。いい高校、いい大学に進むための知識を教えるだけの学校であれば、「行く必要はない」というのが僕の意見です。

役割のひとつ目は、それぞれの"好き"を見つけてあげて、その気持ちを肯定し、伸ばす手助けをしてあげること。もし僕が小学校を作るとしたら、最初の授業は「やりたいことをやりなさい」。ゲームをする子がいるかもしれないし、サッカーボールを抱えて校庭に出ていく子もいるかもしれない。何をしていいかわからなくてキョロキョロしているだけの子もいるでしょう。

12日、Aリーグ・ファイナルシリーズ準決勝が行われ、本田が所属するメルボルン・ビクトリーはシドニーFCに敗退。本田のAリーグでの今シーズンが終了し、20試合出場で7ゴール7アシストだった。

でもそれでいいんです。YouTubeを面白がっている子には、画面の中と同じことをやってみようと提案します。サッカーをしたい子とは一緒にボールを蹴る。やりたいことが見つからない子には「何でもいいんだよ」と声をかけて、ゆっくり話を聞いてみる。そうやって好きなことを見つけることができたら、子供たちは自分で前に進めるようになります。

もちろん好きなことをやろうと思うと、時には楽しくない時間も過ごさなければならないという現実も伝えなければならないでしょう。サッカー選手も、できればフリーキックやシュートの練習だけをしていたい。でも残念ながらそれだけではうまくならないから、しんどい思いをしてフィジカルトレーニングをするのです。好きなことをやるためには、楽しくないこと、苦手なこともやらなきゃならない。単に「がんばれ」、「努力しろ」と言っても子供たちはついてきません。その先、努力の先にあるものをきちんと見せることが大切だと思います。

学校の役割のふたつ目は、誰もひとりでは生きられない、友達や仲間とともに生きているんだと教えること。例えばYouTubeの画面に写っているのはひとりかもしれないけど、実はその画面の外側にも人がいて、みんなでその映像を作っている。自分の好きなことをやりたい。でも周りには自分以外の人間もいる。時には方向が異なり、対立関係になるかもしれません。そういう時に自分の好きを貫き通すか、友達の意見に従うか、あるいは互いに話し合い、納得できる妥協点を見つけるか。その時々でどういう判断をするのが正解か、自分の頭で考え、行動することができる子供が育てばいいなと思います。

これからさらにIT化、グローバル化が進んでいけば、学校名を並べただけの学歴はほとんど意味を持たなくなるでしょう。自分はどんな人間で、何をしてきて、何ができて、何をしたいと思っているのか。そんなふうに自分をしっかりと語れるような人間を育てる。それが学校の、いや僕たち大人の大切な仕事なのではないでしょうか。

本田思考。⑥に続く


Composition=川上康介



本田圭佑
本田圭佑
1986年大阪府生まれ。J リーグ名古屋グランパスエイトでプロデビュー。W杯に3大会連続で出場し、全大会でアシストと得点を記録。2020年2月、ブラジル1部ボタフォゴに入団。カンボジア代表の監督も兼務する。中高生のための月額1ドルのオンラインスクール「NowDo」を開校。
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