「面白い」を追求する作家・森博嗣に聞く「つまらなさ」と「生き辛さ」を消すコツ

「最近面白いことがないなあ……」。そんな漠とした物足りなさを抱えている。あるいはもっと切実に「生き辛さ」を感じているかもしれない。「面白い」を追求しつづける人気作家、森博嗣さんに解決策を聞いてみた。

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「つまらない」はどうしたら消えるのか?

まず、森博嗣さんの考えでは、「つまらない」は決して「面白い」で打ち消せるものではないという。

「面白いことをすればなくなる、と考えがちですが、そうではありません。『つまらない』ときに『面白い』ことをすると、『つまらない』と『面白い』の両方が存在する状況になるだけのことです」

いきなり出鼻をくじかれる。では、シンプルにまず「つまらない」の解決方法は。

「『つまらない』を、早く処理することが、『つまらない』をなくす唯一の方法です。処理するとは、それを片付ける、という意味です。たとえば、つまらない会議があったとしたら、その会議に嫌々参加します。そうすれば、その会議がおわったときには、晴れ晴れとするわけで、つまり、つまらなさが消えているのです。ただ、将来的にこのまま続くのは困る、と強く感じたら、その仕事から離れることです。そうすれば、つまらなさは消えます」

しかし、と森さんは続ける。

「世の中には、『面白い』ことと『つまらない』ことは、だいたいセットになっていて、どちらか一方だけを得ることが困難なように設定されています」

「生き辛さ」はどうしたらなくなる?

「つまらない」という概念のほかにも、「生き辛さ」がある。これについてはどうか。特効薬はないのだろうか。森さんは人生を畑にたとえてこう語る。

「まず、基本的な原理というか、傾向を理解することです。なにかを積み重ねた結果として、良いことが得られます。畑を耕し、種を蒔 き、雑草を取り除き、しかも天候に恵まれれば、最後に収穫することができます。ものごとは、だいたいこういう仕組みになっています。

『生き辛さ』は、現在収穫がない畑に立っている人が感じるものです。その『生き辛さ』は、その人が長い時間をかけて作り出した結果でもあります。目の前にあるのは、『生き辛さ』が現れるまで、放っておいた畑なのです。

ですから、どうしたら『生き辛さ』がなくなるのかといえば、今から畑を耕し、種を蒔き、雑草を取りなさい、としかいいようがありません。それをすべてしても、天気が悪ければ、収穫はありません。でも、みんながこうして、生きているのです。すぐには改善しません。長い時間がかかると思います」

結局、人生に近道はない。おのおのが自分が直面する困難と格闘するしかないのである。そんなシンプルなことを森さんは教えてくれた。

続く

Hiroshi Mori
1957年愛知県生まれ。作家。工学博士。国立大学工学部助教授として勤務するかたわら、'96年に『すべてがFになる』で第一回メフィスト賞を受賞し、作家としてデビュー。以後、次々と作品を発表し人気作家として不動の地位を築く。現在までに300冊以上の著書が出版されている。近著『面白いとは何か? 面白く生きるには?』が絶賛発売中。


『面白いとは何か? 面白く生きるには?』
森博嗣著
¥830 ワニブックス刊


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