【サイバーエージェント流】仕事の悩み相談②「周囲と馴染めない人材をどう扱うべき?」

1998年の創業以来、インターネットに特化した広告事業を展開し、業界最大手に成長したサイバーエージェント。現在は「AbemaTV」をはじめとするメディア事業やゲーム事業などでも、時代に合った有益なサービスを提供している。そんな成長・拡大を続ける日本のIT界を代表する元気な企業、サイバーエージェントのインターネット広告事業部門の若手営業幹部に、多くの企業、管理職が抱える悩みを相談。第2回は「周囲と馴染めない人材をどうマネジメントするか」について聞いた。


回答者:膽畑匡志(42
歳)

サイバーエージェント インターネット広告事業本部 人事本部長 兼 CAM 取締役

本人を必ず活かし輝かせる!

サイバーエージェントに入社したのは2001年のことで、新卒2期生でした。当時は毎週誰かが入社しては、入れ替わるように誰かがやめていく。そんなカオスのような状況(笑)。サイバーエージェントの形が固まってきたのは、入社から5~6年目くらいでしたね。

最初の配属はインターネット広告事業の営業でしたが、2012年にサイバーエージェントの全社人事本部に異動。カルチャー推進室 室長、人事システム室 室長、人材科学センター室 室長などを兼任し、子会社のCAMの取締役も。現在はインターネット広告事業本部にて人事本部長と、引き続きCAMの取締役を務めています。人事の仕事をするようになって8年目です。

どこの会社でも同じだと思いますが、人事部には悩みをもった社員からの相談がやって来ます。「やりたい仕事ができず、成果が出せない」「人間関係に悩み、部署を異動したい」「この会社は自分に合わない。辞めたい」「部署の雰囲気が良くない」など、悩みはさまざまです。

こうした問題を部署内で解決できればいいのですが、人事部まで上がってくるケースは何が要因なのでしょうか。

誰にでも"ハマりどころ"はある!

大きく2つあると思います。

1つは上司とのコミュニケーション不足です。そのような悩みの相談のときには、人事としては、まず「上司との率直な対話の機会をつくること」が最も重要です。

2つめは、部署の業務内容やカルチャーが本人と合っていないという「ミスマッチ」のケースです。サイバーエージェントは本人の「やりたい」という意志を尊重しているので、結果的に9割ほどが希望通りの配属先になっていますが、それでも、本人が自分のやりたいことをよくわかっていなかったり、やりたいとは思っていても不向きだったりすることもあります。

私は、「どんな人にもハマりどころはある」と考えています。これまでの経験で、部署が変わったら見違えるように成果が出た。そんな事例をたくさん見てきています。しかも、ちょっとした変化で、大きく変わることが多いのです。

特に優秀な人って、その優秀さゆえに、周囲から孤立しがちな面もあるでしょう。同じような仕事の内容でも、部署を変えるだけで人間関係が改善され、すべてがうまく回り始めることもあります。プロ野球で、巨人時代は振るわなかったのに、トレードで阪神に行ったら素晴らしい成績を残した。そんな感じです。

ミスマッチのときには、本人のいいと思うところ、悪いと思えるところを率直に話します。厳しいことも言いますから、ショックを受ける人もいます。でも多くの人は納得し、「正直に言ってくれてうれしい」と感謝されます。まずは、率直に話すことですね。相手に遠慮をして弱点を指摘しないでいると、事態はより悪くなるだけなんです。

人事として大切にしていることは、1に「当事者同士で率直に話す機会を作り、解決を目指す」。2に「必ずハマりどころがあると信じ、本人が輝く成果を出せる場所を見つける」。この2つです。

共感を得る話し方とは

悩みを抱えた人と話す時には、まず僕から自分の話をします。「僕は将来、こういうふうになりたいんだよね」とか、「サイバーエージェントってこういうことを考えている会社だと思うよ」とか。“自分語り”をしてから、相手にも心を開いてもらう感覚。初めから「理由を話してください」では、相手も本心を切り出しにくいはずです。  

話し方は、want口調になるように意識。「~しなければダメです」「~するべきでしょう」といった"ねばべき口調"ではなく、「~しようよ」「~したいよね」のようなwant口調。会話の語尾に気をつけるだけで、自分と相手が同じ方向を向くことができます。

いまでは偉そうに言っていますが、私も昔はまったくできていなかった。過去の社内講演のビデオなんかを見ると、「~しなければ」と口癖のように言っている(笑)。気をつけるのは上から目線ではなく、相手と一体になる話し方です。

社内のチャットに積極的に参加することも心がけています。ほぼ毎日、私が感じていることを書いたメッセージを配信。知っておいてほしい社内ニュースなども取り上げます。人事部として、日々社員を知る努力をしていますが、“知られる努力” も同じくらい大切。

「何を考えてるか分からない」と僕自身が周りから言われてしまってはいけないなと思っているので、いまの関心事や気づいたことなどを発信し、メンバーと思考レベルでの情報格差をなくすよう意識しているんです。チャットへの返信? あまりないですね。何でもいいので、反応を見せてくれるとうれしいのですけど(笑)。


Masashi Ihata
2001年、サイバーエージェント新卒入社。インターネット広告代理事業の営業部門に配属となり、営業マネージャー、営業局長、営業部門の統括を経て、2006年に博報堂とのジョイントベンチャーの子会社を設立。代表取締役社長に就任する。2012年、サイバーエージェントの全社人事本部に移り、社長室や採用育成部の部長、カルチャー推進室室長、人事システム室室長、人材科学センター室室長などを兼任。その後、子会社のCAMの取締役に就任。2018年からはサイバーエージェントインターネット広告事業本部にて人事本部長を務める。引き続きCAMの取締役も兼任。


Text=川岸 徹 Photograph=鈴木拓也


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