500人待ちの英語ジム「ENGLISH COMPANY」とは?【スタディーハッカー】

2015年のサービス開始以来、人気を博し現在でも常時500人以上が受講待ちの時短型英語パーソナルジム「StudyHacker ENGLISH COMPANY」。なぜ人気なのか。数ある英語スクールとの違いは何か。同サービスを運営するスタディーハッカー代表取締役社長・岡健作氏と、英語科の責任者を務める取締役・田畑翔子氏に話を聞いた。

人気の秘訣は短期3ヶ月で成果が出ること

ーーなぜ数ある英語学習スクールのなかでも今、「ENGLISH COMPANY」はここまでの反響を得ているのでしょうか?

岡:ずばり、「3ヶ月の短期間で成果が出ること」に人気の要因があると考えています。ただ、我々がいう「短期」とは、「1日絶対に3時間は学習をしよう」といった詰め込みや、量を追い求める学習を意味しません。会社のコンセプトに「STUDY SMART」と掲げているように、学習量ではなく学習効率を追い求めています。分かりやすい例を挙げれば、受験勉強でよくみられる「必勝」と書かれたハチマキを身につけたりする根性論の世界を信じていない(笑)。あくまでも教育工学をはじめとした科学的な知見に基づき、“学習量”ではなく“学習密度”を上げることに重点を置いています。

ーー言語学習といえば、勉強の絶対量が必要になるイメージがありますが……。

スタディーハッカー代表取締役社長・岡健作氏

岡:確かに量をこなすことは有効です。でも、それだけではサービスとして弱いと思うんです。他社さんの場合、多くは学習量を増やすためのお尻叩きに重点を置くサービス設計になっています。一方我々の場合、受講者ごとにまずピンポイントな「課題発見」を行い、学習時間そのものを減らす。例えるならば、他社さんの場合、東京から大阪まで18きっぷで行くとお尻が痛くなってしまうからとにかく励ましてあげるのに対し、我々は新幹線を作るイメージです。

ーー受講者の「課題発見」は一人ひとりにヒアリングをしていく?

田畑:いえ、実はヒアリングをしてもあまり意味がないケースが少なくありません。そもそも受講者の方は、「なぜ英語ができないのか」が分からないから来ているからです。もちろん英語の学習歴やTOEICのスコアといった、ある程度の定量的なお話はおうかがいします。それよりも重要なのは、トレーナーが実際にツールを使いながら対面で、学習のどの段階でつまづいているのかを突き止めることです。知識が足りないのか、音自体が聞けていないのか、あるいは音は聞けているけど理解のスピードが追いついていないのか。ステップを踏みながら課題を発見していく独自の「アセスメント・プログラム(評価ツール)」を持っていることが我々の一番の特徴だと思います。

ーー受講前の、一番ありがちな誤解はなんでしょうか?

岡:「英会話をしたければ、喋ればいい」ーーつまり喋り続けていれば、いつか喋れるようになるという誤解です。当たり前ですが、喋る内容を何も知らなければ、喋れるようになるわけがありません。リスニングも同様、闇雲に聞き続けていても、一生聞けるようにはならない。

ーーある程度、英語ができる人に関してはいかがでしょうか?

岡:よくあるのは、「最強の勉強法は映画で英語を学ぶこと」とおっしゃる人の誤解です。たしかに、あるレベルまで英語力が達している人にとって非常に有効な勉強法といえるでしょう。ただ、英語力がまだ初歩レベルの人にとっては、単語や文法が分からないので、反対に非効率な方法になってしまう。つまり、英語学習に関する一般的なアドバイスのほとんどは、属人的な経験で語られることが多いため、学習を取り入れるべきタイミングと実際の英語レベルの間でズレが生じてしまうことが多いのです。

「課題発見」と「課題解決」二つの専門性を持ったトレーナーがサポート

ーー受講者の方は3ヶ月のトレーニングでどれくらい英語力が伸びるのですか?

岡:一番多い層でいえば、TOEICの点数が500点くらいの人が150〜200点くらい上がるパターン。今までで最も伸びたケースは、400点から800点に上がった方です。他にも定性的な話としては、あるお医者さんが受講後、海外の学会で英語スピーチを行ったところ、お仲間に「どこにそんなスキルを隠し持っていたの?」と驚かれ、結果、周囲の皆さんも受講に至ったということがありました(笑)。

ーー受講者の方はどんな方が多いですか?

岡:年齢層でいえば30〜40代の方が一番多く、基本的にビジネスシーンで英語をたくさん使う人。純粋に英語が好きだったり、習いごと感覚の人はほとんど居ません。あくまでも、仕事で必要だから、なるべく効率的に英語を身につけたい方が大半です。

ーートレーナーの方に関して、ほとんどが日本人とのことですが、ネイティブスピーカーであることにこだわりはない?

岡:日本人なのか、英語ネイティブスピーカーなのかではなく、あくまでも教えるにあたって二つの専門性を重視しています。まず、先ほどご説明したアセスメント・プログラムを熟知し、的確な診断を下せるかどうか。課題発見の質が低いと、どうしても無駄な学習時間が増えてしまいます。課題発見に加えて、もう一つ重要なのは「解決のアプローチ」です。世の中にある課題解決の学習メソッドを正確に理解して教授できるか。課題発見と課題解決の両方に深い専門性を持ち、この二つを適切に組み合わせるからこそ短期での英語力向上が望めるのです。

ーー二つの専門性が求められるトレーナーは他社と取り合いになりませんか?

岡:実は、あまり取り合いにはなりません。田畑もそうですが、大学院で応用言語学などを専攻していたような人材は、普通の企業の求人とバッティングすることも少ないですから。二つの専門性に関しても、まずは一つ持っていればいい。学校や塾の先生であれば教えることに秀でていますし、大学院で専門的に研究していた人材は理論に詳しい。トレーナーになる時点で、仮に一つの専門性しか有していなかったとしても、社内の研修でしっかりともう一つの専門性を身につけてもらいます。

スタディーハッカー取締役・田畑翔子氏

田畑:さまざまな専門性を持ったトレーナーがいるので、研修のみならずサービス内容自体も、ノウハウが蓄積され、精度がアップデートされていきます。

モチベーションを保つのは無理。あくまでも習慣形成を

ーーカリキュラムの精度がどんどん上がっていくことは分かったのですが、いかに受講者のモチベーションを上げ続けるのでしょうか?

岡:無理ですよ(笑)。だって、ゴキブリが出たり、足の小指をどこかに当てたらモチベーションは下がるわけじゃないですか。結局、我々にできることはいかに学習を生活に組み込み、習慣化させるかにかかっています。英語学習のように長期の継続が求められる場合、歯磨きと同じレベルで、毎日当たり前の習慣形成をすることが重要です。その上で、繰り返しにはなりますが、学習の量は求めません。ダイエットと同じで、三ヶ月後の理想の体重を無理やり目指しても、その後リバウンドしてしまっては意味がない。あくまでも息切れをしないペースで確実に学習をこなしていくことが大切です。

ーー既存の英語スクールや予備校とは反対のアプローチですね。現在の手法にはどのように至ったのですか?

岡:私自身、ただただ楽をしたいだけなんです(笑)。もともと、努力と根性が嫌いで。英語に限らず、科学的な手法をうまく取り入れることで、勉強は効率的になります。必ずしも世の中には英語が好きな人ばかりではありません。それでも仕事で必要だからと仕方なく勉強しなければならない。面倒臭かったとしてもクリアしなければならないのであれば、できるだけ効率的に時間を省略して進めたい。趣味で英語を勉強しているのであれば、どれだけ時間をかけようが構わないと思います。言うなれば、東京から大阪まで自転車で行きたい人もなかにはいるかもしれない。それを否定するつもりはありませんが、私たちは「大阪まで行くのであれば、普通に新幹線がよくないですか?」と提案しているだけなのです。

ENGLISH COMPANY 横浜スタジオ

「STUDY SMART(学びをもっと合理的でクールなものに)」をコンセプトに掲げるスタディーハッカー。大学受験の予備校から始まり、2015年より運営を開始した短期集中型の英語ジム「ENGLISH COMPANY」は事業開始と同時に大好評を得る。次回は、'20年はじめにベネッセグループへ参画するに至るまでの10年間の軌跡と今後の展望に迫る。

スタディーハッカー 
https://studyhacker.jp/

ENGLISH COMPANY  
https://englishcompany.jp/  


Text=長谷川リョー(モメンタム・ホース) Photograph=小田駿一