本田圭佑の逆境論「逆境は僕にとって “おいしい” 状況だ」

本田圭佑は、言葉を使うことで、自らをインスパイアし、 世界にサプライズを起こす。その脳には どんな言葉が隠されているのだろうか。【本田思考。⑫】


逆境を受け入れて積極的に楽しむのが本田流!

ようやく移籍先がフィテッセに決まったと思ったら、合流後2試合で自分を呼んでくれたスルツキ監督が解任。はたから見れば、今の僕は明らかな逆境にいると思えるだろう。だが、それはあくまでも外から見た評価に過ぎない。僕自身は、悲観的どころか楽観的。むしろこれからどうこの状況を変えていくか、楽しみにしているくらいだ。

そもそも僕が合流した時点でチームは3連敗中だった。僕に求められていたのは、チームの悪い流れを変える役割。しかし残念ながら最初の試合もその次もチームは敗れた。4連敗になった時に「次も負けたら監督が代わるかも」という予想はしていた。だから監督の解任は想定内の出来事。あとを継いだオースティング暫定監督はチームのユースチームの監督だったので、これからはフィテッセの生え抜き選手が重用されることになるだろう。これも想定内。ただ監督が誰になったとしても自分の役割が変わるわけではない。目指すのは、あくまでもチームの勝利であり、自分がそのために必要なピースであることは間違いないと思っている。

この逆境は、僕にとって悪いことばかりではない。考えてみてほしい。もし僕がここから活躍してフィテッセを上位に連れていくことができたらチームの英雄になれる。僕は常にそういうふうに考えるから逆境(にあると思われること)が嫌いじゃないのだ。僕がやるべきことは変わらない。例えば、試合で1点でも多くとること。同じ1点でも逆境であげた1点は大きな価値がある。同じことをやっても逆境ならば高く評価される。今は僕にとってリターンが大きい、"おいしい"状況なのだ。

サッカー人生で逆境になったことは何度もあった。中学3年生の時にはガンバ大阪のジュニアユースチームからユースチームに昇格することができなかった。当時は大きな挫折感を味わったが、すぐに「絶対見返してやる」と思い、星稜高校で誰よりも練習を重ねた。2010年のワールドカップの時は予選から「本田不要論」と戦い続けた。それでも本番で結果を出すことで高い評価を得ることができた。そういう成功体験があるからどんな逆境も恐れることがない。むしろウェルカムだ。敢えてビッグマウスを繰り返し、自分から逆境を招くようなことをするのは、逆境を跳ね返す経験を重ねてきたからだ。

この冬の移籍市場でフィテッセを出る可能性もないとはいえない。それでも死ぬわけじゃないし、サッカー人生が終わるわけではない。東京五輪に出て金メダルをとるという大きな目標を変えるつもりはない。このチームを離れても、また次のチームに行き、そこで結果を出せばいい。そのために日々厳しい練習を重ね、選手としてバージョンアップしているという自負がある。逆境のマイナスが大きければ大きいほど、それを跳ね返すのが楽しい。ここからの本田圭佑にぜひ注目してほしい。

続く

Composition=川上康介

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本田圭佑
本田圭佑
1986年大阪府生まれ。J リーグ名古屋グランパスエイトでプロデビュー。W杯に3大会連続で出場し、全大会でアシストと得点を記録。2020年2月、ブラジル1部ボタフォゴに入団。カンボジア代表の監督も兼務する。中高生のための月額1ドルのオンラインスクール「NowDo」を開校。
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