この"熱"を継続しなければ、ラグビーは4年に1度の競技になる~ビジネスパーソンの言語学67

最近、説明や謝罪時の、違和感のある言葉遣いが話題になりがちだ。当コラムでは、実際の発言を例にとり、公私の場で失敗しない言葉の用い方を考える。ビジネスパーソンのための実践言語学講座67、いざ開講! 


「日本代表は、強いまま継続することが大事。日本のファンを感動させられる試合を続けられたらいい」ーーーW杯で初の8強入りを果たしたラグビー日本代表のリーチ・マイケル主将

大会前の予想をはるかに上回る盛り上げを見せているラグビーW杯。ここまで盛り上がった理由は、ただただ日本代表の奮闘に尽きる。"死の組"とも言われたグループリーグで強豪のアイルランド、スコットランドを撃破しての4連勝。文字通りの快進撃で初の8強入りを果たした。準々決勝では、前大会で勝利した南アフリカに完敗したが、日本中が日本代表の戦いに熱狂した1ヵ月だったと言っていいだろう。

南ア戦の平均視聴率は今年全番組最高の41.6%(関東地区、ビデオリサーチ調べ)だったという。準々決勝翌日に行われた総括会見に集まった記者は200人以上。試合にだけ集中していた選手たちにとっては、予想以上の盛り上がりだったのではないだろうか。

「'11年のW杯でニュージーランドから帰ってきたら、記者が2~3人やったかな。今、目の前にこんなにいるのは、本当に考えられない。これを継続せなアカン」(フッカー・堀江翔太)

「日本代表は、強いまま継続することが大事。日本のファンを感動させられる試合を続けられたらいい」(リーチ・マイケル主将)

2人のベテランから発せられた言葉は、ともに"継続"だった。4年前のイングランド大会では、南アフリカを破る"スポーツ史上最大のジャイアントキリング"を成し遂げた。

独特のルーティンで次々とPGを決める五郎丸歩はスターになり、4年後の自国開催に向け最高のバトンをわたしたはずだった。だが、その熱は長続きすることはなかった。この2〜3年、W杯が始まる直前までラグビーが大きな話題になることはなかった。ラグビー業界は、熱しやすく冷めやすい世間の空気を、身をもって感じたことだろう。

だからこそいますぐ動かなければならないのだ。女子サッカーやカーリングのように、大きな大会のたび、日本チームが健闘するたびに盛り上がるだけの競技では、"継続"とはいえないし、長期的な視野での強化もままならない。ましてや来年は東京オリンピック・パラリンピックが開催される。よほどの覚悟で臨まないと、この熱狂の記憶はすぐに上書きされてしまう。

日本ラグビー協会は、これだけの快挙を成し遂げた日本代表のジェイミー・ジョセフヘッドコーチにまだ続投要請をしていないという。4年前も続投要請の遅れからエディー・ジョーンズ前監督をイングランドに奪われてしまっている。また同じことを繰り返してしまうのだろうか。清宮克幸副会長は今年7月、2021年秋にプロリーグを立ち上げる構想を発表したが、具体的な内容はまだ見えていない。W杯での戦いは終わったが、日本ラグビーの歴史はまだこれからも続く。

ブームのとき、好調のときに "次の手"を打ち、打ち続ける。ラグビー協会は、選手たちが命がけで作ったこの最大のチャンスを、未来へとつなげていくためにいまこそハードワークをすべきなのだ。

Text=星野三千雄 Photograph=Getty Images




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