選挙のことばかり気にかけている自民党を国民は見ている ~ビジネスパーソンの言語学㊾

最近、説明や謝罪時の、違和感のある言葉遣いが話題になりがちだ。当コラムでは、実際の発言を例にとり、公私の場で失敗しない言葉の用い方を考える。ビジネスパーソンのための実践言語学講座、いざ開講!


「選挙間近のときにマイナスになるような環境はつくってほしくない」ーーーイージス・アショアの秋田市配備計画にまつわる一連の不手際について、自民党秋田県連の佐藤雄孝幹事長の発言

もはや修復不可能なところまで来ているのかもしれない。イージス・アショアの秋田市への配備について誤った計測結果をつかった報告書を作成、秋田県や秋田市に提出していた防衛省。致命的だったのは、住民への説明会で職員が居眠りをしていたことだろう。

もはや何をやっても焼け石に水。謝罪に訪れた岩屋毅防衛大臣に対して、佐竹敬久秋田県知事は、計画の白紙撤回を主張。「配備に理解を示す人もいたが、その方々も応援する雰囲気にない」という知事の言葉は、まさに今の秋田県民の気持ちを代弁したものだ。

霞が関の質の低下が著しい。あまりにも多くの問題がありすぎて、いまさら官僚のミス、慢心には驚くこともなくなった。むしろこの問題で気になったのは、自民党秋田県連の佐藤雄孝幹事長が全国幹事長会議で行った発言だ。

「防衛省がオウンゴールを連発し、秋田県民の信頼を著しく損なっている。選挙間近のときにマイナスになるような環境はつくってほしくない」

結局、選挙のことしか考えていない。杜撰な計画で迎撃ミサイルを配備することよりも、目の前の参院選のことについて心配し、しかもそれが自分の仕事だといわんばかりの口ぶりだ。年金の“老後2000万円”問題の際も、自民党の二階俊博幹事長が同様の発言をしている。

「われわれは選挙を控えている。そうした方々に迷惑を及ぼすことのないように、党としてはしっかり注意をしていかないといけない」

両者の発言は、官僚に対してプレッシャーをかけるためのものであり、そこには秋田県民、国民に対する視線は感じられない。たとえば、一般企業である部署が不祥事を起こしたとき、株主が株価の低下ばかりを心配して、それを公言していたら世間から顰蹙を買うだろう。彼らがやっているのはそういうことだ。

身のまわりで問題が起きたときこそ、視界を大きく持ち、振る舞いに気をつけなければならない。誰もが敏感になっているときには、たとえ当事者でなくても、自分の都合ばかり主張していると、自分自身の信頼まで損なうことになりかねない。

Text=星野三千雄 Photograph=Getty Images