栗山英樹監督に見るリーダー(上司)の仕事とは何なのか?【まとめ】

リーダーの仕事とは何か。「結果を出し、選手も育てる」。それを実践するのが北海道日本ハムファイターズ・栗山英樹だ。中田翔、大谷翔平、清宮幸太郎そして吉田輝星……選手を成長させながらチームを勝たせる秘密はどこにあるのか。現役最長となる監督8年目の「リーダーの仕事」を徹底解剖する短期連載まとめ。


栗山英樹が知将たる所以とは?

2006年、田中将大擁する駒大苫小牧高校をくだし全国制覇を遂げた夏は、斎藤佑樹が主役だった。斎藤佑樹と言えば、甲子園。そのイメージは我々にもまだ色濃い。

プロ入り以降、その期待の大きさに比してかけ離れた成績は、彼の注目度の高さゆえに、批判を浴びてきた。8年間で15勝。甲子園を制し、六大学で史上6人目の30勝、300奪三振を記録した男の姿をプロで感じられる機会はほとんどなかった。

それが先の3月9日、13年ぶりに甲子園のマウンドに斎藤が立ち、躍動する。2回を3奪三振の無失点。何より、ストレートの威力、変化球のキレ、マウンドでの佇まい、そのすべてがこれまでと違う強さを感じさせた。復活に向けた一歩目――それを感じさせるに十分なマウンドさばきだった。

何が斎藤を変えたのか。本人の努力や、周囲のサポート、さまざまな要因がある中で、指揮官・栗山英樹による絶妙な差配があった。

栗山流失敗の捉え方

仕事をしていれば誰しも、失敗について思い悩むことがある。リーダーの立場であれば部下のミスや失敗に対して敏感になるだろう。

野球は失敗のスポーツと言われる。例えば、一流バッターは打率が3割を超えるが、裏を返すと一流でも7割は「打てない」のだ。他にも、野球には「防御率」や「ホームラン数」などさまざまな数字があり、それは結果と直結しているように感じられる。では、「失敗」は本当に「結果」とつながっているのだろうか。

リーダーは「失敗」をどう捉えるべきなのだろうか。

人が歴史、人がデータ

データ全盛の時代である。多くはデジタル化がもたらしたそれらは、ビジネスにおいてもスポーツにおいても新たなチャンスや価値を生み出してきた。

栗山英樹率いるファイターズが先日、対戦したメジャーリーグ・アスレチックは「マネーボール」と呼ばれる「データ野球」で一世を風靡した。以降、野球界におけるデータの進歩はすさまじい。

ただ、それ一辺倒で果たして勝てるか、といえば「肌感覚」として疑問を持つ向きもあるだろう。

栗山英樹が著書『稚心を去る』の中でこう言っている。

「人が歴史、人がデータ」

ファイターズと栗山ほど数字化されたデータを大事にする人はいない。事実、「これからの野球は、データをどう使うかということがますます重要になってくる」(『稚心を去る』)と指摘もしている。

それでも、人が経験した感覚的なこと、事実、その積み重ねを「データ」と捉え、学ぶことは重要になる。栗山は言う。

「だから人が何をしたのか、そこでどういう失敗をして、どういう成功をしたのかが知りたくて、本を読む」

指揮官が「データ」から読み取ったものを紹介してみたい。