【小山薫堂×小池アミイゴ】羽田空港で見たあの言葉の意味は? 旅する日本語⑥「昧爽」

今から飛行機に乗ろうと、羽田空港の出発チェックインロビーで頭上を見上げると、 壁面に巨大なアートギャラリーが広がっているのに気づくはず。それは、旅と日本語をテーマにした「旅する日本語」展。放送作家・脚本家の小山薫堂さんが耳慣れないけれど美しい日本語をもとに、旅にまつわる小さな物語を執筆し、 イラストレーターの小池アミイゴさんが絵画を描いたアートプロジェクトだ。このシリーズは、ふたりが作品に込めた想いを綴ったアナーザーストーリー全11集。


昧爽

親友との卒業旅行当日、
嬉し過ぎて真夜中に目が覚めた。
夜空に輝く星に
青春の思い出を重ねて
ひとつずつ振り返ってみる。
次第に空が白み始めて
ポツリポツリと星が消えてゆく。
そして朝日が昇る直前
強烈な輝きを放つ
明けの明星が一つ残った。
ひときわ強烈なこの輝きに
自分の未来が集約されている気がした。

【まいそう】
夜明け方。あかつき。


Kundo's Another Story
まず、昧爽という言葉があけがたという意味であることが意外。この文字からは絶対あけがたのイメージはないと思います。あけがたを考えた時と、この前向きな感じを照らし合わせた時に、明けの明星を題材にしたいと思いました。早朝目覚めた時に、まだ夜明け前にひとつ輝いている星を見て、すごく自分自身が勇気をもらうことが多いのでこれを書きました。


Amigo's Another Story
親密な会話があった後、ひとりになってみたくなるとか、空を見上げ光を見つけるって感じはすごくよくわかります。

会津地方で出会った"雪わたり"の風景。雪上の3人の女性のうち2人は福島市で「ヒトト」という美味しい食堂をやっていて、もう1人はこの場所、大江ファームという完全有機の農場をご主人と2人で営んでいます。「ヒトト」からこの農場で子どもたちとのワークショップを開催したいと投げかけられ、下見で訪れた際、彼女たちが『なぜここなのか』を熱っぽく語ってくれた姿が眩しくね。“卒業旅行”というワードの甘酸っぱさとリンクして、この風景を描こうと思いました。

ちなみに「昧爽」という言葉の響が「うまそう」に聞こえて、彼女たちが作る料理や野菜を思い出した僕です。

旅する日本語展 2018
国内線第1旅客ターミナル2階南北出発チェックインロビーにて「11」の日本語をテーマにした放送作家・脚本家の小山薫堂による旅の物語と、イラストレーターの小池アミイゴが色鮮やかな絵画を展示中(2019年の3月31日まで)。旅の物語と写真を全国から募集する「旅する日本語投稿キャンペーン」も、7月2日から開始予定。詳しくは公式HPまで。
https://event.tokyo-airport-bldg.co.jp/tabisuru/

Text=加藤久美子(ゲーテWEB編集部)

小山薫堂
小山薫堂
放送作家、脚本家。1964年熊本県生まれ。『料理の鉄人』など多くのTV番組を企画。脚本を手がけた映画『おくりびと』では、アカデミー賞外国語映画賞受賞。名レストランの経営手腕にも注目が集まる。
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