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2023.05.02

成田悠輔は予算100億円で何をする? 藤野英人に明かした驚きの使い道とは

ひふみ投信シリーズのファンドマネージャー藤野英人氏が率いるレオス・キャピタルワークスが運営するYouTubeチャンネル「お金のまなびば!」。その中で藤野氏が「是非とも呼びたかった」とラブコールを送り実現した、研究者・実業家としてメディアに引っ張りだこの成田悠輔氏との対談を3回に渡ってお届けする。第1回は「お金と幸福の関係」について。

藤野英人と成田悠輔

ズバリ、お金は好きですか?

藤野英人氏から成田悠輔氏にまず向けられたのが、この「お金は好きか?」という問いだ。あなたなら、どう答えるだろうか?

日本では、お金が好きとあからさまに言うのは見苦しいとするきらいがあるが、一方で、稼ぐ人間になるためには必須な欲であり、また、お金があれば、それだけ選択肢が増えて物質的に豊かになるのは間違いない。しかし、それは“幸せ”を運んでくれるものなのだろうか。

先述の藤野氏の問いに対し、成田氏の回答はどうだったかというと、「世の中の普通の人よりは全然好きじゃない」と言うもの。いい家に住みたい、クルマや時計が欲しいという欲がほぼなく、お金が人生の動機や目的にはなり得ないと言う。

「僕は、考えたことがないことを考えるとか、会ったことがない人と会うとか、そういう変化に対する好奇心みたいなのが、すべての動機という感じがします。

『そんなことを言えるのは、稼いでいるからだ』と言われることもあるんですけど、そうでもなくて、若い人が最低限生活していくために必要なコストって、よくよく見てみるとものすごく低い。

大体、人間って、無駄なストレスを抱えて、そのストレスを発散するためにお金を使っているんです。そして、見栄を張るために生活コストが膨らんでいる。

その無駄なストレスとか見栄を取りのぞければ 、ベーシックインカムとまではいかないまでも、給料が低い状況でも戦える場合が多いんです」

成田氏によれば、実際、2ちゃんねるの開設者であり実業家のひろゆきは、生活コストに対し、フリーターの若者みたいな金額しか使っていないのだという。

「コンビニでペットボトルのお茶を買うのが信じられない、贅沢だって怒り出します(笑)。それができるのは心に強さがあるからだと思うんですよね。プライドとか見栄とか世間体みたいなものが、お金の価値を必要以上に膨らませている。それをどう取り外せるのかが、大事なのかなと思います」

これは、年収の高い・低いに関わらず、あらゆるステージで起きていることだと、成田氏は続ける。

「資産もあって経済的には何の問題もないはずなのに、すごく見栄を抱えていて、高級レジデンスの何階に住んでいるかとか、そういうのを気にするようなメンタリティを自分の中に作ってしまっている。そこから少しでも落ちることが、ものすごく心理的なコストになっていて、どんどん泥沼にはまっていくみたいな人って、稼いでいでる人の中にもいると思うんですよね」

収入が膨らんでいくほど、それに関わるコストやストレスも膨らみ、幸せになるために稼いでいるはずが、逆に遠ざかってしまうという現実。それは「資本市場を使って稼いできた人が、別の資本主義のステータスや鎧をかぶせられている結果」だと藤野氏は続けた。

「お金があれば幸せになると思い込んでいるんですよね。今、自分が幸せじゃないのは、お金がないからだと。そもそも、そう思っていることが“落とし穴”なんです。

そこで僕は『10億円あったら、何をする?』って話をするんですよ。そこで出てくる言葉に、幸せの貧困さが現れる。例えば『家を買いたい』『会社を辞めたい』『世界1周旅行に行きたい』とか色々出てくるわけです。終わった後、それ、今できませんか?と話をするんですね。

大体の場合、お金が妨げていることって少なくて、勇気がなかったり、自分の行動を縛っているだけだったりするんです」

藤野英人と成田悠輔

左:藤野英人/Hideto Fujino
早稲田大学法学部卒業後、国内・外資大手資産運用会社でファンドマネージャーを歴任。2003年レオス・キャピタルワークス創業。中小型・成長株の運用経験が長く、ファンドマネージャーとして豊富なキャリアを持つ。投資信託「ひふみ」シリーズ最高投資責任者。
右:成田悠輔/Yusuke Narita
夜はアメリカでイェール大学助教授、昼は日本で半熟仮想代表。東京大学卒業(最優秀卒業論文に与えられる大内兵衛賞受賞)、マサチューセッツ工科大学(MIT)にてPh.D.取得。一橋大学客員准教授、スタンフォード大学客員助教授、東京大学招聘研究員、独立行政法人経済産業研究所客員研究員などを兼歴任。

充足感を得るためにお金はほとんど必要ない

人間は、社会的なシンボルや、記号として確立された幸せや充足以外のものを忘れがち、と成田氏。本来、お金をかけずとも、手に入れられる充足は世の中にたくさんあるのに、だ。

「自分達でバーベキューをして、川の横でスーパーで買った安い食材を炙るだけで、信じられないくらい美味しかったりする。充足感を得るために多少のお金は必要だけど、ほとんど必要ないと思うんですよね。

自分自身でも反省するところがあって、小学校の時って、5分間休みができると、皆でドッチボールをやって、とてつもない充足感を得て帰ってくるとか普通でした。それが、どこかのタイミングでできなくなってしまったのは、すごく不思議で悲しいんですよね。

充足感や満足した経験のバラエティーを若い段階でどう身につけるか、これはすごく大事だと思います。

今後、学校が持つべき役割は、教科書を使ってカリキュラムを教えることじゃなくて、毎日、修学旅行をしているみたいに、小さな予算を与えて、そのなかでどれだけ楽しいことができるかを皆で見つけていく、みたいな冒険を与えるような役割に変わっていかないといけないんじゃないでしょうか。

自分たちの創造力と身体ひとつで手に入る幸せを、どう取り戻していくかが問われていると思います」

お金があれば幸福か? 投資や事業が成功したら幸福か? この問いに対しての、藤野氏と成田氏の回答はNOだ。藤野氏がYouTube チャンネルを運営するのも、「お金を増やせば幸せになると思っているけれど、別にそのためだけに投資をするわけじゃない」ことを深く伝えたいからなのだという。

幸せを得るために本当に必要なのは、日常のなかにある充足感をいかに解像度高くキャッチするか、その目を鍛えることなのかもしれない。

成田悠輔は100億円で自治体を乗っ取る!?

では、投資の意義とは一体なんなのだろうか? 投資にせよ消費にせよ、お金をどう使うかは自分の価値感の表れだと成田氏。

「それ(投資や消費)を通じて自分が何を大事だと思っているのか、どういう存在か、どういう活動を応援しようと思っているのかを見直すことは、すごくいいことだと思うんです。自分の内面をお金というメディアを通じて世界に表現する、ある種のアートとしての側面を持つお金の使い方を、もっと考えてみてもいいんじゃないでしょうか」

そこで藤野氏が成田氏に、正当に得た100億円の使い道をたずねると、「全国の若者と失業者を自治体や都道府県に大集結させて乗っ取る」という、“らしさ”全開の答えが返ってきた。

「さらにそれを1万人とかの単位で組織して、その人たちが市区町村を周遊していくと、(その自治体の)選挙の結果ごと全部変えられると思うんですよ。それで次々に20代の首長が誕生するみたいな変化が作り出せたとして、社会がどう変わるのを見てみたい」

これぞまさしく、お金というツールを通して、自分を表現するアートなお金の使い方なのだろう。しかもこのプラン、藤野氏曰く「実は合法でできますね」というから驚きだ。対談は、成田氏が考える、政治を本気で変えるための唯一とも思える秘策で締め括られた。

「資産家が連合を組んだら、資金的には本当に巨大な政党を作れると思います。政治を変えるために国政レベルでやるべきなのは、その資金を提供するような資産家たちの連合体と、顔が知られているインフルエンサー、それから政治を動かすために何が必要かを知っている経験者のグループを作り出して、単独でその世界に入っていくというより、むしろ、数十人でドカッと入っていって野党第1党になるくらいのチームをつくることなんだろうなって思います」

動画で対談を見たい人はこちら↓↓↓↓

TEXT=ゲーテ編集部

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