綺麗なお姉さんは、職業マジシャン!? 〜熱狂ガール⑩ 御寺ゆきさん【バーチャルデート】

めくるめくイリュージョンを披露する、御寺ゆきさん。舞台でマジシャン・YUKIとしてスポットライトを浴びる彼女は、とても美しく輝いている。その夢のような世界の裏には、地道で丁寧な努力があった。ステージで輝くゆきさんと、彼女の素顔を垣間見る。


六本木の地下に響く、動物たちの声

六本木駅を出て、大通りを進む。ゆきさんの働くマジックバーは、首都高沿いから一本入った裏通りにある。夜は多くの看板が煌めくが、日中は閑散としている。街がまだ眠る真昼間に、ゆきさんはお店に向かった。

地下へとのびる螺旋階段を降りきると、右には『ものまねエンターテイメントハウス』という扉がある。ゆきさんは「実はわたし、ここで踊ってるんですよ。でも今日はこっち」と左の『O』と書かれた重厚な扉へ案内される。

中へ入ると、待ちかねていたようにオウムやアヒルや鳩の鳴き声があがった。ゆきさんが笑顔で近づくと、嬉しそうに羽ばたく。

「みんな可愛いでしょう」

水と新聞紙を取り替え、掃除をする。オープン準備もすべて彼女の仕事だ。鳩たちもゆきさんに懐き、手の上でリラックスしている。

この店で働いて2年と少し。人に誇れる自分の武器を作りたくてマジックをはじめたゆきさんは、みずから店を探して売り込み、マジシャンとして働くようになった。今ではお店だけでなく、全国どこにでも出張して人々を楽しませるエンターテイナーだ。

掃除を終え、ステージ用のメイクを施し、ドレスに着替える。

ここからが、マジシャン・YUKIとしての本番だ。

妖艶なマジックに引き込まれる

ショーは1日3回、各20分。色とりどりの鮮やかなライトに照らされ、YUKIさんが舞台に立つ。不敵で妖しげな笑みを浮かべ、神秘的なマジックショーに誘う。

手にするのは「マジックリング」。2つ、3つ、4つ……バラバラだったリングがあっという間に連なる。一瞬のことに思わず「えっ!?」と声がでた。しっかり見ていたはずなのに、流れるような手さばきに、知らず知らずのうちに目が狂わされているのか? YUKIさんは驚くこちらを見ても、微笑みを崩さない。挑発するような視線で、リングを操っていく。

YUKIさんが、小さな花を持ってきた。にっこり微笑む笑顔に思わず惹き込まれる。次の瞬間、手にした花が白いステッキに変わった! 「やられた!」と思った時には遅かった。YUKIさんは目を細めると、優雅にお辞儀をした。

次は、テーブルマジックだ。目の前のテーブルにYUKIさんが立ち、トランプを広げる。

……ふと、右手薬指の指輪に目が止まった。

YUKIさんが「気になります?」と笑う。小さく頷くと「秘密です」とはぐらかされた。そしてトランプをきると「好きなものを一枚選んでください」と差し出す。「これでいいんですか……本当に?」。目を見つめられ、見透かされたような落ち着かない気持ちになる。もう、見えるものすべてがマジックの仕掛けかに思えてきた。

『ダイヤの2』

引いたのは、そのカードだった。それを知らないはずのYUKIさんは、不敵な微笑みを浮かべたままトランプを手際よく整える。「これですね」と差し出されたカードは『ダイヤの2』だった。

その後も、事あるごとに『ダイヤの2』が現れる。YUKIさんの手の中で操られる『ダイヤの2』は、翻弄される自分のようだ。

気づけば、いつの間にか長い時間が経っていた。

「またお越しください」

微笑む彼女に見送られ、地下の螺旋階段を上がると六本木のネオンが輝いていた。

どこからが現実で、どこからがマジックだったのか。夜風に吹かれながら、不思議と満たされた気持ちで六本木を後にした。

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MAGIC TOKYO O
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TEL:03-3796-2727
http://www.magictokyoo.com/


Edit & Text=河野桃子 Photograph=田島雄一 Hair & Make-up=敷島清香