精力剤で“生涯現役”の男は本当のモテから程遠い【夫のHがイヤ⑨】

夫を愛しているのに、夜の営みが苦痛で仕方なく、セックスレスを経て離婚に。そして別居中に別の男性と交わる経験も経て、夫のセックスが自分本意な“ジャンクセックス”だったことにも気がついた……。そんな赤裸々な体験を綴った書籍『夫のHがイヤだった。』にはセックスと夫婦関係・男女関係を考えるうえで、示唆に富む話も、身につまされる話も数多く登場する。「コロナ離婚」というワードが話題を呼ぶ一方で、海外ではコンドームの売れ行き急増も報じられる昨今。仲が悪くなってセックスレスへと近づいている夫婦も、セックスの機会が普段以上に増えている夫婦も、読んでおいて絶対に損のない内容だ。今回、同書の著者で、行政書士・カウンセラーとして離婚相談も多く受けているMioさんにロングインタビュー。最終回のテーマは「男性が精力剤やED治療薬に頼ること」について。

ED治療薬や精力剤に頼る人はセックスが自己中心的?

中高年になり、「あれ? 何だか下半身の元気が最近なくなってきた」と感じる男性が利用するのが、バイアグラなどのED治療薬や精力剤だ。勃起不全が深刻な状況であれば、薬を使うことはもちろん有効だが、症状が軽いのにむやみやたらに頼ろうとするのは問題かもしれない。

「ED治療薬を利用して勃起不全が解消するのは良いことだと思いますが、セックスを『自分が勃って射精すること』を中心に考えている人は、注意が必要です。自分の勃起不全を直すことばかりに必死になっていて、その雰囲気が女性の側に伝わると、『あなたの勃起と射精のために私はセックスをしてるわけ?』と思われてしまいますから。セックスは勃起・射精で自分の自尊心を高めるために行うものではないではずですが、精力剤やED治療薬に不必要に頼る人の中には、そういったマインドの方が多い印象があります」

EDになった男性は、「このままセックスができなくなったらどうしよう」と不安に駆られるだろう。しかし、パートナーとのセックスの最中は、自分の不安とばかり向き合わずに、目の前の相手を大事にすべき……というわけだ。

「勃起不全の症状が感じられた時こそ、勃起や射精にこだわらずに、女性が気持ちよくなり、女性が楽しいと感じるセックスを心がけるべきではないでしょうか。そうやって相手を思いやるセックスを何度かした後で、『実は最近、ちょっと萎えちゃうことに悩んでてさ。こういう薬を飲んでみようと思うんだ』と打ち明ければ、女性の側も『え、そうだったのね』と親身に話を聞いてくれるはずです」

そして男性側の気持ちとしては、「勃ちが悪くなる=男としての終わり」というイメージがあるかもしれないが、女性の側にはそうした感覚はないとのことだ。

「女性は“何歳になってもギンギンな男”を求めてるわけじゃありません。むしろ、精力剤やED治療薬などに頼ってギラギラした雰囲気を維持している男性ほど、実はセックスの内容がお粗末で、女性にとって迷惑だったりしますから。私自身も、夫の自分本位なジャンクセックスに苦しんでいた時、雑誌に出ている精力剤の広告とかを見るのが本当にイヤで、『社会悪だからやめて!』って思っていました」

勃起力が高いと女性に喜ばれる……と信じている男性はセックスも自分本位であり、結果として女性に嫌われがちということか。一方、芸能界でプレイボーイと言われた男性の中には、射精や勃起の力が衰えた後も、女性と楽しくセックスを続けていた人もいる。

「そういう人が本当の『モテる人』であり、『セックスが上手な人』なんだと思います。私が相談を受ける中で、セックスについての話を多く聞いてきましたが、本当の意味で女性からモテる方は見た目にも「自分は女性を満足させられる」っていう自信と、そこからくる余裕が漂っていますね。一方で、精力剤やED治療薬に頼って、女遊びをしている感じの中高年の男性は、自信のなさの裏返しで肩に力が入りすぎていて、見ているだけで痛い(笑)。『勃起しないでもモテる人』のオーラと、『バイアグラに頼って勃起している人』のオーラは全然違うと思いますし、それは多くの女性に伝わっていると思います」

“生涯現役“的な価値観でバイアグラに頼り、女遊びをしている人は要注意というわけだ。

「そういう方は、おそらく自分が激しく動いて、女性がアンアンと声を出すAVの場面が、セックスの正解だと思っているんでしょう。そして、目の前の女性がそのイメージに合わせた演技をしてくれていることにも気づけないかもしれません。お金を持っていたりすると、一部の女性からは『都合のいいパパ』扱いされて、表面上はモテていたりするのですが、本当にモテる男性はお金を使っても使わなくてもモテます。お金や若さは有限ですから、仮にそれらがなくなったとしても自分を愛してくれる女性がいる。そういう男性って格好いいなぁと思うんです」

Mio
大阪府生まれ。大学で知り合った同級生の男性と22歳で結婚。夫との夫婦生活が苦痛で、「自分はセックスができない身体なのではないか」と悩み、摂食障害とうつ病に。その後セックスレスを理由に夫から離婚調停を申し立てられ、別居を経て離婚。2017年の冬からアメブロに当時を振り返る手記を連載し、大きな話題を集める。現在は税理士・行政書士・カウンセラーとして、女性起業家のサポート・離婚業務を中心に活動。著書に『夫のHがイヤだった。』(亜紀書房)。ブログ:夫のHが嫌だった


Text=古澤誠一郎