【マーベル女性ヒーロー図鑑】④スカーレット・ウィッチ「チームと弟を献身的に支える美しき魔女」

国籍や人種、宗教、性別を超えて、多種多様なヒーローが活躍するマーベルの世界。特に最近は、女性ヒーローの活躍が目覚ましい。そこで、この連載では映画でも活躍する人気キャラクターから知る人ぞ知るマイナーなキャラクターまで、強くて美しいマーベルの女性ヒーローをマニアックに紹介していきます。第4回は映画『アベンジャーズ』シリーズで人気が拡大し、アメリカでドラマ化も決定したスカーレット・ウィッチです。


アベンジャーズでビジョンと恋仲に

今回は、アベンジャーズのスカーレット・ウィッチを紹介します。彼女は1960年代に登場した古参のキャラクターですが、ここに来てさらに人気が拡大。最大の理由は、なんといっても映画『アベンジャーズ』シリーズでしょう。スカーレット・ウィッチを演じるエリザベス・オルセンのはまり具合、完璧です。

スカーレット・ウィッチの本名はワンダ・マキシモフといい、1964年発行の『X-MEN』#4でデビュー。彼女は実の父親マグニートーが率いる「ブラザーフッド・オブ・イービル・ミュータンツ」に加わり、ヴィランとして活動を開始します。でも、穏やかな性格であるワンダは、マグニートーの過激な行動に馴染めません。'65年の『Avengers』#16にて、彼女は双子の弟ピエトロ・マキシモフ(=クイックシルバー)とともにアベンジャーズに加わり、スーパーヒーローとしての道を歩み始めます。

初登場は1964年発行の『X-MEN』#4。父親のマグニートーが率いる「ブラザーフッド・オブ・イービル・ミュータンツ」で活動するが、初めは彼が父親であることを知らなかった。
スカーレット・ウィッチと夫ビジョンの活躍を描いた『The Vision and the Scarlet Witch vol.2』#1。

アベンジャーズに加入したワンダとピエトロは、新しい人間関係を築いていきます。キャプテン・アメリカから厳しい訓練を受け、ホークアイはワンダの大切な友人になりました。そして、運命の人、ビジョンとの出会い。ビジョンはウルトロンとアベンジャーズの戦いの際に生まれたアンドロイドで、ワンダは彼の人間性(アンドロイド性?)に魅了され、デートを重ねるようになります。

この交際に納得がいかないのが、ホークアイと弟のピエトロ。ホークアイは彼女に恋していたし、弟のピエトロは「アンドロイドとの交際なんて認められない」と言い放ちます。それでも、'75年の『Giant Size Avengers』#4でワンダとビジョンは結婚。チームから祝福を受けます。

スカーレット・ウィッチの魅力のひとつは、その健気さ。アベンジャーズに加入したての頃、彼女の能力はそれほど高く評価されていませんでしたが、彼女はなんとかチームの役に立とうと頑張ります。個人的には、アベンジャーズの一員ゴライアスのために新しいユニフォームをデザインし、自ら縫製するエピソードが好きです。

また、ワンダは弟を献身的に支えます。弟のピエトロは短気で自信過剰、上から目線で文句ばっかり言っている困ったタイプです。でも、ワンダは自分のことは顧みず、弟にささげます。そういった彼女の人間性により、男性だけでなく女性からも支持されています。実際、ハロウィーンをはじめ、ワンダのコスプレは非常に人気だそうです。

1994年には単独誌となるソロ・リミテッド・シリーズ『Scarlet Witch』が創刊。全4号が刊 行された。

運命の日「M-Day」の当事者に

ワンダがもつ能力は「ヘックスパワー」です。ヘックスパワーとは「物事の起きる確率を操作する力」。自然界の確率場(ヘックスボルト)を局所的に歪めることで、めったに起こらない現象を意図的に発生させることができます。可燃性の物質が自然発火したり、弾丸が軌道を逸れたり。この能力が、彼女が魔女と呼ばれる理由です。

当初、ワンダのヘックスパワーはそれほど強いものではありませんでした。でも、魔術師アガサ・ハークネスの指導を受けて、能力は徐々に高まっていきます。やがて、その力は現実を改変してしまうほど強力なものになりました。そして、ついに「M-Day」を迎えます。

「M-Day」とは、マーベルの歴史を語るうえで欠かせない重要な日。日本史の関ヶ原の戦いのようなものです。「M-Day」のエピソードは、2005年に刊行されたリミテッド・シリーズ『House of M』に詳しく描かれています。ワンダは現実改変能力を使って、世界を作り変えます。その世界とは、「人間とミュータントの立場が逆転し、マグニートーの一族"マグナス一族"が支配する世界」。ワンダはそれがマグニートーの望みだと思っていました。でも、実は弟のピエトロがマグニートーになりすまし、ワンダをそそのかしたことが判明します。

真実を知ったマグニートーは激怒し、ピエトロを殺してしまいます。だが、ワンダにとってピエトロはかけがえのない存在。ピエトロの亡骸を抱えて、ワンダは叫びます。"No More Mutant!" 「もう、ミュータントなんていなくなってしまえばいい!」と。世界は閃光で真っ白になり、世界に数百万人いたミュータントのうち、ほとんどが能力を失ってしまいました。この運命の日は、「M-Day」と呼ばれています。

弟を愛するがあまりに、もたらされた悲劇。「M-Day」を引き起こしたのはワンダですが、多くのマーベルファンは彼女を恨んでなんかいません。ただ、「ワンダも気の毒に……」と思うばかりです。

ところで、先日、スカーレット・ウィッチとビジョンをW主役に配したドラマが発表されました。ウォルト・ディズニー・カンパニーが2019年11月にアメリカで開始する独自のストリーミングサービス「Disney+」内でです。映画『アベンジャーズ/エンド・ゲーム』で切な過ぎる2人の別れを見てしまっただけに、幸せなワンダとビジョンに会えることを心から願っています。

2015年にスタートした新シリーズの『Scarlet Witch』。失われた魔術を取り戻すため、ニューヨーク、ギリシャ、アイルランドなど、世界各地を旅する。


スカーレット・ウィッチ
本名/ワンダ・マキシモフ
出身/トランシア、ワンダゴア山
身長/170.2cm
体重/59.9kg
瞳/ブルー
髪/赤褐色
能力/ヘックスパワー(確率を操作する能力)。やがて現実を自在に変更する「現実改変能力」へとパワーアップ


マーベル公式サイト
https://www.marvel.com/


Text=川岸 徹 


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