指テクを磨いても女性は喜ばない!【夫のHがイヤ⑧】

夫を愛しているのに、夜の営みが苦痛で仕方なく、セックスレスを経て離婚に。そして別居中に別の男性と交わる経験も経て、夫のセックスが自分本意な“ジャンクセックス”だったことにも気がついた……。そんな赤裸々な体験を綴った書籍『夫のHがイヤだった。』にはセックスと夫婦関係・男女関係を考えるうえで、示唆に富む話も、身につまされる話も数多く登場する。「コロナ離婚」というワードが話題を呼ぶ一方で、海外ではコンドームの売れ行き急増も報じられる昨今。仲が悪くなってセックスレスへと近づいている夫婦も、セックスの機会が普段以上に増えている夫婦も、読んでおいて絶対に損のない内容だ。今回、同書の著者で、行政書士・カウンセラーとして離婚相談も多く受けているMioさんにロングインタビュー。第8回のテーマは、男性が学びたがるセックスのテクニックについて。

テクニックで快感を高めようとする男たち

AV男優の加藤 鷹が「ゴールドフィンガー」「ゴッドフィンガー」などと称され、多くの男性から尊敬を集めてきたように、セックスが好きな男性の中には「女性を気持ちよくさせるテクニック」の研究に余念がない人も多い。しかしMioさんはそのマインドに疑問を呈す。

「男性も自慰行為のほうが手っ取り早く射精ができるように、セックスにおける指のテクニックを学んだところで、女性が自分でする快感には勝てません。だからこそテクニックだけで高い快感を目指そうとすることは、私は無意味だと思います。それは男性が女性に愛撫された時の感覚を考えれば分かるはずです。気持ちがいいのは、テクニックがすごかったからではなく、女性に触られているという興奮があったからですよね。つまり、『自慰行為にはないセックスの付加価値は何か?』と考えたら、小手先のテクニックの追求という話にはならないはずなんです」

Mioさんは次のような例を出してセックスのテクニックについて話す。

「まだセックスに慣れていない女性が、頑張って口でしてくれたら上手でなくても男性は嬉しいでしょうし、それで気持ちがワクワクしたり、大きくなったりしますよね。『好きな人が自分のために何かをしてくれると嬉しい、興奮する』という点は、女性も変わらないと思うんです。にもかかわらず奥さんや彼女から、『あなた、オナニーの手の動きを見せて! それを真似して最速で出してあげるから!』みたいに言われたら、たぶん男性は盛り下がるはずです。男性が指テクを身につけようとするのは、それと同じことだと思います』

奥さんをセックスで気持ちよくさせたい……と思うなら、身につけるべきは小手先のテクニックではないというわけだ。「まずは少し遠いところから取り組むべき」とMioさんは話す。

「日常から手をつなぐようにするなど、スキンシップの部分から攻めていくのがオススメです。『手をつないでいるだけで気持ちいいね』という皮膚感覚は女性の方が高いので、男性がその気分を味わうのは難しいかもしれないですが、まずは女性の感覚に合わせてみてください。日常のスキンシップも前戯だし、食事の時の会話も前戯なんだと考えれば、セックスへの取り組み方も変わっていくでしょうし、AVに影響されたセックスとは違う、楽しい時間が過ごせるようになるはずです」

Mioさん曰く、普段からスキンシップを頻繁にしていれば、セックスもより気持ちよくなるそうだ。

「もちろん、『エッチをしよう』と言ってから挿入までの前戯にもしっかり時間をかけるべきです。私が聞いた限りでは、多くの夫婦の前戯の時間は30分から1時間程度でしたが、それじゃ女性の体の準備は不十分だと私は思います。『夜遅くに帰ってからじゃ、そんなに前戯に時間をかけられない』という人もいらっしゃるでしょうが、それは“フルコースのセックス”にこだわっているから。『今日は盛り上がってここまで』とか、途中で終わらせても良いと思うんです」

男性としては、「一度始めたからには最後までやりたい」「最後までできないのは男として情けない」という意識もあるだろう。

「フルコースのセックスをすることを負担に感じている人も、体力が続かず自己嫌悪に陥っている人もいるでしょう。逆にイクまでに長い時間がかかることで、女性に大きな負担を強いていて、罪悪感を覚えている人もいるかもしれません。だからこそ『無理にフルコースを頑張らなくていい』ということは知ってほしいですね」

夫のHがイヤ⑨に続く

Mio
大阪府生まれ。大学で知り合った同級生の男性と22歳で結婚。夫との夫婦生活が苦痛で、「自分はセックスができない身体なのではないか」と悩み、摂食障害とうつ病に。その後セックスレスを理由に夫から離婚調停を申し立てられ、別居を経て離婚。2017年の冬からアメブロに当時を振り返る手記を連載し、大きな話題を集める。現在は税理士・行政書士・カウンセラーとして、女性起業家のサポート・離婚業務を中心に活動。著書に『夫のHがイヤだった。』(亜紀書房)。ブログ:夫のHが嫌だった


Text=古澤誠一郎