「言わなくても察して」はセックスでもダメ!【夫のHがイヤ⑥】

夫を愛しているのに、夜の営みが苦痛で仕方なく、セックスレスを経て離婚に。そして別居中に別の男性と交わる経験も経て、夫のセックスが自分本意な“ジャンクセックス”だったことにも気がついた……。そんな赤裸々な体験を綴った『夫のHがイヤだった。』にはセックスと夫婦関係・男女関係を考えるうえで、示唆に富む話も、身につまされる話も数多く登場する。「コロナ離婚」というワードが話題を呼ぶ一方で、海外ではコンドームの売れ行き急増も報じられる昨今。仲が悪くなってセックスレスへと近づいている夫婦も、セックスの機会が普段以上に増えている夫婦も、読んでおいて絶対に損のない内容だ。今回、同書の著者で、行政書士・カウンセラーとして離婚相談も多く受けているMioさんにロングインタビュー。6回目のテーマは、「夫婦のセックスにおける要望や不満の伝え方」について。

妻が夫に対して、セックスを教育する難しさ

Mioさんの著書『夫のHがイヤだった。』には、Mioさんが「本当に気持ちのいいセックス」を自ら体験し、セックスに対する考え方が変わっていく過程も綴られている。同書を読んで自分たち夫婦のセックスのおかしさに気づいた人が、そこで得た知識をパートナーに伝え、自分たちのセックスをより良いものに変えていくことはできるのだろうか。

「私のもとに『夫が子供みたいでイヤなんです!』と離婚相談に訪れた方に、『ご主人はきっとこんな気持だから、こう伝えたら変わってくれるかもしれませんよ』と伝えても、『言わなきゃ分からないんですか? いい大人でしょう?』『子供一人育てるのだけでも大変なんで、夫にもあれこれ言うのはイヤです』という返事が非常に多いんです。これはセックスに限らないことですが、女性はパートナーの教育をするのを嫌がるんですよね。いい大人に教育なんて、って。教育という言葉も上から目線みたいで夫婦の関係にはそぐわないような感じはありますね」

女性が要望や不満を男性にぶつけない背景には、「こちらの気持ちを察して動くのが当然」という思いがあるのかもしれない。

「そういう考え方の人は多いです。『わざわざ言わなきゃいけないんですか?』『それは私が教えないとダメなんですか?』と私もよく言われますから。それで『たぶん伝えなきゃダメですね』と答えると、『えっ……?』と」

夫婦のセックスについても、「こういう部分を変えてほしい」という希望があったとしても、女性はそれを口にしないケースが多いそうだ。

「女性が外でたまたま浮気をしてしまい、相手の男性がセックスが上手だったりしたら、『じゃ、帰って夫に同じようにしてくれるように伝えよう』なんて、なおさら思わなくなりますよね。またセックスに関して言えば、女性の中には、そもそも自分の体のことをよく分かっておらず、『こうされると気持ちいい』と言語化できない人もいます。でも男性の側は、言葉で伝えてもらわなきゃ分かりません。面倒くさがって何も不満をぶつけずにいると、その先にあるのはセックスレスです」

それだけセックスについての不満や要望を伝えるのは面倒で難しいというわけだ。なお、夫婦のセックスを変えていくには、もちろん男性側の努力や変化も必要だ。Mioさんは「『こうしたら気持ちよくなるかな』と考えながら動いたり、『こうしたら悶え方が違った』みたいに妻を観察したりと、自発的な探求をしてほしいです」と話す。

「あと男性って、女性を本当に満足させられると、自分が射精したとき以上に自己価値が上がるんですよ。その感覚を一度覚えると、男性もセックスの探求に積極的になると思うんですが、そこに辿り着けないと『どうしたらいいか分からない』で止まってしまう。女性も女性で『セックスって男が頑張ってくれるもんじゃないの?』と思っていたりすると、お互いにセックスが面倒くさくなっていくんです」

風俗の女性はうるさいことを言わない!

「ブログ読者からの体験のシェアで、奥さんが旦那さんに『もっとこうしてほしい』『こういうこともしてみて』とお願いしたら、『何でそんなに細かいこと言うんだ! 風俗の女はそんなうるさいことを言わない!』って夫からキレられたという話もありました(笑)」

自分のセックスについてそもそも自信がなかったり、妻に言えないコンプレックスを抱えていたりする男性も多いはず。だからこそ、妻から要望や不満をぶつけられたとき、余計に自信を失ったり、不機嫌になって逆ギレしてしまったりするのだろう。

「だからこそ伝え方に気をつけるのは大事でしょうね。ただ、女性も自分のセックスについて自信があるわけではない。だからこそ伝えるのが面倒になってしまうし、『旦那とのセックスは辛いけど、私が我慢すればそれで済む』と思ったりしてしまうのでしょう。そういうすれ違いは、家事や育児の分担で不満を持っている妻が、『旦那に頼みたいけど、私がやったほうが早いからいいや』『どうせ言ってもやらないし』と諦めてしまうのと似ている気がします」

関係が円満な夫婦は、得てしてそうした不満や要望を伝えるのが自然にできたり、相手を褒めつつ行動を変えさせるのが上手かったりする伝えるのが面倒なことでも、伝え方を工夫して相手にぶつけていくのがやはり大切なのだ。

「自分が何も言わなくてもすべてを察してくれる人が理想なのは分かるのですが、そんな人はいません。ただ、女性の気持ちを察することが上手い男性はいらっしゃいますね。そういう男性はほかの女性からも引っ張りだこになるので、浮気が多かったりもしますが(笑)」

夫のHがイヤ⑦に続く

Mio
大阪府生まれ。大学で知り合った同級生の男性と二十二歳で結婚。夫との夫婦生活が苦痛で、「自分はセックスができない身体なのではないか」と悩み、摂食障害とうつ病に。その後セックスレスを理由に夫から離婚調停を申し立てられ、別居を経て離婚。2017年の冬からアメブロに当時を振り返る手記を連載し、大きな話題を集める。現在は税理士・行政書士・カウンセラーとして、女性起業家のサポート・離婚業務を中心に活動。著書に『夫のHがイヤだった。』(亜紀書房)。ブログ:夫のHが嫌だった


Text=古澤誠一郎