”ダメなセックス→レス→離婚”の夫婦は本当に多い【夫のHがイヤ①】

夫を愛しているのに、夜の営みが苦痛で仕方なく、セックスレスを経て離婚。別居中に別の男性と交わる経験も経て、夫のセックスが自分本意な“ジャンクセックス”だったことにも気がついた……。そんな赤裸々な体験を綴った『夫のHがイヤだった。』にはセックスと夫婦関係・男女関係を考えるうえで、示唆に富む話も、身につまされる話も数多く登場する。「コロナ離婚」というワードが話題を呼ぶ一方で、海外ではコンドームの売れ行き急増も報じられる昨今。仲が悪くなってセックスレスへと近づいている夫婦も、セックスの機会が普段以上に増えている夫婦も、読んでおいて絶対に損のない内容だ。今回、同書の著者で、行政書士・カウンセラーとして離婚相談も多く受けているMioさんにロングインタビュー。第1回のテーマは「セックスレスと離婚」について。

離婚相談に訪れる人の多くが夫婦間のセックスで悩んでいる

昨年9月に初の著書『夫のHがイヤだった。』を上梓したMioさん。同書は、結婚当初から夫とのセックスが苦痛で悩んでいたMioさんが、セックスによって深く傷つき、またセックスによってその絶望から回復した過程を綴った実録エッセイだ。

「私の本業は税理士・行政書士・カウンセラーで、離婚相談や離婚協議書作成などの業務を扱っています。そこで接するクライアントには、セックスについて悩んでいる女性の方が本当に多かったんです。本書のもとになったブログを書きはじめたのも、そうした境遇にいる女性たちに届いてほしい……という思いからでした」

なお、離婚相談に訪れた人に家族構成や夫婦関係の現状を確認すると、「出産から2年ほどの間にセックスレスになり、関係がこじれてしまった」というケースが非常に目立つのだそう。

「『子供が生まれていちばん幸せな時期のはずなのに、どうして?』と最初は私も不思議でしたが、実は厚生労働省のデータでも一番下の子供が2歳までの時期の離婚が多い(離婚全体の約40%)とされています。出産後には、急激に夫婦仲が冷え込む『産後クライシス』があることも近年は知られていますが、その時期にセックスレスになる夫婦も多いんです。なおセックスレスには、夫側が関係を拒むもの、妻側が拒むものの2つのパターンがありますが、産後の時期は妻の側が拒むケースが目立ちます」

そして妻がセックスを拒むケースでは、「2人の夫婦生活がジャンクセックスであることが多い」とのこと。ジャンクセックスとは、セックスセラピストのアダム徳永氏の造語で、定義は「男性本位の、射精だけを目的とした、平均20分足らずのセックス」とされている。

「より具体的には、男性が女性に十分な前戯もせず、自分の性欲のままに挿入し、激しくピストン運動して、射精をして終わり、というようなセックスのことです。そうしたセックスが続けば、妻の側が関係を拒むようになるのも当然です。しかし、ジャンクセックスをする夫婦のなかには、セックスへの認識や知識の不足から、そうしたセックスが普通だと思っている人たちもいます。女性が快感を得られないのが『普通のセックス』だと認識してしまうと、気分が乗らないと『夫が家事育児を手伝ってくれないから』『日頃から私をいたわってくれないから』と何かと理由をつけてセックスを拒むようになります」

セックスの内容のマズさが離婚の本当の原因だった

つまり、妻の側が日常の夫婦関係について色々な不満を述べているとき、その裏にはセックスへの不満があり、それに自分自身も気付いていない……というケースがあるわけだ。なおMioさんは自身が夫のジャンクセックスに苦しみ、セックスレスを経て離婚に至った経験があるため、「行政書士として離婚相談を受けていても、途中からセックスの話になってしまうことがほとんど(笑)」とのこと。

「みなさん、『こんな話、誰ともしたことがなかった』とおっしゃいますね。なお、夫婦がジャンクセックスによってセックスレスになった場合には、男性の側も心に傷を負います。多くの場合は、セックスを拒否されている理由がわからないので、『自分の存在を否定された』『俺は外で毎日頑張って働いているのに、妻は子供の相手ばかりしている。家に自分の居場所がない!』と感じてしまうわけです」

なお、子供を生んだ直後の女性がセックスを拒む背景には、もちろん子育てによる疲れもあるという。

「あまりに疲れ切ってしまうと、やはり『セックスをしたくない』と思うようになりがちです。でも、本当に気持ちがよくて、お互いのつながりを感じられるセックスなら、疲れがたまっているときほどしたくなるはず。『疲れているからセックスはイヤ』と断るということは、そもそもそんなレベルのセックスしかできていない証拠ともいえます」

だからこそ、セックスレスを経て離婚に近づいている夫婦については、「自分たちのセックスはどんなものだったのか」と確認する作業が大切になるそうだ。

「夫婦には恋愛から始まった男女の関係があり、お互いに働いていれば社会人と社会人の関係があります。お互いの家族同士の関係もありますし、子供が生まれれば父と母の関係も大切になるでしょう。そうやって夫婦は幾重もの関係性のうえに成り立っているわけですが、ジャンクセックスでセックスレスになり、不仲になった夫婦は、『男女の関係』の部分が壊れてしまった状態です。『壊れているのはその部分だ』とハッキリ認められれば、お互いの全否定や人格否定を避けられますし、他の関係の部分での恨み、つらみがなくなるんです。『子供のためにお父さんとお母さんとしては信頼を回復しよう』と前向きな関係修復もしやすくなります」

セックスレスになっていたり、「何だか最近あまりする気が起きない……」と感じていたりする夫婦やカップルは、そうやって自分たちのセックスを今一度見直してみてはどうだろうか。

夫のHがイヤ②に続く

Mio
大阪府生まれ。大学で知り合った同級生の男性と二十二歳で結婚。夫との夫婦生活が苦痛で、「自分はセックスができない身体なのではないか」と悩み、摂食障害とうつ病に。その後セックスレスを理由に夫から離婚調停を申し立てられ、別居を経て離婚。2017年の冬からアメブロに当時を振り返る手記を連載し、大きな話題を集める。現在は税理士・行政書士・カウンセラーとして、女性起業家のサポート・離婚業務を中心に活動。著書に『夫のHがイヤだった。』(亜紀書房)。ブログ:夫のHが嫌だった


Text=古澤誠一郎