AVを見ないとセックスできない妻。その理由は?【夫のHがイヤ⑦】

夫を愛しているのに、夜の営みが苦痛で仕方なく、セックスレスを経て離婚に。そして別居中に別の男性と交わる経験も経て、夫のセックスが自分本意な“ジャンクセックス”だったことにも気がついた……。そんな赤裸々な体験を綴った『夫のHがイヤだった。』にはセックスと夫婦関係・男女関係を考えるうえで、示唆に富む話も、身につまされる話も数多く登場する。「コロナ離婚」というワードが話題を呼ぶ一方で、海外ではコンドームの売れ行き急増も報じられる昨今。仲が悪くなってセックスレスへと近づいている夫婦も、セックスの機会が普段以上に増えている夫婦も、読んでおいて絶対に損のない内容だ。今回、同書の著者で、行政書士・カウンセラーとして離婚相談も多く受けているMioさんにロングインタビュー。第7回のテーマは「義務のようにセックスをしている女性」について。

AVを見ないとできないのはセックスの内容がお粗末だから

夫婦がセックスレスになるには様々な理由があり、それは夫婦ごとに違う。筆者の知人の男性に、「うちの奥さんは『そうしないと気分がのらないから』と言って、セックスの最中にずっとスマホでAVを見続けている。それがイヤでセックスレスになった」という人がいた。男性からすると「そりゃ萎えちゃうよな……」と感じてしまう話だが、このケースをMioさんはどう分析するのか。

「まず、その女性は性欲が湧きづらい方なんだと思います。私も昔は『エッチな本を見ないとその気になれない』という時期があったので、彼女の気持ちが分かります。また、前戯までの盛り上がりが不十分だからこそ、セックスの最中に『何やってんだろう?』としらけてしまうことが多く、それでAVを見るようになったのかもしれません」

そしてMioさんは、「おそらく旦那さんとのセックスの内容自体が良くないんでしょうね」と話す。

「変な喩え話ですが、『美味しいラーメンなら食べることに集中できるけど、カップラーメンはテレビのお料理番組を見ながら食べちゃう』みたいな感じというか。奥さんも旦那さんとのセックスに気持ちが入りこめないから、AVを見ながらしちゃうんでしょう。男性もそんなセックスは辛いでしょうけど、AVを見ながらする以前にしていたセックスは、奥さんにとってさらに辛いものだったのかもしれません」

女性の「早く○○して」は「さっさと終わらせろ」の意味?

なお、その夫婦は子作りのためにセックスをしていたので、AVを見ることは奥さんにとって無理やり興奮を高めるための手段でもあったのだろう。

「女性の側が義務のようにセックスをしているケースは、実は多いんです。男性の中には「早く挿れて」と言われると喜ぶ人がいますけど、それは『早く挿れてさっさと終わらせろ』という意味を持つ場合もあります。自分の体を相手に触らせたくないから、口だけで相手をイカせることに頑張ってしまう女性もいますね。女性の中には、セックスを楽しむことを諦め『しなきゃいけないもの』と認識した結果、男性を傷つけずにさっさと終わらせるテクニックを身につけている人もいるんです」

そういうテクニックを身につけた妻とセックスをする夫は、気分のよくなる言葉を言われたり、気持ちよくしてもらったりして、上機嫌になるかもしれないが……何とも悲しいすれ違いだ。

「そのような女性はエッチに対して心のシャッターを下ろして、『お務め』感覚でしている状態なんですよね。『男ってそんなもんでしょう』『15分我慢して気持ちいいフリをしてればいいのよ』と言っている女性もいましたから。彼女たちにとっては、セックスを上手にやり過ごしつつ、夫婦の形を維持することのほうが大事なんでしょう。家族を持った女性の中には、セックスの優先順位がさほど高くない人も多いですから」

男性の中には「うちの奥さんは『気持ちいい』っていつも言っているよ」という人もいるかもしれないが、それも演技の可能性があるのだ。

「これもよく聞く話ですが、女性がイクのも演技の場合が多いです。眉間にしわを寄せているのも、実は痛いからだったりしますし。男性の自慰行為と一緒で、クリトリスを強く摩擦されればイク感覚は確かにあるんですけど、激しくされてイッても気持ちは『で、だから?』と冷めていたりします。それでは自分でオナニーするのと変わりませんから。でも女性は何らかの意図があって演技をしているので、それを本当の反応だと思って男性が満足しているのであれば、夫婦の関係は丸く収まっているとも言えます」

しかし、「妻の反応は演技かも」と薄々感じつつ、夜の関係を続けるのは、男性側からしても寂しいものだろう。そういう雰囲気が見えたら、男はどうすればいいのか。

「少しずつセックスの雰囲気を変えてみて、様子を見るのがいいでしょうね。『いつもは15分で済んでたのに、急に旦那が張り切りだして、しかもポイントがズレたところばかり触ってくるので不快でしょうがない』みたいな話も聞こえてくるので。あと『本当に気持ちいいのか?』『本当はイッてないんじゃないのか?』みたいに問い詰められると余計に気分が萎えてしまいます。『私が満足するまで続けるつもり? どうせ満足できないから時間を長くかけたくないんですけど』って。それに本当に気持ちいいときは感覚で味わっていたいので『どこがどう』とか論理的な思考はしたくないというのもあります。なかなか難しいですが、こういうときこそ表情や様子で判断していただきたいなぁと(笑)」

夫のHがイヤ⑧に続く


Mio
大阪府生まれ。大学で知り合った同級生の男性と22歳で結婚。夫との夫婦生活が苦痛で、「自分はセックスができない身体なのではないか」と悩み、摂食障害とうつ病に。その後セックスレスを理由に夫から離婚調停を申し立てられ、別居を経て離婚。2017年の冬からアメブロに当時を振り返る手記を連載し、大きな話題を集める。現在は税理士・行政書士・カウンセラーとして、女性起業家のサポート・離婚業務を中心に活動。著書に『夫のHがイヤだった。』(亜紀書房)。ブログ:夫のHが嫌だった


Text=古澤誠一郎