チャーミングなひと Vol.1


SHE IS SO CHARMING! チャーミングな女(ひと)。

人懐っこい笑顔と少女のような可憐さに、最近めっきり大人の女性の魅力が加わり、ますます目が離せなくなった女優、石原さとみさん。まさしくチャーミング、という形容がぴったりな彼女に聞いた「チャーミングな男」とは?

SATOMI ISHIHARA
1986年東京都生まれ。高校生だった2002年、ホリプロスカウトキャラバンにて「ピュアガール2002」グランプリを受賞。03年に映画『わたしのグランパ』で女優デビュー。以降は映画やテレビをはじめ、舞台など幅広く活躍。公開中の『風に立つライオン』に続き、今夏公開予定の『進撃の巨人』(前後編2部作)など話題作への出演が続いている。

女優の洞察眼に浮かぶチャーミングな男性像
「世界で最も美しい顔100」(米映画サイトTC Candler.com発表)に2年連続で上位にランクイン。さらに大作映画やテレビドラマなど多方面で活躍中の石原さとみさんは、今まさに世界をチャーム=魅了している女優だ。そんな彼女自身はチャーミングと言われることも多いだろうが、どんな男性に“チャーミング”を感じるのだろう。
「私はよく笑い、よく喋る男性が好きなんです。でも、軽薄な言動はせず、言葉の選び方にセンスを感じる、頭の回転が速い人。ちょっとした言葉や表情にも、人間性って表れますよね。チャーミングな男性とは、そういう端々に表れる内面に和ませられたり、笑顔にさせてくれる人じゃないかなと思うんです」
 言動や表情から内面を読み取る洞察力は、実力派女優の面目躍如(めんもくやくじょ)。当てはまる男性に大沢たかおさんや北村一輝さんを挙げてくれたが、共通するチャームポイントはやはり笑顔だそう。
「クールに気取っている人より、感情を表に出せる人のほうが好きです。素直でわかりやすい男性は、それだけでチャーミングだと思う。そんな男性が悲しそうだと思わず手をさしのべたくなるし、怒っていれば笑わせてあげたくなりますからね」
 現在28歳。仕事で多忙を極め、大人の女優へと成熟しつつある彼女にとってひょっとしたら恋愛は二の次なのかもしれない。だが“チャーミングな男性は恋愛対象になりますか?”と聞くと、素敵な笑顔で元気よく「はい」と答えてくれた。
「今まで意識しなかったけど、言われてみれば私が好きになるのはいつもチャーミングな男性なのかもしれませんね」

WHO IS CHARMING FOR YOU? 石原さんにとってのチャーミングな男
俳優 北村一輝さん

「これまで何度もお仕事をさせていただいているのですが、そのたびにキャラクターがまったく違う、とても器用な方です。表情がすごく豊かで、セクシーな男性から笑える三枚目まで、幅広い役を演じることができる。ご一緒しているといつも面白いし、俳優としても尊敬しています」

Direction=島田 明 Text=竹石安宏(シティライツ) Photograph=若木信吾
Styling=斉藤くみ(SIGNO) Hair & Make-up=河北裕介


HE IS SO CHARMING! チャーミングな男(ひと)。

屈託のない笑顔、という。その表現が今もっとも似合う俳優が大沢たかおさんではないだろうか。笑顔は少年のようでいて、まさにチャーミング。「いや少年ではなく、ガキのまんまなんですよ」と笑う。その表情に男が香る。

TAKAO OSAWA
1968年東京都生まれ。19歳でモデルデビューし、ドラマ『君といた夏』で俳優として活動をスタート。映画に多数出演し、企画も手がけた主演作『風に立つライオン』が公開中。俳優として演じるだけでなく、自分に何ができるのかを考え、仕事に向き合う。「俳優が作品に関われる時間は限られています。だから機会をいつも大切にしたいですね」
ジャケット参考商品、Tシャツ¥54,500(ともにベルルッティ/ベルルッティ・インフォメーション・デスク フリーダイヤル:0120-203-718)

演じる面白さよりも、人を喜ばせたい
 男にチャーミングを感じる時は? とたずねると、大沢たかおさんは「奇をてらわず、何の計算もない、素の自分を思わず出してしまった瞬間」と答えた。
「どうしたって大人って周囲を見るし、経験で行動しちゃう。でもしょせん人間なので理性とか計算ではない反応をしたり、ポロッと口に出てしまうことがあります。そういうところがチャーミングだと思いますね。その人の本音が見えるようで」
 そんな少年っぽさにチャーミングを感じる。だが自身は世間一般でいう“大人”にはなれないのかもしれないともいう。
「そういう意味では俳優でよかったと思うこともあり、なぜなら大人にならないほうがいい仕事でもあるので。いくらキャリアを積んでもモデルとして雑誌に出た時の喜びや、俳優として初めて現場に行った恐怖は今も薄れていないんです。緊張して寝られないし、カメラを向けられるとセリフが言えないことも。成長しないことはよくもあるし、マイナスもある。でもそれも含めて自分なのかなと思います」
 役柄を演じる面白さよりも、俳優として自分が参加することで作品が人を喜ばせたり、勇気を与えたり、誰かの役に立つことにやりがいを感じる。
「そうでないと僕は俳優をやる必要はないと思う。仕事って社会と自分が関わることに意味があり、そこに面白さがあるから」
 それは初バイトで皿洗いをした時、きれいに磨いた皿を褒められ、喜ばれた嬉しさと変わらないと笑う。「だからガキのまんまなんですよ」その笑顔こそチャーミングだ。

WHO IS CHARMING FOR YOU? 大沢さんにとってのチャーミングな男
映画プロデューサー 阿部秀司さん
「欲しかったBMWのバイクを関西で見つけ、買いに行ったそうです。本人いわく『リュックにお金を積めて』(笑)。しかも大晦日に自走で帰る途中、あまりの寒さで途中一泊したとか。そんな話を一所懸命するんです。本当にチャーミングですね」(大沢氏)。

Direction=島田 明 Text=柴田 充 Photograph=若木信吾 Styling=黒田 領
Hair & Make-up=松本あきお


THEORY OF CHARMING MAN 

映画監督 周防正行流「チャーミングな男(ひと)」論。

この人の描く人物は誰もがチャーミングだ。皆、戸惑いながらもいつしか我を忘れて熱中していく。その姿に観る者は喝采を送るのである。周防正行監督。柔和な表情には、たとえ不器用でも自分を偽らない生き方への優しい視線が宿る。

MASAYUKI SUO
1956年東京生まれ。89年『ファンシイダンス』で一般映画監督デビュー、『シコふんじゃった。』『Shall we ダンス?』などを発表。娯楽作以外にも『それでもボクはやってない』『終の信託』といった社会問題を取り上げた硬派作も手がける。近作『舞妓はレディ』はBlu-ray&DVD発売中。

自分にとっての意外性、それがチャーミング

 駅の立ち食いそば屋、誰もが慌ただしくそばをかき込み、次々と入れ替わっていく。そのなかにふたりの高校生がいた。クラブ活動の帰りだろうか。食べ終わると、ひとりがどんぶりから顔を上げ、湯気の向こうのおばちゃんに笑顔で言った。
「ごちそうさま!」
 まるで映画のワンシーンのようじゃないか。これは高校生だった周防氏の実体験であり、その時、隣でごちそうさまと言った仲間を見て、本当にチャーミングだなと思ったそうだ。
「こいつ、こんなにカッコよかったかって感心した。そのギャップというか。でもその人のことをあまり知らなくてもチャーミングに感じる時があります。つまり自分の常識になかった他人の言動、自分の価値観とのちょっとしたズレ、にハッとする時。そのギャップが気持ちよければチャーミングだなと思うのかもしれませんね」
 だが監督として、ことさらチャーミングを意識して演出することはないという。
「ただ登場人物には輝いていて欲しいし、魅力的なキャラクターにしたい。そのためにはまずカッコつけさせない。でもファッションもそうですが、どこかにその人ならではの個性がなければ素敵な着こなしはできない。僕の場合はやり過ぎないことでしょうか」
 映画『舞妓はレディ』もそんなチャーミングがひとつのきっかけになった作品だ。
「主演の上白石萌音(かみしらいしもね)さんは、最初は目立つも何もまったく印象に残っていなかったんです。それが歌った瞬間にこんな子がいたのかって。うまいだけでなく、その表情とか存在感がそれまでとはまったく違う。その変わり方こそがこの映画のテーマである“成長”であり、それを表現できる可能性を秘めた個性だと思いました」
 そのギャップこそまさにチャーミングと振り返る。
 作品は自分が心底描きたいものしかつくらないと監督はいう。
「不遜に聞こえるかもしれませんが、でもその興味や面白さをどうやったら人に伝えられるかを徹底的に考えます。伊丹十三監督から学んだのは、人にモノを伝えるのがどれほど大変かということ。そのためにシナリオは必ずみんなに読んでもらい、意見を聞きます。嫌だし、ムカッとすることもあるけれど、グッとこらえて参考にします。それに実績を積んでいくと、どんどん偉くなってしまいますよね。そうなると周りは何もいえなくなる。だから偉くならないように、自分から率先して馬鹿なことも言うようにしています」
 驚いたことに全作品に続編を考えるそうだ。それは実現化というよりも作品への愛着から。僧侶、相撲取り、そして舞妓。自分が生み出したキャラクターは自分の手を離れ、それぞれの人生を歩み出した。そんな彼らに優しい眼差しを注ぐ監督はやはりチャーミングだと思う。

左:愛用の台本カバーには『舞妓はレディ』で奥様の草刈民代さんが演じた里春の花名刺ステッカー。右:愛用のバッグはついにストラップが切れた。エルメスのパンダチャームがアクセサリー。

WHO IS CHARMING FOR YOU? 周防さんにとってのチャーミングな男
映画監督 伊丹十三さん
「映画のメイキングをドキュメンタリーで撮らせていただいた際、伊丹監督は撮影中にのめり込むと役者と同じ表情になって、セリフを口にしていました。普段はスタイリッシュでものすごく論理的なのに、周囲も気にせずに。そのギャップがとてもチャーミングでした」(周防氏)。

Direction=島田 明 Text=柴田 充 Photograph=浅井佳代子(浅井佳代子事務所)
Hair & Make-up=馬場利弘(竹邑事務所)


*本記事の内容は2015年3月取材のものに基づきます。価格、商品の有無などは時期により異なりますので予めご了承下さい。
'14年4月以降の記事では原則、税抜き価格を掲載しています。('14年3月以前は原則、税込み価格