「運命的な出会いを果たした人=運命の人」という勘違い ~独身のプロが語る恋愛術②

今年3月に発売されて話題を呼んでいる『ハッピーエンドを前提として』(KADOKAWA)。「この世は頭のいい女、がまん強い女ほど幸せになりにくいように仕組まれている」という長い副題が示すように、女性向けに書かれた恋愛本だが、著者は男性。しかも独身・彼女なし。「自身も恋愛に苦労している男性著者による恋愛本」のため、男性が読んでも感心すること・勉強になることが非常に多い。「ゲーテWEB」では、著者のウイさんへのロングインタビューを7回に分けて掲載。今回は「運命的な出会い」という勘違いをテーマに話を聞いた。


「運命的な出会い」の相手がろくでもない人間の可能性も

「毎朝同じ電車に乗っていて気になっていた人に声をかけ、その人と結婚しました」

「雨宿りをしていたら『よかったらコレ、使ってください』と傘を渡され、そこから始まった会話をきっかけに付き合うようになりました」

いかにもマンガやドラマで描かれそうな「運命的な出会い」だが、実際にこのような出会い方をしたら、男女を問わずドキッとしてしまうものだろう。だがウイさんは、「『運命的に出会った人=運命の人』である保証なんかありません」と『ハッピーエンドを前提として』で書いている。これはどういうことなのか。

「『この人とは運命的な出会いだったから、きっと私の運命の人のはず』と人は思いがちなんですが、ろくでもない人と運命的な出会い方をしてしまったら、それは危険なことなんですよ」

確かにその通りで、「こんな偶然ってある?」という出会い方をした相手が、素敵な男性・女性とは限らない。SNS上では、「それが今の旦那です」という言葉をオチに、自身の運命的な出会いを明かす投稿がよくバズっているが、それは「運命的に出会った人がたまたまいい人だった」という稀有な例なのかもしれない。

なおウイさん自身は、「土砂降りの雨の夜中、自転車で転んだ女性に応急処置をして、病院まで送り届けた」「パルコで突然具合が悪くなって倒れた女性を介抱した」「1年に2回も新幹線で隣の席になった女性と会話をした」などなど、女性との"運命的な出会い"ともいえるシチュエーションを何度も体験済み。だが、それらの女性と恋愛関係になったことは一度もないという。「運命的に出会った人=運命の人ではない」という見解は自身の体験をもとに掴んだものだったわけだ。

「また、片思いの状態が長く続き、『この人は私の・僕の運命の人だから絶対に結ばれるはず』と信じてしまうのも危険です。相手はまったくそう思っておらず、何年もの時間を浪費してしまうこともあります。『運命』って便利に使われている言葉ですけど、すごく曖昧で、すごく危険な言葉でもあるんですよね」

運命を感じさせる出会いは心がけ次第で増やせる!

一方で、ウイさんが自身で体験した上記の出会いのように、お互いが「これって運命?」とドキッとするような出会いの機会を増やせれば、恋のチャンスは確実に増えるだろう。ウイさんはなぜ、何度もそのようなドラマチックな出会いを何度も体験できているのか。

「僕は相手が男性でも女性でも、『他人へのハードルがメチャクチャ低い』と言われるタイプなんです。たとえばガラガラの牛丼屋さんで食事をしていて、次に来たお客さんが僕の隣に座ったとき。誰でも『何でわざわざ自分の隣に?』と気になると思うんですけど、僕は実際にそれを聞いちゃうんです。友達に話すと『普通は聞かないよ!』と言われるんですけど(笑)」

ウイさんが過去に体験した「新幹線で同じ女性と偶然2回隣り合わせになった」というシチュエーションでも、相手に声をかけない……という人は多いだろう。だが、「この偶然っていすごよな」「何だろうこの人、気になるな」と思ったとき、その驚きや疑問を素直に口に出し、相手と会話をできれば、それは出会いの機会になるわけだ。

「飲食店で近くの席の人が、自分の知っていること・気になっていることを話していたら、『うわぁ、話に入りたい!』って思いますよね。僕はそこでも声をかけることが多いです。つい昨日も、ホテルの朝食のブッフェで隣になった外国の方が、小声で『コンニチワ。コンニチワ』と日本語の練習をしているのが気になって、話しかけてしまいました(笑)。話してみると、その方はスタンドアップパドルボード(SUP)というマリンスポーツの選手で、『日本でイベントに出演するために来日中で、最初の挨拶だけでも日本語で喋りたくて練習をしていたんだ』と教えてくれました。そうやって話せば疑問も解消するし、新しい世界を知ることもできるんですよね」

初対面の相手に自分から声をかけることに積極的になれば、そこでコミュニケーションスキルも磨かれるだろう。「そういう図々しいナンパみたいなのはちょっと……」と抵抗感がある人は、同性を相手にまずはトライしてみるのもいいかもしれない。

「図々しく声をかける」ことで、新しい人間関係が広まっていく

またウイさんは『ハッピーエンドを前提として』を出版したときも、まったく面識のない著名人に「図々しくも本を送りました」とのこと。

「新人で、無名で、しかも匿名の著者から本を送りつけられるって、相手もビックリしますよね。しかも恋愛本を送るのは、『あなたは恋愛で苦労しているんでしょ?』というメッセージにも取られかねません。でも僕は、『あなたのこういうコンテンツが好きで、いつも本当に楽しみにしています。これはあなたのファンが書いた本です』という内容のお手紙と一緒に、前から好きだった方に本をお送りしました。結果的にTwitterで宣伝をしてくれた方もいましたし、対談をさせていただいたり、ラジオに呼んでいただいたりしたこともありました」

面識のない人に声を掛けるときや、初めてコンタクトをとるときは、「変な人だと思われないかな?」「迷惑じゃないかな」という恐れも生まれるだろう。だが、どちらかが図々しい行動でコンタクトをとらないことには、新しい人間関係は始まらない。自分の中の恐れを乗り越え、相手に思いを伝えることができれば、新たな人間関係が広がっていくはずだ。

次回に続く


ウイ
1982年山形県生まれ。36歳独身バツなし彼女なし。自称独身のプロ。自身の恋愛観や失敗談を綴ったブログ「ハッピーエンドを前提として」は2、3ヵ月に1度とろくに更新されないにもかかわらず月間100万PVを超える人気となる。初の著書『ハッピーエンドを前提として この世は頭のいい女、がまん強い女ほど幸せになりにくいように仕組まれている』(KADOKAWA)が好評発売中。7月1日には「おせっかいな店長がいるけど気軽に入れる近所の喫茶店」というコンセプトのオンラインサロン「喫茶 クリームソーダ」を立ち上げた。Twitterは@ui0723。


Text=古澤誠一郎