日産スカイラインで行く極旅のキーワードは"リバイバル"!?~吉田由美の世界のクルマ見聞録⑯

女性カーライフエッセイスト・吉田由美は、日本列島だけでなく世界中のさまざまな国にひとりで飛び、クルマの最先端を肌で感じ続ける"現場主義者"である。ゲーテWEBでは『吉田由美の世界のクルマ見聞録』と題し、彼女が実際に現地に出向き「見て、聞いて、乗って、感じた」ことを独占レポート。第16回は、日産「新型スカイライン」の試乗会について。

 
「プロパイロット2.0」 搭載の13代目スカイライン

今回は少し今までとは違うテイストのお話かも。

実は先日、日産スカイラインに昨年搭載された「プロパイロット2.0」を体験するメディア向けの1泊2日の試乗プログラム「プロパイロット2.0で行く~大人の極旅」に参加してきました。

一日目。朝、横浜の日産本社に集合。そこでプレゼンテーションに参加。その後は新型スカイラインのハイブリッドモデルに搭載されている世界初の運転支援技術「プロパイロット2.0」を体験しながらアトラクションを体験したり、ランチをしたりしながら目的地の神奈川県秦野市にある「鶴巻温泉 元湯 陣屋旅館」を目指します。

しかし、残念ながら私はこの素敵な初日のプログラムには別件の仕事があって参加できず。朝のプレゼンテーションだけ参加し、その後、離脱。夜の陣屋旅館から合流です。

とはいえ、そこまでの道のりは首都高から東名高速道路、小田原厚木道路を経由し、もちろん「プロパイロット2.0」の試乗をしつつ目的地へ。

ちなみに日産スカイラインは1957年に初代が発売され、現在発売されているのは13代目のスカイライン。数ある日産車の中でも長い歴史と高い知名度を併せ持つスポーツセダンです。そして日産は世界初の先進運転支援技術「プロパイロット2.0」の搭載車として選んだのが「新型スカイライン」です。

「新型スカイライン」は、フロントのグリルやライトを刷新し、新しいNissan Connect、ダイレクトアダプティブステアリングを設定するなどをしながらも、今回はフルモデルチェンジではなくビッグマイナーチェンジ。他メーカーに先駆けて搭載される新技術なのに、マイナーチェンジの「新型スカイライン」に搭載するのは個人的にはもったいないような気がしてなりませんが、社内の新型車の発売サイクルを考えつつ他メーカーに先駆けて「世界初」ということが最優先のミッションだったと考えれば、この「スカイライン」のマイナーチェンジのタイミングだったのでしょう。今や技術は日進月歩ですから。

「プロパイロット」自体は、すでに日産セレナやリーフに搭載され、今や軽自動車の「デイズ」にも搭載されている運転支援機能。速度を設定すると前走車がある場合は間隔を取りながら追従走行する「インテリジェントクルーズコントロール」と車線からはみ出さないようにステアリング操作を支援する「アクティブレーンコントロール」を組み合わせたもので、一番のポイントは設定が簡単。ハンドル右側のスイッチを2回押すだけ。そしてその進化版が今回「新型スタイライン」に搭載された「プロパイロット2.0」です。「プロパイロット2.0」は、「プロパイロット」の機能に がさらに進化し、まるでレールに乗っているかのようにクルマは車線中央を走行し続けます。また、カーナビゲーションが連動し、目的地を設定すると高速道路上で設定の速度より遅い車がいた場合、追い越しや車線変更を車の側から提案。

ドライバーが了承すれば、追い越しの車線変更を車が支援したり、高速道路の分岐も行ってくれたり同じ車線であれば手放し運転が可能な「ハンズオフ機能」も付きました。これは3D高精度地図データとクルマのまわりを360度センシングするための7個のカメラ、5個のレーダー、12個のソナーによって実現しています。とはいえ、なにかアクシデントがあればドライバーが運転をしなければならないため、油断は禁物ですが。

もちろん使い方も簡単。ハンドル右側にある「プロパイロット」のスイッチを押し、さらにその横のスイッチを下に下げるだけ。そして2つのディスプレイでハンズオフが可能かどうかが表示されます。ハンドルマークが青ならハンドルから手放しOK。緑だと手放しはできませんがドライバーが設定した速度を上限に、先行車両との車間距離を保ちながら車線中央を走行するようアシスト。白は車間・車速制御のみの支援でドライバーが操舵する、という3段階。そして標識を読み取る機能があり、標識の速度+10㎞/hまでハンズオフでの走行が可能です。

そして青いハンドルマークの時に、条件が整うと車線変更のマークが出てきます。そしてどんなボディタイプの車が自車の周辺にいるかも運転席前方の画面に表示されます。実際の車両と表示される絵が同じかどうかをチェックするのも楽しいですよ。

プライベートの露天風呂もある「鶴巻温泉 元湯 陣屋」へ  

そんなこんなをしているとあっという間に「鶴巻温泉 元湯 陣屋」に到着。私が到着した時はすでに周囲は真っ暗ですが、それでも素敵な佇まいの日本家屋に手入れの行き届いた日本庭園。入口の所にはライトアップされた「日産スカイライン」が展示されていました。私は急いでほかのイベント参加の皆さんと合流し、夕食時間の終わりかけにかろうじて間に合った感じ。

そしてほどなく解散し、その日、お世話になるお部屋に通されたのですが、そのお部屋が素敵すぎ~!私のお部屋はプチ「離れ」で、数段プライベート階段を上がったところにあるお部屋。趣のある玄関ですが、キーはスカイラインが描かれたカードキーでハイテク。このギャップが面白い。そしてお部屋に上がり、プライベートの露天風呂があります。実は朝、部屋決めのくじ引きがありましたが、私が引き当てたのはがこちらのお部屋。今年はくじ運が強いようです。夜から朝にかけてお風呂に3回も入り、温泉旅を満喫です。

創業大正7年の老舗がIT活用⁉  

そして2日目。

今回のもうひとつの私の目的、陣屋の女将 宮崎知子さんによるセミナー「IT活用による旅館改革とその展望」に参加しました。

専業主婦だった女将が廃業寸前の老舗旅館に入り、夫と共に立て直す物語。

女将の旦那様は元ホンダのエンジニアでしたが、2009年に陣屋を経営していたお義父様が倒れ、傾きかけていた旅館を突然継がざるを得ない状況になったのだったそう。

陣屋の女将 宮崎知子さん

陣屋は創業が大正7年で今年103年目。鎌倉幕府四天王の和田義盛公別邸跡。明治天皇をお迎えした貴賓室では年に1~2回、囲碁や将棋の対局が行われるとか。

1万坪の庭園と18の客室、レストラン、宴会場などがあります。

受け継いだ直後、経営は赤字でしたが、当時の経営状況を分析し「物語に、息吹を。」というコンセプトを設定。そのためには

1)高付加価値・高単価・低稼働率への方向転換。
2)物語をつなぐブライダル事業をスタート
3)おもてなしの実験場(F1)として貴賓室を活用

この3つを行おうと。

興味深かったのはこれらの改革の説明を社員の方にするとき、F1のエンジニアだった旦那様が「何かを変えていく」というところの例えで、車を使ったという話。一輪車よりは二輪車のほうが安定し、二輪車より三輪車のほうが安全。三輪車より四輪車のほうが安定して速く走れる、という話をしたそうです。だから仕事としての柱を増やそうと。

そして情報の「見える化」と計画、実行、評価、改善の高速化をはかるためそれまで月ごとにまとめていたものを日次管理したり、仕事を効率化し、お客様との会話を増やし、そしてそれを管理して共有したり、今後のサービスに活かすためにCRM(顧客管理システム)を導入。そしてここからが凄い!

それまで旅館ビジネスに特化したものがなかったため、旅館・ホテル向けクラウドシステム「陣屋ネクスト」を独自開発。実はここにもホンダで教わった「松明は(たいまつ)自分の手で」「コア技術は自分でやれ」という言葉が元になったとか。

このようにデジタルを導入したりIoTを活用することで業務の効率が上がり、お客様の満足度もアップ、業績も黒字に。また休館日を設けるなどいち早く「働き方改革」を実行すると、政府や業界関係者、メディアにも注目されるようになったとか。さらにこのシステムと経営改革モデルを他施設にも提供し、さらに現在は旅館・ホテル向け助け合いのネットワークサービス「宿屋EXPO」を作り、食材や労働力、備品、集客まで行っているのだそう。

まさにこれは「陣屋」のリバイバルプラン。こちらは2009年から始まりましたが、日産自動車もそれより10年ほど前に当時の「日産リバイバルプラン」によって業績を向上させた会社。

そして今、陣屋は「宿屋EXPO」、日産は「プロパイロット2.0」という新技術での挑戦…。そんなことを感じた今回の「新型スカイラインで行くおひとり様極旅でした。そしてどちらも過信は禁物。安全運転…ですね。

Yumi Yoshida

岩手県生まれ。カーライフ・エッセイスト。自動車評論家(日本自動車ジャーナリスト協会理事)。短大時代からモデルを始め、国産メーカーのセーフティドライビングのインストラクター経て「カーライフ・エッセイスト」に転身。クルマまわりのエトセトラについて独自の視点で自動車雑誌を中心に、テレビ、ラジオ、web、女性誌など広く活動中。3つのブログを展開し、中でも「なんちゃってセレブなカーライフ」は、ピーク時で1日約20万アクセスを誇る。持っている資格は、普通自動車免許、小型船舶1級、国内A級ライセンス、秘書検定、ECO検定、カラーセラピー。日本自動車ジャーナリスト協会(AJAJ)理事。日本ボートオブザイヤー選考委員。    

Photograph=宮門秀行