アイデアの源はロナウドから!? 新型マツダ3の魅力とは ~吉田由美の世界のクルマ見聞録③

女性カーライフエッセイスト・吉田由美は、日本列島だけでなく世界中のさまざまな国にひとりで飛び、クルマの最先端を肌で感じ続ける"現場主義者"である。ゲーテWEBでは『吉田由美の"世界のクルマ"見聞録』と題し、彼女が実際に現地に出向き「見て、聞いて、乗って、感じた」ことを独占レポート。第1回第2回はランボルギーニについて論じたが、第3回は一転して国内メーカーのマツダの新作を取り上げる。


去年から大注目の「マツダ3」

世界初公開の舞台は日本発表に先駆けてアメリカ・ロサンゼルスオートショーでしたが、美しくシンプルなフォルムと‘引き算の美学’とマツダが謳うデザイン、そして第3のエンジンと呼ばれる「SKYACTIV-X(スカイアクティブ・X)」でも注目されていました。また、車名がこれまでの日本名「アクセラ」からグローバルで統一する「マツダ3」となったこともトピックです。

日本で初めて新型「マツダ3」が一般公開されたのは今年1月の「東京オートサロン」。「東京オートサロン」といえばもともとカスタムカーの祭典でしたが、ここ数年は各自動車メーカーも力を注ぎ、ここで初披露されることもしばしば。しかし、それもスポーツモデルやハイスペックモデルがほとんど。こういった普通のモデルがこれほど注目されるのは、ちょっと珍しいかもしれません。

そして今年2019年5月。いよいよマツダ3の国内正式発表です。

実はその数か月前、私は北の大地、北海道のテストコースで行われた雪上試乗会で新型「マツダ3」に試乗していました。でも、一般路での試乗をする前にいきなり雪上試乗とは……。

そしていよいよ市販版の「マツダ3」に試乗! かと思いきや、これまたメディア用に試乗するクルマの確保が難しいとのことで、クローズドのテストコースでプロトタイプ(試作モデル)の試乗となりました。クルマとしては完成系ではあるようですが、ナンバーがまだついていないクルマ……。実はこのタイミングで、すでに販売店には新型マツダ3が試乗車としても用意されているらしいのですが、メディアに対応する広報部で所有するクルマがないというのです。つまりオーダーが殺到しているため、販売の現場優先。お客様優先の"お客様ファースト"。しかし、これは仕方がありません。メーカーや販売店にとっては嬉しいことですから。

というわけで、正確には2度目の試乗となった「マツダ3」。でも今回もまだ公道試乗ではありません(笑)。

今回の試乗会では、マツダ3の魅力として、
① セダンとファストバックそれぞれの個性を際立たせたデザイン
② まるで自分の足で歩いているかのような自然な運転感覚
③ 移動時間を色鮮やかにする室内空間
④ ドライバーを主役とした安全
という内容で、プレゼンテーションが行われました。

マツダ3のエクステリアデザインは、躍動感をテーマにした「鼓動デザイン」を「CX-5」や「アテンザ」などから採用していますが、新型「マツダ3」では、「引き算の美学」と称して、線を多く入れるのではなく、面でクルマを表現しています。光の当たり方でデザインが浮かび上がるといったイメージ。

ボディタイプは「マツダ3 セダン」とハッチバックスタイルの「マツダ3 ファストバック」の2タイプ。

そして、特に強調されていたのは、まるで歩いているかのような自然な運転感覚に近づけるための新世代の車両構造技術「SKYACTIV-VEHICLE ARCHITECTURE(スカイアクティブ・ヴィークル アーキテクチャ―)」の話。ボディの剛性を上げ、減衰性を担保。サスペンションは前後を支える部分の剛性を高め、素早くエネルギーを伝達させるサスペンションに。また、タイヤも上下のバネを柔らかくして振動吸収と減衰機能をアップ。そして最も力が入ったのがシートの話。乗車時でも、歩行しているときのように脊柱がS字カーブを保つよう、骨盤を立てて着座できるようなシートと、それを支えるクルマのボディ、クルマ側の話。そして「人間の身体には、優れたサスペンション機能が備わっている」と。そのため、バネ上と一体で動くシート、力の伝達をリアルタイムで伝えるボディ、バネ上からの入力を滑らかにするシャシーで、さらにこれらのバランスが大切。そしてそれらを最大限に生かすためには、‘正しい運転姿勢をとることが重要’とも。

ということで、椅子の上にゆらゆら揺れるバランスシートのようなものを置いて安定感の確認。しかも骨盤を立てる話は、男性より女性のほうがイメージが浮かぶようです。

試乗会のプレゼンでは、骨盤の動き方を実際に体感できるプログラムも。

マツダはこれまでも"正しい運転姿勢"にこだわり、それに向けて運転しやすいペダル配置やハンドル位置など、基本に立ち戻ったクルマ作りを行ってきました。その一つの例えとしてサッカーのクリスチアーノ・ロナウド選手などのサッカー選手が練習中に姿勢を正して視界を拡げるために、胸にサポーターをしているという話が出されましたが、それにはスポーツ好きの男性もイメージが浮かんだらしく納得。スポーツにも、クルマの運転にも基本や、正しい姿勢があるのです。

また、NVH(騒音・振動・ハーシュネス)についてのこだわりも聞けました。遮音材を多用するとコストも重量も重くなるため、振動エネルギーを吸収する「減衰節」と「減衰接着剤」を使うという発想の転換をしたそう。しかも車内の静粛性も向上したようです。

ドライバーを中心にした安全ということで、居眠りやわき見運転を見張る「ドライバーモニタリング」、渋滞の時でも疲労を軽減してくれる「クルージング&トラフィックサポート(CTS)」、見通しの悪いT字路でも安心の「前側方接近車両検知(FCTA)」が搭載されています。

エンジンラインナップは1.5リッターと2リッターのガソリンエンジン「SKYACTIV-G(スカイアクティブ・G」、1.8リッターのディーゼルエンジンの「SKYACTIV-D(スカイアクティブ・D)」、そしてマツダ独自の燃焼方法で火花点火制御圧縮着火(SPCCI)を採用するマイルドハイブリッド「SKYACTIV-X(スカイアクティブ・X)の4種類。しかし今回試乗できたのは、2リッターのガソリンエンジン「スカイアクティブ・G 2.0」のセダンとハッチバックが1.8リッターの「スカイアクティブ」。「スカイアクティブ・X」は今回もまだお預けです。

そして「マツダ3」の特徴的なボディスタイル、セダンとファストバックの大きな違いは、何といってもボディの後ろの部分。セダンは独立したトランクを持ち、ファストバックでは、トランクゲートのオープナーでもある大きなマツダのエンブレムが立体的で印象的。フロント部分ではフロントグリルがクロームメッキで、ファストバックはスポーティなダークメタリック。ライトのデザインは両車とも共通で奥に花びらが入っているような可憐なデザイン。

トランクゲートのオープナーが私のお気に入り。

最初に試乗したのは1.8リッター直列4気筒ディーゼルターボエンジン 6速ATを搭載するハッチバックタイプの「マツダ3 ファストバック DX プロアクティブ・ツーリング セレクション」。このハッチバック、好きだわ~。ボディカラーはソウルレッドクリスタルメタリック。最新のマツダのソウルレッドは、ますます美しく輝いています。シートはファブリック。そのせいか、シートへの身体の収まり方が絶妙です。そして、ちょうどウエストのあたりがこれまで感じたことのないようなフィット感。これが「骨盤を立たせる」という意味か! と実感します。そしてドライビングポジションでは、体の中心方向にステアリングがあり、素直にからだをまっすぐ前を向いて両足を均等に開いた場所にアクセルとブレーキがあります。そして走り出して驚くのは、ディーゼルエンジンなのに圧倒的な静かさ。風切り音もほとんど聞こえてきません。試乗コースの高速周回路でもハンドリングコースでも4輪がピッタリ安定しているので安定感があります。

そして2リッターのガソリンエンジン「スカイアクティブ・G」を搭載する「マツダ3 セダン 20S Lパッケージ」。こちらのシートは黒革でボディカラーはマシーングレープレミアムメタリック。セダンだと落ち着いたイメージになりがちですが、そうでもないところが嬉しいかも。インテリアは思ったよりシンプル。でも殺風景というわけではありません。

そしてロードノイズも気になりません。そして滑らか。アクセルとブレーキの加減速に、素直にかつ忠実に応じてくれます。そして視界も良好。

気持ちがいいクルマって、やっぱりクルマ自体がバランスの取れたクルマであり、バランスを自然に取れるようにしてくれるクルマっていうことなのかもしれません。

そして早く一般公道で新型マツダ3に試乗したいですね。

Yumi Yoshida
岩手県生まれ。カーライフ・エッセイスト。自動車評論家(日本自動車ジャーナリスト協会理事)。短大時代からモデルを始め、国産メーカーのセーフティドライビングのインストラクター経て「カーライフ・エッセイスト」に転身。クルマまわりのエトセトラについて独自の視点で自動車雑誌を中心に、テレビ、ラジオ、web、女性誌など広く活動中。3つのブログを展開し、中でも「なんちゃってセレブなカーライフ」は、ピーク時で1日約20万アクセスを誇る。持っている資格は、普通自動車免許、小型船舶1級、国内A級ライセンス、秘書検定、ECO検定、カラーセラピー。日本自動車ジャーナリスト協会(AJAJ)理事。日本ボートオブザイヤー選考委員


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