仕事の食事会を有効活用 名人の極意 平原由紀子『できる人の会食術 仕事ごはん 部下ごはん』


会食7000回の名人に、人間関係と仕事が変わる気遣いの極意を学ぶ

『できる人の会食術 仕事ごはん 部下ごはん』 平原由紀子 著 CCCメディアハウス ¥1,500

仕事ができる人は会食上手という考えには、会食三昧の仕事をしていた身として100パーセント賛同するが、会食とはかくも奥深いものだったのかと本書を読んで改めて驚く。

長らくファッション業界で働き、7000回もの会食経験を積んできた著者による指南書。そのほとんどにおいてセッティングする側、つまりは接待する側だったという著者が店選びから、料理・飲み物の注文方法、スマートな会計の仕方まで、ありとあらゆるノウハウを具体的にレクチャーしてくれる。

とはいえ突飛なテクニックが並べられているわけではない。相手側と人数を揃える、10分前には到着してお店の人と打ち合わせをする、値段を知られないように注文するなどなど、真っ当なビジネスマンであれば、本当はこうしたほうがいいのだろうなと頭ではわかっているけれども、面倒臭くて省略してしまっているようなあれこれをも、丁寧に、徹底的に実践すべしという提案が多い。

度々登場するのは"先導"というワード。食事に誘ってお店を予約しただけでは先導したことにならない。参加者がしかるべき席へと収まるよう先導し、料理のオーダーも先導。予算内で収まるワインボトルへ先導し、会話の流れも先導、そしてお開きのタイミングをも先導するのである。最初から最後まで細心の注意とともに先導し続け、相手を存分に楽しませたうえで、自分もしっかり楽しめるように先導してしまうのだ。

テーブルの上で流れる2、3時間を自分のイメージどおりに運ぶために研鑽(けんさん)を積むことは、人間関係や仕事、ひいては人生そのものをイメージに近づけていくことへとつながる。

会食を侮るなかれ。