藤原ヒロシが出品!? 希代のマルチクリエイターも共鳴するメルカリの新しいユーザー体験【インタビュー】

フリマアプリのトップランナーであるメルカリは、月間利用者数約1,650万人という圧倒的なシェアを誇る。誰もが手軽に売買できる優れたシステムから莫大な経済効果をもたらし、eコマースの市場に新たな価値観を創出することに成功したことは周知の事実だろう。 先日、メルカリをチェックしていたゲーテ編集部員が思わず目を疑う著名人の名前を出品者の中から発見した。そう、希代のマルチクリエーター・藤原ヒロシだ。早速、本人にコンタクトを取ったところ、幸運にもインタビューの機会を得た。

二次流通の世界を一変させたメルカリのシステムがもたらす次の未来とは?

藤原ヒロシが今回メルカリで出品した4点は、自身が主宰するフラグメントデザインとスターバックスのコラボレーションによるタンブラー、写真家・荒木経惟とのフォトフーディ、1970年代のパンクシーンを紹介する書籍『Worlds End  A Chronology 1971-1978』、sequalのデニムジャケット(サンプル)。いずれのアイテムも即完売。

――メルカリをはじめて見ようと思ったきっかけは?

「今始めたわけでもないですけど。前から友達がメルカリをよく利用していたし、僕の部屋にあるいらないものとかを渡して売ってもらったりしたこともあるんですよ。それの延長上です。普通の人がメルカリをやってるのとまったく同じ感覚ですよ」

――本名で出品されているのは、正直驚きました。

「偽名でできるんですかね? 名前を出さずに誰かにやってもらってもよかったんですけどね。これまでも本名で買ったりしているんですが、売るのは今回が初めてなんで、もう一度新しくアカウントを作ろうと」

――ヤフオク!も利用したことがあるそうですね。

「メルカリを使う前は、ヤフオク!でよく買い物をしていましたし、今も買ってます。自分で作った廃盤になっているナイキのスニーカーとかを何度か落札したこともあるんですが、そうすると『藤原ヒロシさんですか?』みたいな手紙がたまに入ってたりすることがあります(笑)」

――買ってくれた人にそういうサプライズを用意することはあるのでしょうか?

「そこは特に考えてないですけど、部屋に転がっているものとかを一緒に詰めてみたりするとか(笑)。メルカリさん的にそういうのってアリなのかはちょっとわからないけど」

――ファッションの世界だと、二次流通に偏見を持っている人もいると思うのですが、それについては?

「いわゆるバイヤーと呼ばれる人たちとかが、商品を仕入れて、それを高く売って、お金を儲けようとする。二次流通に対して、そんなイメージを持っている人はすごく多いんじゃないですか?」

――実際のところ、その手の業界で働いてる人も普通にメルカリを使っているのが現実なんでしょうけど……。

「僕が今回メルカリに出品するのは、特別な企画とかでも、なんでもないんです。僕が思う適正価格で出して、売れなくていいし、高く売るつもりもない。ちょっと前にメルカリでアンダーカバーの過去のコレクションを探していたら欲しかったものが5つも買えたので、じゃあ今度は売ってみようかというだけのことなんで。一気に10個とかは売れないだろうから、小出しする感じかな」

――大きな影響力を持つ藤原さんが今回メルカリに出品したことで、フリマアプリや二次流通に対するイメージそのものが変わるかもしれませんね。実際に利用した感想を教えてください。

「例えるなら、手持ちの本をメルカリで売って、メルペイに入ったお金でまた違う本を買って持ち帰る。つまり、単純にいらなくなったモノを手放して、次の欲しいモノを手に入れる。この限りなく物々交換に近いシステムそのものが新鮮というか、僕には原始的かつアナーキーに感じられて、とても面白いと思う」

――メルカリが創出した新しいユーザー体験とはそんなところにもあるのかもしれません。近況についてはいかがでしょうか?

「取り立てて新しくはじめたことはないんですけど、新型コロナウイルスのパンデミックの影響で、今まで当たり前のようにやってきたことがドラスティックに変わってしまったのはあるかな。案件によってはリモートでの打ち合わせもスピーディでいいって思うこともありますけど、ファッションに関しては、『これで大丈夫なのかな?』って思う部分は少なからずある。いざ服を作るとなると、サンプルチェックとか、生地のチェックだとかもやらなきゃいけないから、ちょっとチャレンジングな感じになってますよね。そこをネガティブに捉えずに試行錯誤をしながら楽しむようにしています」

――今回の取材もそうでしたが、当面の間はZoomに頼らざるを得なくなりそうです。

「よく知ってる人だったら対面で会うことはいいんですけど、初めて会った人にうつしてしまったら大変だし、うつされても僕は責めないと思うけど、相手も気を遣うだろうから……。そういう意味では知らない人と対面で会うのは、まだ難しいっていうのはありますね」

――旅に出ることも難しい状況が続いています。

「海外には行けないから、県外移動が可能になったら、国内旅行には行きたいなと思っています。伊勢の実家にも戻れていなくて、母親ももう高齢なんで。これが解けたら会いに行こうかなとか。友達も僕も含めて歳をとってきたので、日本にいる友達に会っていきたいなと思います。クルマで行ける範囲のところに。そこからのスタートですかね」

Hiroshi Fujiwara
1964年三重県生まれ。フラグメントデザイン主宰。デザイナー、音楽プロデューサー、ミュージシャン、大学教授など、ジャンルの垣根を超えてマルチに活躍するクリエイター。世界的な影響力を持つアイコン的としての存在感は増々高まっている。


 Cooperation=戸叶庸之