フェラーリの新型を乗り継ぐ生粋のフェラリスタとは?

愛するのはフェラーリのみ! これまでに数多くのモデルを所有してきた生粋の"フェラーリ好き"清川重人氏が考えるその圧倒的な魅力とは?


フェラーリは仕事の大きなモチベーション

完成したばかりだというコンクリート製ガレージの扉が上がると、そこにはフェラーリ「512BB」と「Ferrari 488 PistaSpider」。さらに、少し場所を変えたログハウス風のガレージの中に鎮座するのは、クラシック・フェラーリの名作「250GT Lusso」、フェラーリ40周年記念モデルの「F40」、そしてF1のテクノロジーを注ぎこんだフェラーリ初のハイブリッド車、「LaFerrari」。このラインナップ、スーパーカー世代にはなんともたまらない。

完成したばかりのガレージ

これらのオーナーである清川重人氏は「この250GT Lussoはフェラーリ本社に行った時に会ったクラシックモデルの担当者が覚えていてくれて、後日紹介してくれたんです。本当にラッキーでした」と穏やかに話す。

東京都八王子市で富士森内科クリニックの院長を務める清川氏がフェラーリの魅力に目覚めたのは、40歳の時だった。

シルバーのフェラーリ「250GT Lusso」は、V型12気筒エンジンを搭載する1960年代の名車。

「学生の頃からクルマは好きだったんですが、さすがにフェラーリは手が届かないとハナから諦めていたんです。でもある日、知り合いが『Ferrari 348 Spider』を譲ると言ってくれて」

「Ferrari 348 Spider」は、それまで所有してきた高級車とはまるで違ったという。

「どんなにすごいクルマでも、何回か乗れば馴れてしまって面白さは薄れていく。けれども、フェラーリだけは何度乗ってもワクワクするんですね。僕ら世代の永遠の憧れというか、存在しているだけでも絵になるし、人に感動を与える最高のスーパーカーだと思います。それに、乗っていると作り手の熱いパッションもひしひしと伝わってきますし」

以来、新旧のフェラーリを何台も所有してきた清川氏だが、そのフェラーリ人生において最も嬉しかったできごとのひとつが、2015年のフェラーリ・クラブ・オブ・アメリカ。当時所有していた「Dino 206 GT」を持ちこんだところ、コンクール・デレガンス(歴史的名車の品評会)で見事3位に入賞したのだ。「世界中のフェラーリ好きが集まるコンクールですから、あれは嬉しかったですね」

フェラリスタのためのオフィシャル・クラブ、フェラーリ・クラブ・オブ・アメリカのコンクールで入賞した時のトロフィー。

最近は、カバルケードやカバルケードクラシケに誘われることも増えたが、清川氏はまだ参加したことがないという。

「開業医が1週間も病院から離れるわけにはいかないんですね。患者さんが僕を待っていますから。それに、働かないと新しいフェラーリは買えないじゃないですか(笑)」

取材日前日に納車した「Ferrari 488 Pista Spider 」。「Ferrari 488 Spider」 をサーキット直系の技術でチューンアップしたモデル。

相場が高騰しているフェラーリもありますが、と話を振ると、あまり興味がないときっぱり。「それより、次に発売されるフェラーリに自分が乗ることのほうが大事です。僕は親の病院を継いだわけではなく、無一文の状態から必死に働いて、やっとここまできた。患者さんに全力で向き合ってきたからこそ、フェラーリというクルマに乗れる。それはこれからも変わらないと思います。僕にとって、常に最新のフェラーリに乗るということが仕事の大きなモチベーションになっているんです」

フェラーリは、清川氏の人生をいつまでもドライブし続けるのだ。

清川重人
富士森内科クリニック院長  東京都生まれ。医学博士。1988年に八王子にて富士森内科クリニックを開設。フェラーリの虜になる前は、乗馬を楽しんでいたというから、跳ね馬には縁がある( ? )「夢は自分だけの1 台をオーダーメイドすること」。


Text=サトータケシ Photograph=太田隆生