今シーズン着るべきスーツのキーワード15(前編)

保守的と思われがちなスーツ。だが、制約こそが創造性を育むように、スーツという限定された服は作り手の感性を刺激し、多様な進化を遂げてきた。そしてビジネスの枠を超え、より自由で冒険的に着るスーツが今トレンドとなっているのだ。そんな最旬スーツを注目のキーワードとともに紹介しよう。

KEYWORD 1 「ステッチ」

ドレスウェアたるスーツは、装飾を削ぎ落とし、細部まで端正な美しさが追求されている。そうしたスーツの常識を敢えて覆したのが、本来は入念に隠されるべきステッチを逆に強調したスーツだ。随所にコントラストカラーで凝らされたステッチは、スーツならではの構築的かつ構造的な美を浮き彫りにする。

DIOR HOMME

クリス・ヴァン・アッシュがディオールオムのアーティスティックディレクターに就任し、10周年となった2018年春夏コレクションより。ジャケット¥330,000(ディオール オム/クリスチャン ディオール TEL:0120・02・1947)

HERMÈS

メゾンの歴史に立脚しながらも、既成概念にとらわれない自由さと遊び心を感じさせるコレクションを打ちだす今春夏のエルメス。スーツ¥515,000、シャツ¥57,000、タイ¥¥19,500、靴¥117,000(すべてエルメス/エルメスジャポン TEL:03・3569・3300) ベルトはスタイリスト私物


KEYWORD 2 「ドローコード」

カジュアルスーツが注目を集めるここ数シーズン、多くのブランドがリリースしているのがウエストにドローコードを用いたスーツである。スポーティで若々しい印象に加え、締めつけ感のない着心地が味わえる。ループつきでベルトを着用すればコードが隠れ、ビジネスでも着られるモデルもあるので、ぜひ活用したい。

CIRCOLO 1901 & BRUNELLO CUCINELLI

左:イタリアの洒落者たちに絶大な人気を博すチルコロ 1901。ジャケット¥55,000、パンツ¥27,000(ともにチルコロ 1901/トヨダトレーディングプレスルーム TEL:03・5350・5567) シャツ¥28,000(バグッタ/トレメッツォ TEL:03・5464・1158) 靴¥79,000(クロケット&ジョーンズ/伊勢丹新宿店 TEL:03・3352・1111) 右:自然から着想した、繊細で温かみのあるカラーパレットを得意とするブルネロ クチネリ。スーツ¥470,000、ベスト¥150,000、シャツ¥74,000、タイ¥36,000、チーフ¥22,000、靴¥145,000(すべてブルネロ クチネリ/ブルネロ クチネリ ジャパン TEL:03・5276・8300)


KEYWORD 3 「レトロ」

クラシックとは違ったどこか懐かしい印象を感じさせる色柄が、”ヴィンテージ”や”レトロ”といったキーワードとともにトレンドとして浮上している。そのノスタルジックな雰囲気は、古いのに新しく見え、個性的ながら親しみを抱かせる。そんなレトロスーツは色柄しだいでオン・オフで楽しめるはずだ。

FENDI

2018年春夏のフェンディは、ベンチャー企業の若手CEOのライフスタイルから着想。ジャケット¥187,000、パンツ¥60,000、レザーカーディガン¥342,000、Tシャツ参考商品、スニーカー¥96,000(すべてフェンディ/フェンディ ジャパン TEL:03・3514・6187)


KEYWORD 4 「オリーブカラー」

世界的なミリタリーテイストのトレンドは、ドレスウェアの分野にまで波及してきている。その象徴といえるのがオリーブカラーのスーツだ。ミリタリーの代表色であるオリーブは、武骨で男らしい雰囲気を醸しだすが、落ち着きも感じさせる。紳士のワードローブに加えておく価値は十分にあるのだ。

DUNHILL

昨年新たにダンヒルのクリエイティヴディレクターに就任したマーク・ウェストン。無駄のないモダンさのなかに、ダンヒルらしい男心をくすぐる要素を加味したスタイルを提案する。ジャケット¥240,000、パンツ¥69,000、シャツ¥60,000、タイ¥20,000、チーフ¥15,000、ベルト¥35,000(すべてダンヒル TEL:03・4335・1755)


KEYWORD 5 「パステルカラー」

この春夏、パステルカラーが久々にトレンドとなっている。その淡く明るい色調は季節感にあふれ、ビジネススタイルも若々しくリフレッシュしてくれる。ただし、スーツに採り入れる場合は、ややくすんだスモーキーで落ち着きのある色調を吟味するのが鉄則だ。実はパステルスーツは貫禄ある成熟した男こそ似合うので、ぜひトライしてみてほしい。

RALPH LAUREN PURPLE LABEL

フレッシュな明るさと大人の落ち着きを併せ持つ、絶妙にスモーキーなパステルピンクのセットアップスーツ。ジャケット¥264,000、パンツ¥69,000、シャツ¥45,000、タイ、タイバー、サングラスすべて参考商品(すべてラルフ ローレン パープルレーベル/ラルフ ローレン フリーダイヤル:0120・3274・20) チーフはスタイリスト私物


KEYWORD 6 「シルク」

トレンドの要ともいえるシルエット。ここ数シーズンややゆとりのあるフィットが注目されているが、そんな流れに呼応して台頭したのがシルクを用いたスーツだ。そのしなやかさはゆったりとしたシルエットと相まって、流れるようなドレープを生み、リラックスした優美なエレガンスを演出する。

GIORGIO ARMANI


KEYWORD 7 「ウォッシャブル」

テクノロジーの進化は、スーツにも多大な影響を与えている。ウォッシャブル、すなわち洗えるスーツの登場もそのひとつだ。これまで化学繊維を用いたものが主流だったが現在は天然繊維100%のスーツでも実現。エレガントで繊細な表情と、洗濯後の清潔で爽快な着心地を同時に享受できる。

Z ZEGNA

ウォッシャブル機能を実現した「テック メリノ ウォッシュ&ゴー スーツ」がジー ゼニアから登場した。付属の洗濯用ケース(写真下)を使えば家庭用洗濯機で水洗いが可能。スーツ¥194,000(ジー ゼニア/ゼニア カスタマーサービス TEL:03・5114・5300)


KEYWORD 8 「パッカブル」

旅先では必要だが、着ていくには疲れる。ガーメントケースで持ち歩くのも面倒。そうした旅を巡るスーツの悩みを解決してくれたのが、近年増えている、たたんで持ち運べるパッカブルスーツである。今日ではブリーフケースに収まるものもあるので、暑い時季の通勤などでも重宝するだろう。

CASELY-HAYFORD FOR PORTER

ポーター製の専用ポーチ(写真下)に折りたたんで収納してもシワになりにくく、取りだしてすぐ上品に着られる。スーツ&トラベルパックセット¥105,000(ケイスリー・ヘイフォード フォー ポーター/ポーター 表参道 TEL:03・5464・1766)


Direction=島田 明 Text=竹石安宏(シティライツ) Photograph=前田 晃(人物)、隈田一郎(静物) Styling=久保コウヘイ Hair & Make-up=MASAYUKI(The VOICE)