俳優 大杉 漣 & 愛猫 寅子 「とろけそうなくらい、愛おしい」

ともに人生を過ごす最愛の存在。彼らが暮れる喜び、気づかせてくれた思いもかけないアイデアの数々。もう、君なしでは生きていけない。

穏やかで優しい気持ちになる存在

2008年の映画『ネコナデ』で、猫によって変化していくサラリーマンを演じた俳優の大杉漣。1カ月の撮影を終え、共演者ともしばしの別れ......のはずが、どうしても"寅子"とは離れがたく、動物プロダクションに引き取らせてほしいと懇願。寅子という役名のこの猫は、そのまま"大杉寅子"になった。

「仕事に追われるなか、深夜にひとりでセリフを覚えていると、煮詰まることもあるんですよね。そんな時、いつの間にか足元に寅子が来て、ジッと僕の顔を見ているのです。ひっくり返ったりもします。寅子は、ただ来てくれただけなのでしょうが、穏やかで優しい気持ちになります。説明なんて必要ない "生き物のチカラ"を感じる瞬間です」 

大杉氏が出かける際も、猫らしく知らんぷり。しかしドアが閉まってしまうと、玄関でミャーミャーと鳴くのだという。

「この話を妻から聞いて、もうとろけそうなくらい愛おしくなりました。今後、僕たち夫婦は老いていきます。これからは、ただかわいいというだけではない時間もあると思います。でもなんでもない時間に幸せを感じながら、これからも寅子とともに生きていきたいです」

Ren Ohsugi
1951年徳島県生まれ。74年舞台デビュー、以後さまざまな役をこなすカメレオン俳優として活躍。2018年4月からは新国立劇場20周年記念舞台『1984』に出演。2月21日急逝。(寅子・スコティッシュフォールド・メス・9歳)


Text=編集部 写真提供:大杉氏

*本記事の内容は17年12月取材のものに基づきます。