アパレル界の雄 石川康晴が集める坂倉準三の椅子

案内人:ストライプインターナショナル 代表取締役社長 石川康晴  1970年生まれ。94年にクロスカンパニーを創業。2016年に現社名に。公益財団法人石川文化振興財団理事長。世界有数の現代アートの美術館を岡山に建設計画中。

左:岡山の本社に並ぶ、ジャン・プルーヴェの「スタンダードチェア」。坂倉の椅子にも影響を与えたもので「教室の椅子のような懐かしさも魅力」と石川氏。 右:坂倉の「小椅子」。1953年に発表された初期の椅子で、「低座椅子」などの原形となった。

岡山で生まれ育ち、起業した石川康晴氏は、熱心な現代アートのコレクターでもある。そんな石川氏が収集するもののなかに、モダニズム建築で知られる坂倉準三の椅子がある。「岡山の文化的な建築を多く手がけた前川國男と坂倉が、ともにル・コルビュジエを師に持つことから興味を抱きました」

左:坂倉の「小椅子」。1953年に発表された初期の椅子で、「低座椅子」などの原形となった。 右:坂倉の「コマ入れ成形合板肘かけ椅子」。可動する背もたれが座り心地を高める。

所有するアートに負けない存在感を持ちつつも主張しすぎない坂倉の椅子は、アートと共存できる数少ない作品。そして何より、身体をリラックスさせてくれる存在でもある。そんな石川氏が次に狙うのは、前川邸で愛用されていた、ジャンフランコ・フラッティーニの椅子だ。

「椅子でもアートでも、コレクションはなるべくオープンにして、見た人の創造力を向上させる循環を作りたいですね」

坂倉の家具のなかでも、特に椅子とソファが石川氏のお気に入り。椅子のアームは使い込まれ、美しく経年変化。

Who is Mr. Junzo Sakakura?
坂倉準三(1901-69)
コルビュジエに師事したモダニズムの巨匠

東京帝国大学(現東京大学)文学部美学美術史学科を卒業した坂倉準三は渡仏し、1931年からル・コルビュジエのアトリエで働く。40年には現・坂倉建築事務所を設立し、「神奈川県立近代美術館」「羽島市庁舎」「新宿駅西口広場」などを手がける。コルビュジエの設計による東京・上野の「国立西洋美術館」(59年)では、ともに師事した前川國男、吉阪隆正と実施設計監理に協力した。


Text=萩原健太郎 Photograph=鞍留清隆

*本記事の内容は17年11月取材のものに基づきます。価格、商品の有無などは時期により異なりますので予めご了承下さい。 14年4月以降の記事では原則、税抜き価格を掲載しています。(14年3月以前は原則、税込み価格)