英語で、映画を、観てみた! ~英語力ゼロの私が、ロンドンに移住したら⑥

35歳・英語力ゼロなのに、会社を辞めて渡英した元編集者。「その英語力でよく来たね(笑)」と日本人含め各国人からお叱りを受けつつ、覚えたフレーズの数々。下手でもいいじゃない、やろうと決めたんだもの。「人のEnglishを笑うな」第6回!

前回はこちら

スペルミスは口語でも致命的

「R」の発音ができないコンプレックスで、「R」が含まれる単語の度に止まり、ひと息置いてから発音に挑む、という話し方がクセになってしまいました。多くの単語に「R」は入っていますので、聞かされる方は時間がかかり、本当に申し訳ないと思います。しかも大体通じません。ちなみに最近通じなくて落ちこんだ三大R単語はcredit card /free/herです。herに関してはher husbandと言いたかっただけなのに「え? 何ハズバンド?」と何回も聞き返され、何度言っても通じず、結局紙に書く「スペルダウン」をしてやっとわかってもらえました。その途中段階で「エイチ、イー、アール」とアルファベットを口に出したのですがそもそも「アール」が言えてないので、それも通じないという体たらくでした。

このようにとても意識している「R」ですが、時々スペルを間違えて覚えていて、本来「L」であるところを「R」だと思って発音してしまうこともあります。

You told me you had been to watch Aladdin(『アラジン』観に行ったって言ってましたよね)

クラスメイトにそう聞きかかっただけなのに、「R」に怯えすぎて『Aladdin』の「L」を「R」の巻き舌風に発音していました。そもそも言えてない「R」の状態で、本来「L」である単語を言っているのでもう本当にカオスです。ここは結局テーマ曲の『A whole new world』を歌ってわかってもらいました。

ちなみに「L」の発音は、日本語の「ラリルレロ」の発音で通じます。

ロンドンのプリンスエドワード劇場では、「アラジン」のミュージカルも上演しています。

紅茶の国の「好みじゃない」

映画『アラジン』はまだですが、先日やっと『アベンジャーズ/エンドゲーム』を観に映画館へ行きました。英語で映画、すごくハードルが高い気がしますが、アクション映画なら、どっちが悪役でどっちがヒーローかだけでもわかれば最悪楽しめます。もちろん前作も(日本で)観ているので、すでにストーリーはわかっています。

またリスニング力ゼロの私が海外で映画に行く際に気をつけているのが「英語字幕があるか」です。大きい映画館なら週に何度か、聴覚障害を持つ人のために字幕付きで上映しています。どうせリーディング力だってゼロ、と思っていましたが字幕があるとないでは理解が全然違います。実際字幕付きの回は、私のような外国人のお客さんが多かった気がします。

映画館の売店でポップコーンとコーラを買っていたら、売店のおばさんに「何を観るのか」と聞かれて「アベンジャーズだ。当然あなたも見たのか」と聞き返すと。

It’s not my cup of tea

と言われました。頼んだのはティーじゃなくてコーラなのに。と思ったのですが、

not my cup of tea=私の好みじゃない

というニュアンスで使うようです。「アベンジャーズとか興味ないの」というところでしょうか。この言い方は何かを丁寧に断る時にも使えるようです。ケンブリッジの辞書にもこう例文が紹介されています。

Thanks for inviting me, but ballet isn’t really my cup of tea.(招待してくれてありがとう。でもバレエにはあまり興味がないの)

俗語も覚えておいたほうがいい!?

映画やテレビを観ていると、通常の英語力ゼロ生活では決して出会わない俗語が登場することがあります。例えば 

go all the way

英語字幕があったところで、なんのことだかさっぱりわかりませんでしたが、これは「肉体関係を持つ」ということだそう。またポルノ映画のことを日本語では「ピンク映画」と言ったりしますが、アメリカ・イギリス共に色が変わって「Blue Movie」というようです。

ちなみに先日何かいい英語教材はないかと書店の「Language」コーナーをうろうろしていたところ、こんな本を発見しました。

「DIRTY JAPANESE」 著Matt Fargo /Ulysses Press

『Dirty Japanese』。日本語を学ぶ人用のコーナーにありました。「汚い日本語、スラング」をまとめた本です。実際口に出す、書くのも憚られるような下ネタから「うっす」(What’s up)といった軽い挨拶まで、丁寧に解説されていて、日本人はここから逆に「汚い英語」を学ぶことができます。実際に使うことはないでしょうが、知っておけば万一罵られた時、わからず笑っていることだけは避けられるでしょう。

この「Dirty」シリーズはスペイン語やポルトガルト語、韓国語などバージョンはさまざまあり、英語で第三外国語に挑戦できる人にはさらに楽しいかもしれません。

人にものを頼む態度

その時、書店で一緒に購入した本がこれ。『The How to be British collection』。長い間、外国人相手に英語教師を務めたイギリス人作家が、「イギリス人の特徴」を外国人向けに、コミカルにまとめたイラストブックです。

「礼節、丁寧さ」を大事にするイギリス人は、人にお願いごとをする時はことさら丁寧になるといいます。日本でもこれは同じかと思うのですが、それを強調したのが、この表紙。

「The How to be British Collection」 著 Martyn Ford/Peter Legon/Lee Gone Publications

溺れた人がHelp! と叫んでも無視されますが、このように丁寧にお願いすると助けてもらえる、というイラストです。

Excuse me. Sir. I’m terribly sorry to bother you, but I wonder if you would mind helping me a moment, as long as it's no trouble, of course.

直訳したら「すみません、とても申し訳ないのですが、もしよろしければちょっとだけ助けていただけたりしないでしょうか、お手間でなければで、もちろん構いませんので」と言ったところでしょうか。

当然とっさにこんな英語は出てきませんが、お店や駅で何か頼む時は、英語がめちゃくちゃでも、せめて「Please」だけはつけて、丁寧さをアピールしようと心に誓いました。そのほか、イギリス人の自虐ギャグの解説や、外国人がイギリスで感じる孤独、なんかも面白おかしく解説してくれています。日本でもアマゾンなどで購入できますので、興味のある方はぜひ見てみてください。

⑦に続く
シリーズ記事を読む

MOMOKO YASUI
ロンドン在住編集・ライター。1983年生まれ。男性ライフスタイル誌、美術誌、映画誌で計13年の編集職を経て2018年渡英。英語のプレスリリースを読むのに膨大な時間がかかって現在、仕事が非効率。

Illustration=Norio